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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#13 School Life(2/3)
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AM8:25〜PM12:25

朝のホームルームが終われば、直ぐに午前の授業が。決められた時間割通りに始まる。

「ヒロ。・・・ヒロ。」

そんな授業の真っ最中、コンコンと。
司は持っていたシャーペンで前の席に座る比路の背を静かに叩いて呼ぶ。

「なに?どうしたの?」

「後でノート見せてくんない?」

「は?ちょ、ちょっと!?いきなり授業サボろうとしないでよ。」

ヒソヒソヒソヒソ。
あくまでも常に小声で話し合う二人。

「違う違う、そうじゃなくて。黒板の文字があんまり読めないだけだって。一番後ろに座るの久しぶりだったから油断してた・・・。」

「暗い部屋でゲームばかりしてたら、そりゃ視力下がるよね。自業自得というか、今まで裸眼でいられた方が不思議なぐらい。」

「うぅ。ついに俺も眼鏡必要な時代がやってきちゃったか。」

そうして正午を過ぎた頃に午前中の授業は終了。
昼休み兼、昼食の時間が訪れる。



PM12:25〜13:40

「委員長。今日の寮弁なに〜?」

「・・・・・・。」

「委員長?」

「・・・・・・。」

校舎側には寮のように食堂スペースやランチルームはありません。
なので平日の昼食は学生寮から校舎の寮弁受け渡し室にお弁当が届くので、各クラスで決められた当番が自分たちの教室へ運び室内で食べます。

