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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#87 裏側の朝とテスト勉強と(2/3)
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ブルーリーフの皆んなで勉強会

それから日付は次の日に変わり、1学期の期末考査に向けてテスト週間が始まった。
テスト週間期間中のスケジュールは、朝練も午後練も部活動は全部お休み。
その為、寮の門限が18時厳守となり、いつもより1時間早く19時から学習時間が始まるから、それまでには寮生全員お風呂も夕飯も済ませておかないといけないのだ。
けど次の日に変わった今日は土曜日。
週休2日制の今、学校はお休み。部活だってお休みだけど、テストが近いせいでハッピーデーとは言い難い休日の昼下がり。
いつもの遊戯室にて、ブルーリーフのメンバーが久しぶりに全員揃ったが、集まった目的はゲームではなく勉強会。
小上がりになってる和室スペースの長机に勉強道具を広げて、ガヤガヤと賑やかにテスト勉強をしていた。

「それにしてもホントよかった。つかポンとひろピーが仲直りしてくれてて。いきなりだったからホント、一昨日は何事かと思ったよ。」

「ごめんねアッキー、僕のせいで心配かけちゃって。あとひろピーやめて。」

「つかポンもな。」

けど彼らの中で、一際に注目を浴びてる生徒が1人。
周りからの視線があまりにも集まっていた為、気になって気になって、勉強に集中出来なかったので、ソイツに思わずツッコミを入れた稚空。

「ところで華澄先輩、なんでまた格好してんですか?」

「なんでって、あれー?それは前も説明したでしょ。忘れちゃった?稚空。」

その生徒というのは、華澄のこと。
演劇部も夏の大会が控えている関係で、自分サイズに明人が仕立ててくれた女性用のスーツを、彼は華麗に着こなしていたのだった。



一際目立つ演劇部の女王

その姿は、さすが演劇部の女王と言うべきか。

「せっかく出血大サービスで『たゆんたゆん』に詰めて来たんだから、今回こそ稚空ら1年生に食い付いて欲しかったんだけどなー。」

「その『たゆんたゆん』のせいで、オレらまで変な目で見られてそうで、ちょっとヤなんですけど。」

見慣れてない1年生からは「なんでここに女の人がいるの!?」と、真っ赤な顔でドキドキ驚き、見慣れてる2・3年生からは「なんだ華澄先輩or輝夜かよ!!」と、青ざめた顔でガッカリ残念がる生徒が多数いた。

「でも今回も前回も、華澄先輩に似合ってて凄いですね。」

「ホント!?わーい。アキ、今の聞いてた?やっと1年生に褒めてもらえた。」

「よかったね輝夜、梅谷くんに褒めてもらえて。おかげで僕は稚空なんかと一緒にいるせいで、梅谷くんまで穢されてないか心配と不安でいっぱいだよ。」

「『オレなんか』って、なに?兄ちゃん。弟の目の前で、そんな発言しないでくれない?」

何はともあれ、今日から暫くの間、華澄は宣伝も兼ねた女装モードとなった。



爆誕、補習行き予備軍

1学期の期末考査も中間考査同様、1年生は計9教科のテストが3日間行われる。
しかも赤点2個で強制補習行きな夏休みとなる為、みんな思い思いにしっかりとテスト勉強に励む。
・・・かと思えば、

「もー、ダメだー!オレは補習行きな夏休み確定だー!」

「恭くん、それはボクもだよー!このままだと母ちゃんに怒られるー!」

「俺も俺も。今回自信なさすぎて、補習行き予備軍が俺以外にもいてホッとしてるとこー。」 

テスト範囲の広さと量に。
青ざめた顔で嘆く者が3人(司、颯太、恭)いた。

「森や颯太はともかく。恭は編入テスト合格してまで青ノ葉にやって来たはずだろ?」

「編入時のオレは、打倒 峰岸比路に燃えていたからな。何が何でも受かる為、師匠と一緒に猛勉強したんだー・・・が、さすが進学校だな。青ノ葉のレベル、正直ナメてたわ。」

