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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#90 青ノ葉 七夕祭(前編)(2/5)
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青ノ葉 七夕祭

学生寮へ着くと、何やが玄関前が賑やかになっていた。
しかもそこには生徒会の生徒が全員勢揃いで、学校から帰ってくる生徒をお出迎え。
もしかしたら放課後の抜け打ちすぎる荷物検査?
にしてはピリピリした雰囲気は他の上級生たちからもなく、皆んな緩い感じのまま。

「あ。比路たちも、お帰りなさい。」

「な・・・、何してるの?克也も生徒会の人たちも。」

こっちに気づいた久野に何をしてるのか。
話しかけられたついでに、尋ねてみる。

「今日は青ノ葉学生寮の交流会。七夕祭だよ。」

「七夕祭?」

「っと言っても、テストを控えてる時期だから、前にやった学寮戦ほどの大きなイベントじゃなくて。あっちにある長机のところに短冊があるから1人1つ、その短冊に願い事を書いて、あそこにある笹の葉に。左のやつが1年生用だから、そこに飾ってくれればおしまい、だよ。」

『青ノ葉 七夕祭』。
これも毎年行われる学生寮ならではの交流イベントであり、知らなかった1年生からは「七夕祭なんてあったんだ」と、高校生にもなって参加する七夕祭に、以前の学寮戦ほどではないが意表を突かれる。
でもだから玄関前が。特にあっちにある長机の周辺が賑やかだったわけが分かった。

「そういえば前に寮長から、そんな感じにレクリエーションやるって聞いた気がする。」

「蓮さんから聞いたことあるなら、じゃあ話が早いね。」



せっかく勢揃いの今だから

すると、この現場を見てハッと気づく司。

「あ!克兄ちゃん、ちょっといい?」

「ん?何?司。」

「あっちにいるのって生徒会の人たちでしょ?永瀬先輩以外、名前すら俺知らないから、教えてほしくて。」

生徒会の生徒が勢揃いの今。
明人にキッシュを作ってもらう為の条件の1つ、『久野を始めとした生徒会メンバーと先生に許可を得てくること』を、ふと思い出す。

「いいけど、比路から教わってないの?」

「うん。これは俺のミッションだからって教えてくれなかったんだよ。クラス委員じゃない俺が生徒会と関われる機会って滅多にないのに。」

「だって司のミッションだもん。僕が言ったら、あんまりフェアじゃなくなるもん。」

なのでこのチャンスを逃さないよう。
久野から永瀬以外の生徒会メンバーを。和泉、鳥渡、柘植、紺野の名前を教わったのだった。

「さっきから言ってる司のミッションって何?俺ら生徒会も関わってる話?」



倒れた梅ちゃん

しかし、その時だった。

「七夕・・・祭・・・。」

そう小さく呟いた梅ちゃん。
賑やかなこの光景を見て、何かを静かに頷いた瞬間ー・・・。

「・・・・・・どおりで。」

「梅ちゃん、どうした・・・の・・・!?」

突然、彼の身体がフラッと傾き、そのまま前へ倒れかけたのだ。
その一瞬は、まるでスローモーションのようだった。

「危ないっっっ!!!」

それを、たまたま見ていた司。
直ぐに抱えて庇いに入れたので、倒れた梅ちゃんは地に落ちることはなかった。

「大丈夫!?梅ちゃん!梅ちゃん!!」

「ー・・・・・・。」

友達が。
必死に呼び叫ぶ声すら。
何も言えない。
何も反応が出来ない。
遠退いて途切れる意識。
ああ・・・。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
この体質が、また人様に迷惑かけて。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめん・・・なさい・・・。



チロ先生と日暮寮長はどこ?

そして倒れた梅ちゃんの身体に触れて、やっと気付けた彼の異変。

「え!?梅ちゃん、すごく熱い!」

身体がすごく熱くて、呼吸もすごく苦しそうに繰り返している。
彼は今日1日の中で、どこから我慢していたのだろう。
とにかく早く医務室に運んで、一刻も早くチロ先生に診てもらわないと!

「克兄ちゃん!チロ先生は!?」

「えっと・・・・・・っ。」

しかしどうしたことか。
チロ先生が今どこにいるのか。
久野に尋ねても。久野から生徒会の生徒に尋ねても、誰1人分からない様子だった。

「この七夕祭自体、準備は全部、蓮さんがやってくれたんだけど、当日の運営は俺ら生徒会のみに任されていて・・・。だから今、チロ先生どころか蓮さんも寮内にいなくて、どこに行ってしまったか俺も分からなくて・・・。」

「そんな・・・っ!」



もしかしてで浮かんだあの場所

どうしよう、どうしよう。
こんな時にチロ先生が今いる場所が生徒会の人たちにも分からないなんて、どうしよう!
今にも苦しそうな梅ちゃんを見て、頭がパニクって真っ白になりかけた時、

「森・・・。もしかしたら、あの場所にいるんじゃ・・・。」

「え?あの場所???」

「ほら。前に森を追いかけてた時にー・・・。」

「あ!あそこか!」

朋也が心当たりある場所を閃めき、司にもハッと思い出させ我に戻させる。
そこは確か青ノ葉学園敷地内の奥地。
前に1回。放課後に、そこでチロ先生と遭遇したことがあったことを。

「え?どこのこと?」

しかしその場合を、この中で知っているのは司と朋也の2人のみ。



奥地へ向かう3人

だったからー・・・。

「朋也、お願い!そこにヒロとアッキーを連れて、チロ先生を呼んできて!」

「ああ。」

司は朋也に。
クラス委員でもある比路と梅ちゃんとルームメイトの稚空も一緒に向かわせて、自分は一足先に。抱えてる梅ちゃんを医務室へと連れて行くと言う。

「待って。それなら俺も付き添ー・・・ッ!」

「あ!ダメ!克也、怪我してる足で無理しないで!」

そこへ保護者として久野も付き添おうとしたが負傷中で無理して動けない為、比路に止められて断念。
朋也を頼りに比路、稚空の3人で、司が指したあの場所へと向かうこととなった。

「行こう!朋也!」

「ああ。こっちだ。」



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