「・・・峰岸くん。今日の寮弁なに〜?」

「え?あ、あぁ!今日は豚カツみたい。」

白米と牛乳。豚カツにほうれん草の胡麻和えに粉ふき芋にデザート。
一年生、初寮弁のお祝いにちなんだ本日の寮弁メニューだった。

「あと、なんかごめん。その呼ばれ方慣れてなくて、無視したみたいになっちゃって。」

「いいよいいよ、がんばれ。委員長。」



PM13:40〜

昼食を済まし、昼休みが終われば午後の授業がスタート。

「雑談するのもいいけど極力静かに。なるべく手は止めないようにね。」

朝、本田先生から通達されたとおりロングホームルームは似顔絵描きとなり、ガヤガヤガヤガヤ終始賑やかな授業となった。

「高校生にもなって似顔絵描きやらされるとは思わなかった・・・。」

「よろしくです、比路くん。」

「うん。こちらこそよろしくね梅ちゃん。」

比路は梅ちゃんと。

「朝、ヒロから教えてもらったけど朋也、だっけ?俺は森 司、よろしくな。」

「・・・あ、あぁ。」

司は朋也と。
引かされた本田先生のくじ引きにより、二人一組に分かれる。



似顔絵描き 比路・梅ちゃんペア

比路は梅ちゃんを。
梅ちゃんは比路を。

「そういえば比路くんがB組のクラス委員長だったんですね。朝、号令かけた時に初めて知ってビックリしたですよ。」

「ごめんね。自分がクラス委員長だってこと黙ったままで。くじ引きで決まった話だったから、なんとなく言いづらくて・・・。」

お互いに向き合って配布された画用紙に似顔絵を描いていく。

「本田先生、くじ引き好きそうですよね。さっきも引かされましたし。」

「だよね。僕も思った。」

ほんわかな梅ちゃんのおかげで、二人の会話は常にほんわかとしていた。

「でも比路くんが委員長でホッとしました。これでまたタイミング悪く体調崩しても気兼ねなくお世話になれそうなので。」

「あ、あれ?崩す前提の話になってる!?」



似顔絵描き 司・朋也ペア

司は朋也を。
朋也は司を。
こちらのペアもお互いに向き合って、配布された画用紙に似顔絵を描いていく。
が、

「・・・・・・・・・。」

周りにいる生徒は明らかに二人から。いや、朋也から席を少し離している。
それに気づいた朋也は構いたくないのに構う心が繊細に気にさせてしまう。

「んー。絵心ないから変になってきた。」

一方、司はそんなこと気にしてないどころか気づいてもない。
今朝、梅ちゃんのように朋也に今も怯えることなく、朋也を描く手を動かしっぱなし。

「・・・森も変わった野郎だな。」

「え!?下手くそすぎた?この絵。」

比路と会った時もそう思ったが。
朋也は自分に対して怯えない司も不思議に思う。



似顔絵描き 司・朋也ペア 2

「怖がらないんだなって。」

「何に???」

「・・・なんでもない。」

そんな理由を遠まわしで尋ねる。
でも遠まわしすぎて気づけれない司。

「なんのことかよく分からないけどホラーなら平気だよ俺。ゾンビゲーとかもよくやるし。」

「そうか。」

気付いてないけれど、朋也が求めた答えがなんとなくで返ってきて小さく納得。

「地震→雷→火事→ヒロさんって感じでチビなのに強暴だから、怖いのには慣れてんだ。」

「森。後ろに峰岸いる。」

「!?」

けど司は余計なことまで話すから、

「つーかさ♪僕が、なんだって?」

「・・・・・・・・・。」

背後にはニッコリと笑ってる比路が。
梅ちゃんとの似顔絵描きを一時中断して、二人の元へやってきていた。



似顔絵描き 司・朋也ペア←比路

自分の真後ろに立たれる恐怖に怯える司。

「朋也・・・!朋也、助け・・・っ、助けて!」

「???」

真っ青な顔で必死に助けを求めるが、朋也には何のことか分からない。
なので、

「あんなところに『ゆーふぉー』がー。」

「!?」

比路が棒読みで上げた声と空を指差した方向へ簡単に釣られ、司から視線を外してしまう。
もちろん『ゆーふぉー』なんて実在してるかも分からない飛行物体。
でもクソ真面目に探した朋也は見つけられなかったことに深く溜息を吐く。
そして再び視界を戻すと、

「ごめん、朋也。何かと見間違えたみたい。」

「・・・お、おう。」

司が机の上に顔をひれ伏せて撃沈した姿に。
目を離した一瞬(?)の隙に変わり果てていたのでした。



似顔絵描き 司・朋也ペア 3

「それじゃあ似顔絵描きの続き、がんばってね。」

そうして比路は清々しい笑顔で自分の席へと戻って行く。

「よく分からないが、大丈夫か?森。」

「な、なんとか。さすがに今回は死んだかと思った。生きててビックリ・・・。」

司は朋也を。
朋也は司を。
お互いにお互いを描いて似顔絵描き続行。

「森。」

「ん?」

「・・・ボロった姿で描いた方がいいか?」

「いやあぁぁ!そんなに細かく描かないでー!」



似顔絵描き 比路・梅ちゃんペア 2

「まったく。」

朋也は『ゆーふぉー』に夢中で見てなかったが。その一部始終、司専用お仕置き技ヒロスペシャルを見ていた梅ちゃん。

「・・・・・・・・・。」

以前等のように今回は暴れてないが、司の後頭部に強烈な肘鉄を容赦なくゴスッと落とすのは下手に暴れるより凶悪。
特殊な訓練を受けてる司だから無事でいられた結末。

「比路くんって本当にお強いんですね・・・。」

それを全部見た梅ちゃんは稚空から言われてた忠告を思い出し、「くわばら、くわばら」と言ってはいけない禁句ワードに改めて用心する。



PM16:30

午後の授業が終わると部活動が始まる時間帯。
また校舎の清掃時間でもあるため当番の班は清掃をやろう。
その頃B組の隣の教室、一年A組のクラスでは、A組のクラス委員長である圭が号令をかけ帰りのホームルームを終わらしたのだが。

(普通にしていれば、普通なんだけどな〜・・・。)

そんな圭の第一印象が良くなかった稚空。
それでも自分のクラスの委員長だから、印象は良くなかったとしても頼りにはしていたい。
だから自分から歩み寄ってみる。
けど、

「相沢くん。部活って一年はいつから参加だっけ?」

「来週の月曜からだと昨日、先生に説明されたばかりだろ。もう忘れたのか、このたわけ。」

「あぁー、そうだったねー。でも忘れたわけじゃなくて、確認したかっただけなんだけどなー。」

「なら次から他に当たれ。僕はお前のような輩を相手してるほど暇ではないからな。」

「うん。そうだねー。次からそうするわー。」

改善されるどころか悪化する一方だった。

(やっぱオレ、こいつキライ。)



PM16:30 2

帰る支度を整えた稚空は仲良くなった同じクラスの生徒と別れ、あの三人をお迎えにB組の教室へ向かう。
そのとき、

「っと。ごめんー・・・。」

「・・・!」

「ッ!?」

教室を出ようとした朋也と、教室の中に入ろうとしていた稚空が鉢合わせ。
目つきの悪い彼と出くわした途端、稚空もビクッと体を竦めて、顔を青く染めさせる。

「つ、通行の邪魔してすいませんでしたーーーッ!!」

そして怯えた朋也から自分との距離を離して、ズサッと道をお譲り。
朋也も朋也でそんな稚空を気にしていたが、構いたくない構う心がズキズキと痛むせいでそれどころではない。

「・・・悪い。」

稚空が譲った道を先に通り、一人先に寮へ帰って行った。

「おっかなー。B組にあんな奴いるんだ。」

そういうわけで司、比路、稚空、梅ちゃんの四人が再び揃い、彼らも寮へと帰って行くのでした。



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