「ナメすぎにもほどがあるだろ、この正解率。」

マル、マル、マルの正解率より。
バツ、バツ、バツの不正解率のが多くて、既にもうお手上げ状態。
補習に通うことになる自分の未来が安易に想像出来た。



補習行きとは無縁な者

けどそんな3人とは逆に、補習行きな夏休みとは無縁になれそうな者もいた。

「ともぴょんのテキスト、マルだらけだね。てか、マルしかない。ともぴょんって中間、いくつだった?」

「・・・2。」

「わぉ!オレも上位の方にいたけど、なんとかって感じだったからなー。」

「それはともかく、ともぴょんは・・・。」

それは以前行われた中間テストの順位が、10位以内の朋也と上位の稚空。
特に朋也の方はシャーペンやノート等は使わずに、目を通して暗記だけで勉強している。

「よく、読むだけで勉強出来るな後藤。」

「・・・こっちのが効率いいから。」

「ねー。ともぴょん凄いね、てるりん。やっぱ1桁代の人は、やり方自体が凡人と違うね。」

「だからともぴょんはやめてくれ。」

「てるりんもやめろって。」

彼の姿を見て関心を覚える稚空と瑛だったが、自分にはとても真似出来そうになかった。



教えて!梅ちゃん先生

その一方で隣りに座ってた梅ちゃんから、数学で分からなかった箇所を教わっていた比路。

「そちらの問題は応用なので難しく感じますが、こちらの公式を使って基礎問題でコツを掴んでしまえば、他の問題にも使えますよ。」

「わぁ、ホントだ。こっちのも解けた!ありがとう、梅ちゃん。教え方、上手だね。」

「いえいえ。比路くんのお役に立てて良かったです。」

彼のおかげで、今まで自力で解けなかった問題が解けて大喜び。
そんな賑やかな話し声を耳にした補習行き予備軍3人衆。

「わーん、梅ちゃん先生!こっちも教えてー!」

「梅ちゃん先生、助けてー!」

「せ、先生?!」

補習まっしぐらな夏休みから免れたいが為に、自分たちも梅ちゃんから教わろうと。
梅ちゃんを先生と付けて呼び、泣きついてまで勢いよく参加しにやって来る。



既に補習が確定された者

そんな梅ちゃんの正解率はマル、マル、マルと。
やっぱり正解のが多くて、彼も補習行きな夏休みとは無縁な者になれそう。

「そういえば梅ちゃんって、何気に勉強凄く出来るよね。授業とか当てられた時でも、全然普通に解いちゃうし。」

「そんなことないですよ。ボクだって分からない問題は分からないですし。」

「でもボクらの分からないと、梅ちゃんの分からないって、なんかレベルが違う気がするね。」

「梅公も朋也や稚空たちのように、余裕で補習免れそうで羨ましいぜ。」

なのに梅ちゃんは、それを否定するように、首を横に振った。

「あ・・・、その件ですが。ボクはもう・・・、夏休み。補習行きが決まってますので。」

「えぇ!?」

自分は無縁でもなく予備軍でもなく、補習行きな夏休みが確定された生徒の1人だと。



夏休みの補習は期末テストの追試でもある

その話は予備軍3人衆以外も。
話を聞いていたここにいる全員が驚きを隠せなかった。
けどそれは、梅ちゃんだけにある訳。

「中間テストの時、ボク・・・休んでしまいましたから。」

「・・・ぁ。」

中間考査の時。彼は前日で体調崩してしまったせいで、当日みんなと一緒にテストが受けられなかったのだ。
それどころか暫くの間、医務室で静養していて会うことすら出来なかったこと、忘れたわけではない。
でもその件は、後日行われた追試で終わってるはず。

「あ。でも夏休みの補習は、期末テストの追試としてだよ。中間の追試とは、また違うんじゃ?梅ちゃんのこの正解率なら俺らよりは全然大丈夫だよ、補習は免れるって。」

「・・・・・・・・・・・・。」

だから期末考査とは関わりがないように思えたが、尾は未だに引いていたのか。
梅ちゃんは既に、自分にだけ確定された補習行きな夏休みを。
異論も反論も皆無で、受け入れているようだった。

「あの・・・、こんなこと。今、言うのも変ですが、もし補習行きな夏休みになってしまいましたら。その際は、一緒に頑張りましょうね。」



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