それから直ぐに授業が始まり、午後一発目の国語の授業を受ける。 そんな最中、シャーペンでコンコンと後ろから呼ばれた比路は、担当科目の本田先生にバレないよう、悪魔でも小声で司と話し合う。
「お疲れ様ヒロ。会議どうだった?」
「先輩たちばっかりで疲れたよ。30分だったのに凄く長く感じたし。あ、そういえば克也いたよ。克也、生徒会の副会長だった。」
「おー。そういえばあの時、言ってたもんな。」
その時、ふと思い出したのは久野のことではなく、圭のこと。 稚空から彼の話を以前聞いたことあるが、自分が感じた印象と異なっていたのだ。
「って、ヒロ。克也先輩のこと、ちゃんと先輩付けて呼ばないとダメだって。さすがに呼び捨てマズイってば。」
「だ、大丈夫だよ。本人の前ではちゃんと気を付けてるから。」
「本当に大丈夫?前もそうだったけど何回か言い直してなかった?」
「仕方ないでしょ?道場通ってた頃ずっと普通に呼んでたんだから。今さら先輩呼びなんて慣れないよ。」
でもそれは司ではなく稚空に訊きたいことなので、自分の中で留めいた。
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