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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#82 前日準備、買い出しランデブー(2/4)
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晴れた7月は暑い

そんなことがあったが放課後を迎えたのであれば、お出かけ用の私服に着替えてから、待ち合わせ場所に指定している学生寮のロビーへ向かおう。
するとそこには既に久野の姿があり、何分前からいたのか分からないが、ソファーに座って比路が来るのを待っていた。

「午後の授業もお疲れ様、比路。準備出来た?」

「・・・うん。」

「ん?どうかした?あんまり元気ないように見えるけど大丈夫?」

「あ・・・、ううん。大丈夫、大丈夫。今日暑かったから、その暑さに体力持ってかれた感あって少しバテ気味なだけ。」

「確かに今日は晴れたから、午前中のうちから暑くて大変だったね。今年の最高記録、更新されてそう。」

制服やジャージ、道着姿は普段から見慣れている格好だけど、街まで出掛ける為の私服は着るのも見るのも久しぶりだから、お互いに少し新鮮だった。

「このまま梅雨も明けてくれればいいのにね。」



お出かけ前に

「それじゃあ比路、忘れ物も大丈夫?またスマホを部屋に置きっ放しにしてない?」

「うん、大丈夫。スマホだって、ほら。ちゃんと持ってるから。」

久野は林間学校への準備の買い出しに誘っていたのは、本当に比路1人だけだった模様。
これで人数揃ったから、外出届けを提出しに日暮寮長の元へ向かう。

「はァ!?バス!?おいおい、マジでそれで行くつもりかよ!?」

「え。だって自転車は、他の2年も買い出しで使ってて全台出てますし。」

すると寮長は久野から外出方法を聞いた途端、とても驚いた声を上げた。
そして何があったのか。

「峰岸。お前の判断でいいから、克也を嗅いでチェックしてくんね?ニンニク臭が残ってたら、マジで殺人テロに成り得るから。」

「へ?ニンニク!?」

「え!?嘘、やだ、まだ臭い残ってます?比路、もしかして俺、さっきからずっと変に臭かったりしてた?」

久野から香る匂いに悪臭が混ざってないか。
比路の鼻で厳しくチェックさせた。



昼間、皆んなに内緒で

「まだ出掛ける用事が残ってたんなら先に言えよ。つーか、そんな状態で餃子なんか食うな。エチケットの基本だろうが。」

「だって蓮さんが、この店の餃子は美味いって。さっき俺に勧めて来たじゃないですか。」

「おう。俺が言ってた通り、あそこのラーメン屋の餃子美味かったろ?」

「はい、美味しかったです。蓮さんとご飯食べに行ったのも久しぶりでしたから。」

どうやら久野と日暮寮長は今日の昼間、一緒に外のラーメンを食べに行ったらしい。
その時に餃子も美味しく食べたから、それで久野の臭いを気にしていた。
でもそれは食べた方も食べた方だが、勧めた方も勧めた方だ。
林間学校前日だというのに何やってんだ・・・。
そんな仲の良い2人の会話を聞いた比路は、まさかの話で驚いたが、それ以上の気持ちが。

「いいなぁ、ラーメン。」

『ラーメン食べに行った』というワードが、久野だけの為にあるように感じて、凄く羨ましく感じた。

「ー・・・克也がアホやらかすから、峰岸にバレただろうが。誰にも言うなって条件付きだったろ。」

「俺だけのせいにしないで下さい。それに蓮さんが先に比路の前で公言したじゃないですか。」

「けど美味かったろ?ラーメンも。また時間あったら誘うわ。」

「はい!また是非、連れてってほしいです。」



スメルチェック

久野本人も分かっていながら食べたから、明日のためにも夕方のためにも。帰ってきたあと、ケアにかなり力を入れて気遣ったようで悪臭の気配はなく、とりあえず大丈夫そう。
衣類からくる柔軟剤以外にも、清涼感のある香りが久野からしていた。

「自分の臭いチェックされるのって、なんか恥ずかしい・・・。比路に申し訳ないし。」

「その他大勢に大迷惑かけるよかマシだろ。」

「比路、大丈夫?俺、臭くない?」

でもそれは男の子というより、男の人を意識させるような匂い。
その香りにちょっとドキッとした比路だったが、そのちょっとが自分から久野が遠く離れていくような感覚がした。
彼の身体は、こんな直ぐ目の前にいるのに。

「うん・・・、多分?大丈夫っぽい。」

しかしそれを感じたのはホンの一瞬。
気のせい?錯覚?思い違いだったのだろうか。

「まあ、峰岸で大丈夫そうなら大丈夫か。」



2+1

「分かってるとは思うが、ちゃんと門限までには帰って来いよ。」

「はいっ。」

外出届けが日暮寮長に受理されれば、これにて準備は全て完了。
かと思いきやー・・・。

「んじゃ仲良くー・・・、3人で行ってらっしゃい。」

「「え?3人!?」」

メンバーは比路と久野の2人のみ。
なのに寮長は『2』ではなく『3』でカウントしたため、息が揃った驚き方をする2人。
そして勝手に追加されたその3人目は、2人の後ろに。

「オレの分も受理して下さって、寮長あざっす♪」

「豊先輩!?」

なんと小町がニッコニコ顔でいて、自分の分の外出届けを寮長の提出した。



久野のレアな表情

比路・久野のメンバー2人に、プラスカウントされる小町。

「え!?豊先輩も来るんですか!?」

「もち♪ 買い出しメンバー内に経験者もいれば、用意周到に買い物が出来るっしょ?」

でもそれは小町本人の口から何も言われてなかったこと。
なので発案者でもある久野は、特に驚いていた。
だから微妙な表情で文句の1つや2つ、思わず溢してしまったが、

「え、あ、いや。それはそれで俺としても有難いことですが。ー・・・事前に言ってくれればいいのに。」

「えー。だって言ったらつまんないじゃん。峰ぎっちゃんと2人で出掛けたかった予定を、オレ追加によって狂わされることで、微妙な顔をするかっつぁんの様を。オレはそれを拝みたかったんだから。」

「・・・・・・・・・っ。」

小町にとっては、それも期待していた展開。
お望みのモノが見れて、超ご満足。
この価値観を何故か日暮寮長と、ハイタッチをパァンッと交わしてまで分かち合うのだった。

「何で蓮さんまで豊先輩とハイタッチするんですか!?まさか蓮さんまでグルだったんですか!?」

「さあ?そこは克也の想像に任せるわ。」



部長からの連絡のおかげです

「まあまあ、かっつぁん。色々と言いたいことは分かるけど。誰の計らいのおかげで今日の放課後、街まで一緒に出掛ける時間が生まれたと思ってんのさ?文句はそこまでにしとこうか?」

「ー・・・っ。」

そして結局、小町に言い負かされた久野。
まだまだ言いたかった文句が言えなくなり、飲み込まされる羽目に。

「まっ。もしイヤだと断られても、オレはオレで勝手に2人を尾行する予定だったから諦めろ、かっつぁん。」

「せめて蓮さんを巻き込むのだけはやめてほしかったです・・・。」

こうしてサプライズで人数追加された小町。
2人ではなく3人で仲良く街に出掛けて行った。

「そんじゃ寮長の言う通り。オレ、かっつぁん、峰ぎっちゃんの3人で仲良く行こうな。よろしくー。」



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