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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#81 親しい仲の仲直り(2/5)
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いつメンから欠ける比路

そうして午後の授業も無事終わって放課後を迎え、部活も終わった夜の時間ー・・・。
テスト週間の期間に入れば、夜の自由時間も自由に遊べなくなってしまう為、司や朋也、稚空や梅ちゃん、恭。明人や華澄の姿も遊戯室に集まっていたが、そんないつメンから比路が欠けていた。

「つかポン。今日、ひろピーだめぽ?」

「うん。なんかゲームする気、起きないから今日はパスだってさ。あと、つかポンやめい。」

「てるりんもそうちゃんもいないから高レベダンジョン攻略、また無理っぽいね。オレの回復力じゃ追いつけないし。今日はドロップデーでもあるから行きたかったなぁ。」

「そこはしょーがないって。今回は俺らだけで対戦しまくろ?もちろん罰ゲーム付きで。」

それでもいつもと変わらない賑やかさ。
ガヤガヤと楽しそうな声が部屋の外にまで溢れそうだった。
一方で、皆から欠けた比路はというとー・・・。

「わ!?」

「・・・っと。危ねえな。なんだ、峰岸か。」

飲み物を買いにロビーの自販機に向かっていたが、その途中、寮長室からちょうど出てきたばかりの日暮寮長と鉢合わせ、ぶつかりかけてしまう。



克也代理に拒否権はない

その寸前で、お互いにお互いを避けたので衝突は見事に回避。
おかげで2人とも無事、怪我を負うことがなかった。

「おいおい。ちゃんと前見て歩けって。ぶつかって怪我したらお互い痛いだけだしよー。」

「ご、ごめんなさい。ちょっと考え事してて、つい。」

しかし比路の反応にハリはなく、ちょっとしょげていて浮かない顔をしている。
寮長は、その様子に気づいているのかいないのか。

「峰岸。今、1人か?」

「うん?・・・うん。」

「お、なら呼び出す手間省けて助かったわ。ちょうど峰岸を呼び出して、また手伝わせようとしてたところだったから。」

「え。ま、また?」

「そ、また。怨むなら許可もなく勝手に人のスマホに番号登録した自分を怨め。」

「うっ・・・。」

比路が1人だと分かった途端、己にとって好都合と捉えたのか。
拒否権を与えず、そのまま比路を『克也代理』として連れて行く。



直球ストレートの伺い

向かった場所は、もちろん前回同様、学生寮の保管庫前。
けど今日は、その部屋の前に大きな段ボールが3つほど積まれていた。

「な、なに?この積もれた段ボール。」

「この間、発注した備品類が届いて検品は日中のうちに済ませたんだが、今日は他にも用があって忙しくて、片付ける時間が作れなくてよ。」

「・・・・・・・・・。」

それを見た比路は思わず気になったが、耳は素通り状態。
人にモノを尋ねておきながら、心ここにあらずだった。
ので、今度は日暮寮長から比路に。

「で?峰岸。その後、克也とどうなった?」

久野とのことを、ほぼ直球で尋ねてきた。が、その質問に答えられなかった比路。

「ーーー・・・・・・っ。」

「その様子じゃ、まだなのな。」

何も言えなかったけど、それが1つの答えとなった。



合わせられない訳

「おいおい。克也のこと頼んでたはずだろ?」

「だ、だって克也があんな顔したの、初めて見たんだもん。」

あの日から比路は久野と会うのが気まずくて、ろくに顔を合わせられず避けてしまっていた。

「だからどんな顔して克也に会ったらいいか分からなくて・・・。」

「前にも言ったが、だからと言って意味もなく、峰岸が克也に謝ったりするなよ。」

「寮長がそう言うから、余計に克也と合わす顔がなくなったの。喧嘩したわけじゃないのに・・・。」

すると寮長は、そんな様子を見るに見兼ねたのか。
小さく溜め息を吐いて、ポチポチと自分のスマホをいじり始める。

「あんま生徒同士のいざこざに直接、関与も手出しもしない方針でいるんだが、今回は俺にも一理あるしな。・・・仕方ねえ。峰岸、貸し1な。」

「へ?」

「ここに克也を呼んでやっから。気まずさ継続させたくなかったら、ちゃんと仲直りしとけ。」

「え?今!?」

そして勝手に貸しを1つ作らせ、比路の返事を待たずして、久野に連絡してこの場に呼び寄せたのだった。



貸しがあったこと忘れてないよな

久野も久野で日暮寮長からの呼び出しは、無視出来なかったのだろう。
数分して直ぐにやって来たが、比路がいると分かった途端「あ・・・」という顔をしてしまう。
比路も比路で心の準備が出来なくて、久野と顔を合わせられずにいる。

「あの、蓮さん。用ってなんですか?」

「この積まれた段ボールを見りゃ、克也なら一目瞭然だろ。この中身を保管庫にしまうの、克也も手伝ってくれ。峰岸と一緒に・・・、2人で。」

しかしそんな彼らの気まずさなんか知ったこっちゃない態度の寮長。
こんな状態の2人に構わず関わらず、自分の仕事を2人に丸投げてきた。

「え!?比路と2人で!?」

「そ。この時間でも終えてない時点で察してほしかったが、俺も今日は忙しくて、出来ればさっさとそっちに戻りたいほどなんだ。克也なら置き場所、全部把握してくれてるだろうし、盗んだりしねえって信用してっからさ。峰岸をこき使っていいから、頑張って2人で片付けてくれ。」

「でも俺ー・・・「克也。貸し、あったよな?」

「ーーー・・・・・・っ。」

もちろん久野の言い分なんて、言語道断。
前に作らせた貸しを今この場で返させて、拒否を拒否して生ませなかった。



最悪で余計なお世話の耳打ち

「峰岸はまだ、置き方も何も分かってない状態だから。ちゃんと克也がフォローしてやれよ。」

「は・・・、はい・・・。」

「んじゃ、ここは任せたから。あとは2人で仲良く、手分けして片付けてくれ。」

こうして寮長の仕事を手伝うこととなった2人。
自分のせいで久野なんて強制的になってしまったから、とっても申し訳なくなる比路。
こんなことなら寮長に相談するんじゃなかったと、遅い後悔をする。

「あ、克也。」

そしてこの場から去ろうとした寮長だったが、その前に。
久野の肩にポンと手を置いて、小さな声で耳打ちを。

「せっかくチャンス作ってやったんだから。ずっとこのままでいたくなきゃ、ちゃんと峰岸と仲直りしろよ?」

「・・・言われなくても分かってます、そんなこと。」

「それでも念のため釘刺しておくが、仲直りしすぎてー・・・ヤったりすんなよ。」

「は?なッ!?・・・ッ、しませんよ!比路とそんなこと!!」

聞いた久野も思わず全力否定するほど、とてもとても最悪で余計なお世話すぎる注意だった。



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