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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#91 青ノ葉 七夕祭(後編)(1/4)
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3人が奥地に向かった後の司

その日の夜ー・・・。

「司。僕らが奥地に行った後、1人で梅ちゃん見てて大丈夫だった?」

「うん。あのあと明人兄と華澄先輩が来てくれて、梅ちゃんを医務室に運ぶの手伝ってくれて。」

七夕祭があった放課後だったが、いつも通りに学習時間が始まり、今日の宿題を片したりテストに向けて勉強したりしていた。
その最中は基本的に黙勉なので、あまりお喋りはしてはいけないものの。

「けど弱ったね。梅ちゃん、今回のテストも受けられる状態じゃないから追試として。夏休みの補習に参加することになるってさ、無理ない程度に。」

「そっか・・・。」

「梅ちゃん、言ってたよね?俺たちに。まだテストやってないのに、自分はもう補習行きな夏休みが確定だって。」

「うん。言ってたね。」

あの少しの時間で色んなことがあって。・・・ありすぎて。
司と比路は煩くしないよう、静かに話し合う。

「・・・梅ちゃん、自分がこうなってしまうこと。どこかで分かってたのかな。」



稚空からの頼み事

それから学習時間がいつものように終わった、就寝時間前。
稚空から比路にメッセージが着て、廊下へと呼び出される。

「ごめんね。寝る前のこんな時間に呼び出して。」

「ううん、大丈夫。」

「それで、ひろピーにお願いがあるんだけど。寮長の様子を見てきてほしいんだけどいい?」

稚空は奥地から寮に戻ってくる時にあった、寮長との出来事を。
すごく気にしているようだった。

「え?これから!?」

「オレらさっき寮長に、とても酷いことを・・・。とても失礼なことを言わせちゃったから。だから、その、謝ー・・・。少し様子を見てきてほしくて。」

だから申し訳なく頼みごとをするその表情も、どこか沈んでいるように見えた。

「オレまだ寮長のこと、あんまり知らないし。あの3人の中で、ひろピーが1番、寮長と話してる仲だと思うから・・・。ひろピーにしか頼めなくて・・・。」

「・・・うん、分かった。いいよ。でもアッキー、ひろピーは止めてね。ずっと言いそびれてたけど。」

「それは無理。そればかりは、いついかなる時でも出来ない相談だもん。」

親友が見せる、珍しいその顔色に。
さすがの比路も断ることはせず二つ返事で頷き、頼まれたとおり寮長室へと1人で向かったのだった。



返答がない寮長室

今は就寝時間前だけあって、学園寮の1階に寮生の姿はなく、とても静かでシーンとしていた。

『アッキー、寮長の様子を見てくるだけでいいの?』

『うん。ひろピーから見て寮長が、どこか変・・・。どこかいつもと違っていたら教えてほしいかな。』

稚空からの頼まれたことは、日暮寮長の様子を見てくるだけ。
真っ直ぐ寮長室へと向かった比路は、ドアをコンコンと叩いてノックする。

「日暮寮長、ちょっといいです?」

「・・・・・・・・・。」

「あ、あれ?」

しかし何も返事が返ってこない。
だからもう一度、ドアをノックをして呼び出したが、

「寮長???」

「・・・・・・・・・。」

やっぱり返事がなかった。
おかしいな?
こんな遅い時間に、部屋から出てったのかな?
そう疑問を抱きながらドアノブに手を掛けると、扉に鍵が閉まってなかったのか、ガチャと開いてしまった。

(あれ?開いちゃった・・・。)



居留守で酒浸ってた日暮寮長

ついとは言え開けてしまった以上、比路も引けられなかったのか。
そのまま静かに開けて、寮長室の中に入る。
するとそこにはー・・・。

「し、失礼しますー・・・って、あれ?りょ、寮長!?」

「・・・・・・んだよ、峰岸。こっちは何にも言って・・・ねえんだから。勝手に入って来んなってー・・・っ。居留守した意味がなくなるだろ?」

「居留守って何ですか、居留守って。いるならいるって言って下さいよ。」

日暮寮長が、やっぱりいた。
けれどデスクの上は、空いたビール缶が散乱していてゴチャゴチャ状態。
パッと見ただけでも、寮長は今。っというか今まで何をしていたのか一目瞭然だった。

「っていうか、何ー?このお酒の量!何でこんなに飲んで・・・っ。」

「いいだろ・・・、別に。今日の就業時間は・・・とっくに過ぎてんだしよ・・・。」

「よくないです!寮長は寮職員なんですから、もうちょっと僕ら未成年のこと考えて下さいよ。お酒といい煙草といい。」

それを見た比路は、この場にいない久野やチロ先生に代わって、思わずお説教。
しかし酔っ払った日暮寮長には、あまり効いてないのか。

「言われなくても、お前らのことなら・・・っ・・・。ちゃんと常日頃から考えてるっつーの。」

「そう言いながら僕の目の前で飲み続けないでよ!」

居留守も邪魔してしまったせいもあって、ちょっと不機嫌そうにしていた。



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