≪ top ≪ main


青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#81 親しい仲の仲直り(5/5)
]  [目次へ]  [

余計だった余計じゃないお世話

「・・・ったく。さっきから黙って見てれば、口ばっかり動かしやがって。手も動かせ、手も。」

おかげでドッキリびっくり。
心臓に負担が掛かるほど驚いた2人。

「れ、蓮さん!?いつからそこにいたんですか!?」

「ん?んー、克也が峰岸の背後に回ったあたりから。気づいてなかったのな?ガラ空きになってる自分の背後を見られてる俺の視線。」

「ほぼほぼ全部じゃないですか・・・っ。他にあった用はどこやったんですか?」

「おう。気まずくなってても2人でちゃぁんと付けてるか。俺も気になってたんで、さっさと済ませた。」

ずっと見られてたことを知った久野は、ドキドキ高鳴ったまま、色々と文句も申す。

「けど正解だったろ?見張ってて。俺のお世話は余計じゃないって、身をもって分かっただろ?」

「ーーー・・・っ。」

けど返される言葉に反論が出せず、見られていたショックのあまり、その場に屈する久野だった。



親しく話す仲の良い2人見て

そんな寮長の水差しのおかげで再開させた作業。

「比路は気づいてた?俺の後ろに蓮さんがいたこと。」

「ううん。僕からじゃ克也を見てた時も、克也しか見られなかったから。」

「克也も峰岸も柔道やってる武道者だろ?いくらなんでも簡単に背後取られんなよ。」

指示が寮長から出るおかげで、どんどんどんどん。備品を片付けるペースが、さっきよりも早くなってテキパキしていく。
その間も久野と寮長で話し合ってることが多かった。

「よかったな、峰岸も。こんな埃まみれな場所が、克也との初めてにならんくて。」

「初めてって、え???」

「蓮さん!比路に変なこと言わないで!そんなんじゃないって、さっきも言ったでしょ!!」

久野が憧れてる人は日暮寮長。
それを知ったからなのか。
親しく話す仲の良い2人を見て、つい微笑ましくなる比路だった。



脚立はないけど踏み台はあるよ

しかしその時、

「あ。」

久野と交換したはずの段ボールの中にも、比路の背丈では届かない位置のモノを見つけた。
けど寮長の前で久野に頼りに行くのは、なんか変な抵抗感がある。
なので代わりに、保管庫に脚立が存在しない文句を寮長に申す。が、

「寮長・・・。保管庫に脚立ってないんですか。」

「ん?こっからじゃちょっと見えにくいが、あそこの壁際に踏み台掛かってっから。勝手に好きに使え。」

「・・・・・・え。」

寮長が指差した先には、壁の隅に掛けられている折りたたみ式の踏み台があった。

「踏み台・・・、あったんだ・・・。」

「ないわけないだろ。棚の高い場所を掃除するとき踏み台ねえと、さすがに俺や克也でも奥の奥までは届かねえから。てか、俺に言う前に克也に訊かなかったのか?」

それを知った途端、比路は久野をジト目で見る。
けどその久野は汗だくでそっぽ向いていて、極力比路と顔を合わせないようにしていた。

「「・・・・・・・・・。」」



決して仕返しとか意地悪とかじゃない

確かに『脚立は』なかった。
でも『踏み台は』あった新事実。
あの時、久野に意地悪されてたことを今さら知って怒る比路。

「克也ー!!」

「違う違う。誤解だよ、比路。ほらさっきは脚立ない?って、先に比路が言ったから。だから俺はこの保管庫に脚立はないよって、正直に答えたまでであって。」

「でも踏み台あったのなら踏み台あるって教えてよ!意地悪!」

すると久野はアセアセとエヘエヘ言い訳しながら、逃れしようとしていた。

「それは違うよ。脚立なかったら比路、どうするんだろう?って気になって、なんとなく様子を見たかっただけだよ。決して避けられてた仕返しとか、意地悪したくてしたわけじゃなくて。」

「僕、届かない物が続いてて困ってたのに。あの時、笑ってたのって、そんな僕を嘲笑ってたってこと?」

「それも違うよ。あの時は本当に、予想外なことが起きたから。それでつい笑っちゃっただけだって。」

けどどんだけ続けようが、故意でやったことには変わりなかった。



無自覚式とんでも爆弾

「だってあの時の比路、俺に頼るしか術がなかったのかなって感じだったから。それが予想外で、面白かったんだよ。」

そして久野がニッコリ顔で語る言い訳は、とんでもない方向へ。

「比路が俺なしでいられなくなってて。」

「ーーー・・・。」

「・・・・・・・・・。」

それを聞いた比路は思わず絶句。
聞いてた日暮寮長も思わず絶句。

「あれ?俺なんか今おかしなこと言った?なんで蓮さんまで言葉失った顔してるんですか?」

「あー・・・、いやー・・・。克也は割とS寄りの性癖してんのなーって思って。」

「性・・・!?蓮さん、なんでいきなりそっち方向に話を持っていくんですか!?やめて下さいよ!」

なのに久野本人は『とんでも』を、さらりと言った自覚がなかった。



仲直り後の深まる仲

そんなこんなでやっと全ての備品を、先入れ先出し絶対厳守で片付け終えて、日暮寮長からも解放された比路と久野。
捕まってた時間は長かったけど、今はまだ自由時間の真っ最中。
このまま彼らもここで解散するかと思えば、

「比路、待って。もう少しだけー・・・、2人で話さない?」

「うんっ。」

もう少しだけ2人っきりで。
場所をロビーに移して設けられているソファーに並んで座って、親しく仲良くお喋りをし合う。
喧嘩はしてなかったけど、仲直りした後には、互いの絆をより深める法則があるのか。
ガヤガヤと周りは賑やかだったけど、ここだけ賑やかさが少し違うように錯覚させるのだった。



青ノ葉 第81話をお読みいただきありがとうございました!

司比派の方には申し訳ないですが、敢えて言わせて下さい

克比はいいぞー

ってことで。
第4章目はお察し出来た方もいるかもですが
久野がメインになってます

克比はいいぞー



]  [目次へ]  [
しおりを挟む




BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×