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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#90 青ノ葉 七夕祭(前編)(1/5)
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今日の天気

今日の天気は、曇りのち雨。
ところによって早ければ昼過ぎから降り出す場合もある為、折りたたみ傘を持って行った方が良いと告げられる。
そんな今日の天気予報を。
寮の食堂で朝ご飯を食べながら聞いて、朝から数名の生徒がガックリと肩を落とす。

「えーっ!今日、午後から雨降んのかよ!」

「・・・やっぱり今年も駄目だったか。」

「しばらくの間、雨降ってなかったから、今年こそは天の川を肉眼で拝められるチャンスだと思ったのに。」

きっと普段なら、こんな生憎な天気でも気にしないだろう。
けれど今日は。今日だけは。
雨でもなく曇りでもなく、出来れば完璧に晴れて欲しかったのだ。

「七夕って、いっつも雨降るよな。」

「なー。彦星と織姫も可哀想だよな。毎年、雨のせいで会えず仕舞いで七夕が終わっちまうなんて。」

なんて言っても、本日は7月7日。
彦星様と織姫様が年に1度だけ会える『七夕』だったから。



期末テストは今週から

しかし、いつまでも今晩の天気を嘆いていても仕方がないこと。
っというか、七夕どころではない青ノ葉全生徒。
何故なら今週の真ん中から、ついに期末テストが始まるせいもあって、それどころではないからだ。
それはもちろん司たちも一緒。

「あー!もう期末が始まるなんて嫌だー!鬱すぎる!」

「まあまあ、つかポン。このテスト終わったら、夏休みだって直ぐに始まるんだから。夏休みのためにも頑張れ、つかポン。」

「いいなぁ、アッキーは・・・。補習の危機が微塵もなくて・・・。あと、つかポンやめろ。」

いつもの4人(司、比路、稚空、梅ちゃん)で学校に向かいながら、彼らからもテストの話題が上がる。

「そっか。テスト終わったら、もう夏休みなんだね。」

「まあ、ひろピーからしたら、夏休みよりも大会のが先だけどね。あとプール。」

「プールは、ちょっと・・・。雨で延期になってくれて嬉しかったけど、このまま授業ごと中止になってくれないかなー・・・。あと、ひろピーやめて。」

「えー!何言ってんのさ、ヒロさん。そのプールこそが、夏の体育の醍醐味でしょうが。」



今日って、何かありましたか?

そんな中、だった。
校舎の昇降口で上履きに替えようとした時、今日は朝から少し大人しい梅ちゃんが、突然ハッと何かを察知する。

「・・・・・・!」

しかしそれを感じとれたのは梅ちゃん、ただ1人。

「・・・・・・・・・。」

他の3人は、お喋りに夢中で何も気付いてない。
いや。気付けるわけがない、この感覚。

「あの・・・っ!」

だから梅ちゃんは、珍しく声を上げて尋ねた。

「今日って、何かありましたか?」

ー・・・と。



七夕ゼリーは美味しい

「え?」

「何かって、何が?」

しかし訊かれた3人は、揃いも揃ってポカン顔。
なんでそんな質問を、梅ちゃんにされたのか分からなかった。

「何かあったっけ?」

「テストは今日からじゃないし、日直でもないし。」

「何かー・・・。何かー・・・。」

「・・・・・・・・・。」

それに加えて今日は七夕だけど、それを除けば、ただの平日。
だから何かあるか?と問われても、何もないと答えるしかなかった・・・。

「あ!今日、七夕だから寮弁のデザートに七夕ゼリー付く日だ!あれ俺めっちゃ好きなんだよね。ヒロいらんかったら俺にちょうだい。」

「やだー。僕だって七夕ゼリー好きだもん。」

「つかポンも、ひろピーも。梅ちゃんが聞きたかったことって、そういうことじゃないと思うんだけど。」

結局、梅ちゃんは何だったのか。
「ごめんなさい。やっぱり何でもないです・・・。」と返されてしまい3人共々、お役に立てずに終わってしまうでした。



1年A組の教室にて

そしてそのまま自分達の教室へと向かったが、その途中、A組の教室からとても賑やかな声が廊下まで漏れてきた。

「おぉ!さっすが圭じゃねえか!」

「んん?」

その声とは恭の声のこと。
なんだろうと気になって覗くと、そこでなんと恭が圭の机にノートを広げて勉強を教わってもらっていたのだ。

「もう、いい?」

「待った待った!あとここも!ここも教えてくれ圭!」

「・・・・・・・・・っ。」

「な・・・、何してるの?」

そんな2人の姿は異様と言えば異様な光景。
司ら4人以外にも、彼らを物珍しく見てるA組の生徒が多かった。

「おお!司たちじゃねえか!今、圭に勉強教えてもらってるところだから。オレや圭に話があるのなら後にしてくれ。」

「え?ウソ!いいないいな。キョウがやってる、そこの問い。俺も教えてほしいんだけど!」

「違う・・・。教えてない・・・。一方的にノート広げられて邪魔だから仕方なく・・・。」



俺らを補習の危機から救って

しかし『圭に勉強教えてもらってる』は、誤った解釈。
本人が申した通り、恭が一方的に圭の机にノートを広げてきて「教えろ、教えろ」と、しつこかったから。さっさと退かす為に1問だけ渋々見たていただけ。

「さっさとノート退かして、どっかに行って。1問だけだって言っただろ。」

「頼む、圭!あとここだけだから!」

「知るか。そんなこと。」

「俺も!俺も!俺らを補習の危機から救って!」

そんな恭や圭たちに勝手に混ざる司。
それには圭も自分1人では、お手上げだったのか。
この場に比路もいたことに気付いて、チラッと向く。

「峰岸くん。この2人、どうにかして・・・。」

そして助けを求めたが、

「あ・・・、ごめん。ぼ、僕もそこ分からない箇所だったから。僕も司たちのついでで見ててもいい?」

「・・・・・・・・・。」

勝手に混ざってきた司に紛れて、比路も混ざろうとしていたので、お助け不可状態。

「・・・ここだけだよ。もうじき予鈴鳴るから、それまでには退いてね。」

結局、圭は3人同時で、もう1問だけ。
勉強を教えてくれたのだった。



ブルーリーフ回もいずれやるよ

こうして何事もなく、あっという間に授業が終わって放課後となった。

「テスト終わったらさブルーリーフ全員集まって、この間、実装されたレイドバトル行かない?」

「あれ?でもレイドバトルって、有料コンテンツじゃなかった?」

「初回だけお試し無料。だけど俺のメインもう行っちゃってるからチケット、俺が買っとくよ。」

「司のメインがいるギルド強い人ばっかりだもんね。そっちの人たちと行った方が安定して回れるんじゃ?」

「いやいや、何言ってんのヒロさん。それはそれ、これはこれ。ブルーリーフのみんなで行くのも絶対楽しいって。」

荷物をカバンにまとめて帰る準備が出来たら、今日もどの部活もお休み中なので、真っ直ぐ寮へと帰って行く。

「ー・・・ってことだから、朋也もいいよな?」

「あ・・・・・・・・・・・・・・・、ああ。」

「どったの?朋也。なんか今日1日、いつもより反応が微妙に悪い気がするんだけど。」

「・・・・・・・・・気のせいだろ。」

朋也も今日は放課後の水遣りは永瀬が代わったのでお休み。
朝の4人(司、比、稚、梅)に彼も加わり、5人一緒に揃って。



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