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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#85 青ノ葉 林間録(中編)(5/5)
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古びた小屋へ

再びところ戻ってー・・・。
久野と犬飼は、ゆっくりゆっくりだったけど、あっちに見えてた古びた小屋のような建物へと、なんとか辿り着いた。
そこへ近付く度に形状が分かっていったが、その建物は見た目通り全て木材で出来た古小屋。
誰かが住んでいる形跡はなく、ただの空き家。
そして玄関となる戸は、何も鍵とかが掛かってなくて、難なく開けられた。

「なあ?もしさ、ここも青ノ葉の私有地に入ってるとしたら。このボロ屋も青ノ葉が所持してるもんだったりするんだよ・・・な?」

「多分・・・、恐らく・・・。」

けど、なんだろう?
この小屋に入った途端、妙な悪寒が2人を襲う。

「お前さ、知ってる?青ノ葉に変な噂あんの。」

「噂・・・?」

「『幽閉された男子生徒』の話。」

そして何を思ったのか。
その小屋に入った途端、犬飼が久野にその話を聞かす。



小屋の奥にあったモノ

「確か・・・、卒業式の日。青ノ葉のどこかに閉じ込められて、卒業式に出られなくなった生徒の話・・・、だろ。」

「なんだ、お前も知ってたのか、それ。」

それは青ノ葉学園に隠された1つの噂。
嘘か真か分からないけれど、人から人へ渡っていった、ちょっと不思議なお話。

「うん・・・。俺も噂として、先輩から聞いたことがあるだけ・・・、だから。」

「まあ、言うオレも。純平から聞いた程度なんだけどさ。」

どうしてその話を今、急にし始めたのか。
その理由はとっても簡単。
隙間風によって揺れて小さく鳴る金属音が、入ってきたばかりの2人に存在を知らせてきたから。

「その閉じ込められてた噂の場所って、ここ・・・じゃないよな?」

「・・・・・・。」

「奥にあるアレ。どう見ても鎖・・・にしか見えないんだけど、オレ。」

「・・・・・・。」

おかげで日も暮れて薄暗い室内でも、それが何なのか分かってしまったのだ。
この古びた小屋の奥の壁に鎖が吊るされていて、ここで人1人、拘束して閉じ込めるには十分な役割りを果たすだろう。



崩れるように倒れた彼

噂は所詮、伝言ゲームのように。
どこかに偽りも混ざっていて、どこが本当なのか分からない。
けれど論より証拠となるモノを見つけた以上、真となった新事実。
そうなれば、その噂に対しての印象がガラリと変わってくる。

「・・・あっちに戻ったら、純平に話してみるか?」

「待って・・・、犬飼。その噂・・・っ・・・、違う。」

その上で、どうするべきか。
犬飼が何かを考えていた時、それを見てた久野が何かを言いかける。
けどそんな久野は、さっきからずっと話す言葉に力がなく、ついには途切れてさせてしまう。

「ん?どうした?お前。」

その様子をよく見ると、彼は暑そうに汗を掻いていたが、どこか変。
けどそれは『やっと』気付けたことだったから、気付いた時には遅かった。

「え?」

肩で組んではずの久野の身体が自分から離れ、その場で崩れるように倒れたのだったー・・・。

「おい!しっかりしろ!」

「ー・・・っ。」

「しっかりしろってば!!久ー・・・克也!!」



青ノ葉 第85話をお読みいただきありがとうございました!


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