≪ top ≪ main


青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#83 チグハグな2つ夜(3/3)
]  [目次へ]  [

オルチョコセットは司のド定番

「ちゃんと食べたし、もう俺のお腹には入んないから。あとはヒロが責任持って残りを食べて。」

「うん・・・。」

すると比路もやっと受け取って、大人しく続きを最後まで食べた。

「もー、オルチョコセットはズルイって。寮に来てからしばらく食べてなかったんだから、見たら食べるしかなくなるじゃん。」

ちなみにオルチョコセットとは、オールドファッションとチョコドーナッツのこと。
この2つは絶対に好きで食べる組み合わせだから、司が独自で作った自分だけの通称名なのだ。

「ヒロ、ちょっと待った。ストップ、ストップ。」

「?」

「やっぱもう1口ずつ、ちょうだい。食べさせて♪あーん。」

「ー・・・はい、あーん。」

こうして2つのドーナッツを2人で食べ終えた後は、歯磨きセットを持って部屋の外へ。
コッソリ音を立てないように洗面所に向かって一緒に歯磨きを。
それでも見回りしてた日暮寮長に見つかったが、「お喋りに夢中で歯磨きしないで寝るとこだった」という偽りの言い訳が効いて、ちょっと注意されただけで歯磨き終えたら、無事に部屋へ戻って来れた。



チグハグな2つ目の夜

それからまた2人で一緒の場所へ。
下の段のベットで比路は司による刑が続行されたまま。
でも今度は余所余所しくなって生まれた溝を埋めるかのように、背中からではなく顔が向き合った状態で引き寄せられている。
そしてお腹が少しでも満たされたお陰で、スヤスヤと眠りに付いた。
一方、司は比路が寝てくれるまで、彼の寝顔を見ながら、ずっと起きていた。

「・・・なんで先にヒロが謝んのさ。ダメだよ、いくらなんでも。ヒロに悪かった部分なんてなかったじゃん。だから意味なんてないよ、ヒロのごめんなさいには。」

それはずっと溜め込んでた文句なのか。
ここぞとばかりにボソボソと呟く。

「あと交わした約束を違わせたら、もうそれ約束じゃなくなってるから。俺だってヒロを嘘つきなんかにしたくないんだから。どう足掻いたって一緒になんて行けるわけなかったんだよ。」

近くで寝てる比路にさえ届いているのかいないのか、分からないほどの小さな声で。
けどその時、見てた目から一瞬だけ溢れ落ちた涙が片側の目尻を一筋に濡らす。
それを逃さなかった彼は、そっと静かに拭いて痕すら残さないようにする。

「・・・もうホントにいいから。大丈夫だから。頑張ったね、泣き虫がここまで泣かないでいられたの。んでもって・・・ごめん。」

呟く文句も懺悔の色に変わり、言いたいこと言って落ち着いたのか。
彼もようやく眠ってくれた。
抱き枕の刑にさせた彼を大事に大事に、自分の中にしまって。

「俺が克兄ちゃんにも、克兄ちゃん以外の人にも迷惑掛けててー・・・、ごめんなさい。」



とても懐かしい夢

その日の夜。
とっても懐かしい夢を見た。
それは幼い頃の夢。

『あれ?司はいないの?』

『あっちで違う子と遊んでる・・・。』

風景だって懐かしいし、登場人物だって皆んな幼くて懐かしい。

『んー・・・、じゃあ比路。司がこっちに来るまで、2人で先に遊ぶ?』

『うんっ!一緒に遊ぼ、克也。』

だから当時抱いた負の感情が、夢の中でもう一度、蘇ってきた。

『ちょっと待って司!比路はただ司をー・・・ッ!』

『もういいよ!ヒロなんて、知らない!帰る!!』

そこに誰も悪かった人なんていなかったのに。
その子は怒ったのか。拗ねたのか。どれなのか分からない感情が暴走を起こして、突然帰ってしまったのだ。
ずっと一緒にいたはずのあの子を1人、置き去りにさせてまでー・・・。



青ノ葉 第83話をお読みいただきありがとうございました!

本当は82話の最後でやる予定だったお話
あまりにも話全体の空気感が歪いてしまったのと
かなり長くなってしまっていたので大人しく分けました

なので前日準備→林間学校となるはずが、
前日準備→前日前夜→林間学校の流れとなりました

7月入ってから曜日も日付けも行方が不明になるほど
展開が切羽詰まり1日1日の速度もクッソ遅くなってます
おかげで夏休みまでもう時期なのに、まだまだ
まだまだかかりそう(汗)
青ノ葉学生の皆んなに申し訳ない・・・


]  [目次へ]  [
しおりを挟む




BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×