転がり落ちた犬飼のあとを追うように。 覚悟を決めて、上手に滑り降りていく久野。 この崖が垂直ではなかったことが不幸中の幸い? しかし斜面の傾度はエグく、滑る勢いは止められない。 少しでもバランスを崩したら自分までも転がってしまいそうだったが、そこは日頃から身体を鍛えているおかげの賜物もあり、上手に上手に滑り降りた身体は怪我を負うことなく1番下の位置まで到達した。
「・・・っ!」
エグかった斜面は、ほぼ草と土。 大きな岩とか樹とか落ちた滑路にはなく、1番下も続いてた雨の影響で緩かった地面がクッション代わりとなった。 そのおかげでなんとか無事に済んだが、本当に無事でよかった・・・と、久野はホッとした息を強く吐く。
(ふぅ・・・。)
その心は、ドキドキとバクバクでいっぱい。 こんな経験したのだって今が初めて。 だけどそんな自分に構ってる暇はない。 さっそく先に落ちた犬飼を探したが、
「あ、いた。」
「!?」
手間が全くもってないほど、いきなり発見。 自分がいた位置とは少し離れていたが、無事に転がり落ちてくれていたようで、犬飼も大きな怪我は負っていなかった。
|