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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#88 昼下がりの罰ゲーム(3/4)
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されぞ偶然とはいえ

こうして喫茶店で、お茶して過ごした2人。

「比路くん、今日はホントありがとね。色々お話し出来て、僕も楽しかったよ。」

「僕も色々と楽しかったよ。喫茶店で話した内容は一部アレだったけど・・・。」

「また良かったら誘ってもいい?今回は罰ゲームとしてだったけど、今度からは罰ゲームとか関係なく。」

「うんっ。」

他に寄り道することなくバスに乗って、真っ直ぐ学生寮へ帰ってきた。
すると、その時ー・・・。

「ー・・・え。」

彼も偶然、寮の玄関ロビーに訪れていたのか。
されぞ偶然とはいえ、比路と明人が一緒に2人で帰ってきた姿を目撃してしまい、思わず声を出してしまう。
そんな彼の声に反応した比路は、聞こえてきた方向を向くと、そこにはなんと、久野の姿が。

「え?って、克也!?!?」

「・・・・・・・・・。」

先日の林間学校で膝を負傷して安静の身のはずなのに、寮内とはいえ自室から出歩いていたのだ。
だから久野を見た途端、比路も思わず声を上げるほど驚き駆け寄った。



明人の爆弾発言

「ちょ・・・、克也。大丈夫なの?動いてて。」

「うん。骨折とか捻挫をしたわけじゃないから。さすがに階段の上り下りは辛いけど、少しぐらいなら動いても平気だよ。それよりも比路。」

しかし久野は、自分の身よりも。
駆け寄ってきた比路の後からやって来る明人が気になるのか。
明人に視線を向けて、彼のことを比路に問う。

「今、外から帰って来たの?」

「うん。今、帰ってきたばっかりだよ。」

「・・・一緒にいるのって鈴木先輩、だけ?司や他の友達は?一緒じゃないの?」

「ん?うん。今は司たちとは一緒じゃないよ。それがどうかしたの?克也。誰かに何か用でもあった?」

「そう・・・、なんだ。」

けれど比路が質問に答えれば答えるほど。
久野は不服がありそうな顔色に変わっていく。
すると話を聞いていた明人は何を閃いたのか。

「うん、そうだよ。僕ら今までデートしてたから、今は僕らしかしないね。」

「「え。」」

久野を見て、わざわざ『デート』という言葉を強調させて口にする。



絶対零度の猛吹雪ブリザード

そんな明人の発言により、事態は一変?

「で、でで、デート!?!?!?」

久野よりも比路の方が驚いた声を上げた。

「今日は本当に楽しかったね。僕ら2人だけで街までお茶しにデートするのも。」

「な、何言ってんの?明人兄。僕らデートなんてしてな・・・っ。」

「比路くんこそ何言ってんの?比路くんだって、さっき楽しかったって言ってくれたじゃない。また友達みんなを差し置いて、2人きりでデートしようね。」

「え?え?え?え?え???」

しかし明人も明人で、驚きっぱなしの比路を放置させたまま。
ニコニコした悪い笑顔で、何故か全て久野に向けて言っている。
そして久野も久野で、聞かされて何を思ったのか。

「・・・・・・ふぅーん。」

彼から絶対零度級の猛吹雪。強いブリザードを感じるほどの視線が。
冷たすぎる目で見られ、比路も思わず氷付くかのように固ってしまう。

「か・・・、克也・・・?」



初めて見る表情

そんな久野の顔は、比路だって初めて見る表情だ。
けどこのままではマズイ。何かがマズイ。カチンコチンに固まってる場合ではない。
それを直感が察して、一生懸命になってまで弁明する。

「克也、ちょっと待って!僕らデートなんてしてないよ!」

「だ、大丈夫だよ?比路。比路が鈴木先輩と仲良いの、俺も前から知ってたし。デートするまでの仲だったとは思わなかったけど・・・うん。比路こそ、そんな強い言い方したら誘ってくれた鈴木先輩に失礼だよ。」

「待って待って、ホントに待って!ホントに!ホントに違うから!」

しかし比路が何を言っても、久野の機嫌は直りそうにない。
なんでいきなりこんな展開になってしまったのか、比路だって訳が分からない。
そんな中、元凶である明人はニコニコなまま。

「比路くんと久野くんって、ホント仲良いんだね。」

「・・・いえ。鈴木先輩ほどではないです。」

「もう!明人兄も笑ってないで助けてよー!」

2人の様子を微笑ましく見ていたのだった。



デートじゃないよ

そうして、ここらでようやく種明かし?

「ふふふ、久野くん。冗談だよ、冗談。比路くんの言う通り、僕らデートなんてしてないよ。」

「えっ。」

「この通り。ゲームに負けた比路くんには罰ゲームとして、僕の荷物持ちをさせてただけだから。だから安心していいよ。久野くんが心配に思うようなことは一切してないから。」

ずっと比路が持ちっぱなしだった荷物を預かり、改めて事の経由を説明。
自分が言い出したデートも冗談であることを伝えて、久野の誤解を解く。

「からかってごめんね。こう言ったら久野くんが、どんな反応するのか気になって・・・つい。」

「・・・・・・・・・。」

すると久野は、どうしたことか。
比路があんなに言っても止まなかった久野のブリザードが、ゆっくり落ち着いて行く。が、徐々に反対色のように真っ赤に染まって、明人に返事する言葉すら出せなかった。

「ー・・・っ。」



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