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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#81 親しい仲の仲直り(3/5)
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ギクシャクでも説明はしっかりと

そんなこんなで寮長がどっかに行ってしまったので、改めて2人となった比路と久野。
言われた通りに、積まれた段ボールの中にある備品を保管庫内の棚に片付ける作業に移る。

「飲食類は、もちろん。他の保管品も劣化を防ぐため、先入れ先出しは絶対厳守でお願い。」

「先入れ先出しー・・・って、何?」

「古いモノから先に使えるように、全部1番後ろに並べて置いてほしいってこと。」

「なるほど。」

そしてさっそくやり方を説明してくれた久野だったが、

「ー・・・じゃあ、あとは同じモノと一緒の位置に並べるだけだから。こっちとこっちの箱は俺がやるから。そっちの箱、頼んでいい?」

「うん・・・。」

説明終わったら、そのままお話もおしまい。
段ボールの中身を1つずつ取り出して、1人で黙々と片付けし始めた。



黙々な2人

いきなり置いてかれた比路だったが、このまま置き去りにされないように。
久野の動きを見て見様見真似で、自分が担当した段ボールの中身を片す。

(これはー・・・あ。ここか。先入れ先出し絶対厳守で、1番後ろに並べて置くっと。)

けど物の位置を探して見つけるまで、どうしても時間が掛かってしまっていた。

「「・・・・・・・・・。」」

その間、お互いに喋らず目の前の仕事を真面目にやり過ぎているせいで、とってもとっても静か。
おかげで物を動かす音が、やたら目立って聞こえた。

「「・・・・・・・・・。」」



問題発生したのは比路だけ

しかしここで問題発生。

(え!?これ、1番上の棚!?)

比路が片付けていた備品の中に、自分の背丈では届かない位置のモノが入っていたのだ。

「・・・・・・。」

でもこんなことで、いちいち狼狽えるわけにはいかない。
だってこんなことチビ助な比路にとっては、あまり珍しいことではなく日常茶飯事、よくあることだ。
だから見つけた一瞬はつい焦ってしまったが、すぐに冷静を取り戻し、解決策となる脚立を求めて探したが、

(あ、あれ?ない???)

どこにもそれっぽいモノがなく、見つけることが出来ず、結局狼狽えてしまう。



キャキャタツキャタツ

一方、久野は何事も問題なく。ずっとテキパキ動いていたから、1つ目の段ボール分が終わろうとしていた。
それを横目でチラッと見た比路は『さすが克也、早い』と思ったが、このまま何も出来ずにいたら、自分は足手纏い確定だ。
いくらなんでもそれは絶対に嫌だったから、心を落ち着かせるために深呼吸を2回。比路なりに覚悟を決めてから久野に声を掛けた。

「か・・・っ、克也。」

「ん?」

「あの・・・。きゃ、脚立って・・・、どこ?」

「え?キャキャタツって何???」

けどその言い方は、あまりにも深刻そうだった。
久野も聞いた瞬間、『脚立』というワードが別の物のように思えて、動きが固まる。

「脚立は脚立、だよ?克也。」

「あぁ、脚立か!ごめん、ごめん。そうだよね。脚立は脚立だよな。一瞬、何か分からなくて、比路が暗号でも言ったのかと思った。」

でも脚立は脚立でしかないから。
すぐに理解した久野は、一瞬でもボケてしまった自分が、とても恥ずかしく思えた。



『脚立は』ないよ

「どうしても僕じゃ届かない物があって。」

「・・・・・・・・・。」

しかしー・・・、

「ごめん・・・。この保管庫に脚立はないかも。」

「え!?ないの!?」

「うん。だって、ほら。蓮さん身長高いから。脚立なくても1番上まで届くし。」

『届かない』を解決させる神アイテムの脚立は、ここには存在しない模様。
寮長が届く位置は、久野にとっても当然余裕の位置だから、今まで必要とは思わなかったのだろう。
おかげで絶望を覚える比路。

「・・・・・・・・・。」

脚立がないってだけで、なんでこんな思いをするのだろう。

「どれ?置いたげるからちょうだい比路。」

「ごめんね・・・、克也。」

結局、久野頼りになってしまい、何も出来なかった自分がとても情けなかった。



3度目あれば4度目も続く

が、いつまでも沈んだままではいられない。
比路は気持ちを直ぐにでも切り替えて、次に置く物の位置を探して見つける。

「か・・・、克也。これもお願いしてもいい?」

けど不運とは、本人が望んでない時にも続くようでー・・・。

「・・・克也、これもいい?」

2度目があれば、3度目も続いて。

「ごめんなさい、克也。連続で何度も何度も頼っちゃって・・・。」

これが4回も続けば、情けない通り越して、足手纏い確定で申し訳なくなる。
久野に頼りに行くほど顔を青く染めた比路だったが、反対に久野はクスクスと優しく微笑んでいた。

「大丈夫だよ、比路。気にしないで。」

「本当にごめんね、克也。手間ばっかりかけて。」

「ううん。俺の方こそ、ごめんね。なんて言うか、こうくるとは思わなくて予想外だったから、つい笑っちゃって。」



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