「とにかくオレは、こんなんで動けねえっつーか、極力動きたくないんだから。行くなら自分1人で勝手に行けよ。」
久野の言葉を聞き入れないのには、そういった訳もあったから。 けどそれ以外にも、もう1つ理由があった。
「そもそもお前、色々頼んだって言ってたけど、上にいる奴らと連絡手段出来るもん。スマホとか今持ってんのかよ?」
「え?あっ!・・・しまった、まだバックの中だ・・・った。」
「だろうな。生徒会でもあり模範生でもあるお前が、違反犯すような真似するわけねえもんな。」
「違反というか、掃除中だったんだから仕方ないだろ。その間は持たないようにって、先生たちに言われてたし。」
クラブハウスを清掃中は、スマホを持たないようにと。 先生から指示を受けていた為、従った久野は今、連絡手段が何もない状態。
「だっっっさ。連絡手段もない状態で、何も考えずに崖から滑り降りて来るとか、役立たずにもほどがあるだろ。何、野次馬しに来てんだよ、ホントに。」
「それはー・・・ごめん。謝るよ・・・、本当にごめん。」
それを犬飼に指摘されてから気付き、改めて下手に動かない方が賢明な状況となった。
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