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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#11 放課後の猫さがし(3/3)
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寮の医務室

校舎から桜並木の一本道を通り、学生寮へ帰ってきた三人。
そのまま真っ直ぐ一階の医務室へと向かう。

「いらっしゃい。そんなに急いで急患ですか?」

するとそこには温かいカフェオレを飲んで寛いでいたチロ先生の姿があり、やってきた三人を出迎える。

「チロせんせっ、シロは?シロ!シロいませんか?」

「え。」

そして行方が分からなくなったシロの話を聞き、

「あぁ。シロならいらっしゃいますよ。先ほどご飯食べさせたばかりなので、今はグッスリと眠っておりますが。」

チロ先生は優しく微笑みながら、グッスリと眠ってるシロの姿を。
そっと静かに起さないよう小さな声で見せてくれた。

「シロっ!」

数時間の時間を得て、ようやく再開した一人と一匹。

「いてよかった〜。ほんとうによかった〜〜〜っ。」

一番シロを心配していた永瀬は心の底からホッと安心した瞬間に力が抜けて、その場にヘナヘナと腰を下ろした。



永瀬の愛情

チロ先生は夕方ごろ、学校から脱走しそうになったシロを偶然見かけ、それからずっとここで保護してくれていたようだ。

「なるほど。ずっとシロを探していたんですね。すみませんでした。この場を離れるわけにもいかず、すぐ永瀬くんに伝えること出来なくて。」

「いえ。こうしてシロを見ていて下さって本当にありがとうございました、チロ先生。」

「よかったね、めぐ。」

「うんっ!」

何はともあれ。無事にやっと再開した一人と一匹の永瀬とシロ。
その様子は、どれだけ彼が一匹の猫を心配していたのか。

「あ、めぐ待って!シロ寝てるってば!」

それを物語るように抱き飛びついて体現化。

「シロ〜!シロシロシロ〜!もうすっごくしんぱいしたんだからね〜〜!!!」

「ブニャァァァァァアアアアアアアッッッ!!!!」

だがあまりの嬉しさに寝ていたシロを驚かせ、猫独特の断末魔を上げさせたのでした。

「あぁぁ・・・。寝てるから待ってて言ったのに。」

シロを想う永瀬の愛情。
それはきっと十二分以上のハート乱舞で、いっぱいいっぱいあるに違いない。
けど、やりすぎもほどほどに・・・。



二人と一人へ

「さぁ。永瀬くんも久野くんも鈴木くんも着替えたら、あまり遅くならないうちに食堂に向かって下さいね。蓮く・・・おっと。遅くなると日暮寮長に怒られてしまいますから。」

「「「はい。」」」

ガリガリ、バタバタ。ガリガリ、バタバタ。
シロはふくよかな割には新鮮な魚のように暴れているが、抱かれる永瀬の腕から逃れられず、

「シロ、無事に見つかってよかったね。」

「うんうん。ほんとうによかったよ。」

また永瀬も物ともしていない。

「会長に鈴木先輩。それでは俺はこれで。」

「かつやもきょうはつきあってくれてありがとね。」

「いえ・・・。」

そして久野だけ二人と別れ、医務室に残る明人と永瀬は去っていく彼の背中を見送った。



明人と永瀬

明人と永瀬の二人は、青ノ葉に入学した当時から仲良くなった関係。
永瀬のせいで暴れるシロを明人が落ち着かせ、自分たちの部屋には連れて行けないので、再びチロ先生に任せて医務室で寝かしつける。

「それではシロのことよろしくお願いします、チロ先生。」

そして二人も医務室を後にした。

「ね、あきと。」

「ん?」

「・・・かつやのこと、どうだった?」

「え!?あぁ、うん。」

そして永瀬から明人へ。問われる久野のこと。

「あの会議以来、だったからね。やっぱりちょっと緊張したかな。」

「そっか。」

「苦手意識持ったわけじゃないんだけど、ね。でもまた話せれてよかったよ。久野くん、やっぱりいい人だから。」

「あきともかつやも、きっとなかよくなれるよ!ゼッタイに。シロいじょうにムズカシイ人だけど。」

明人は自分の答えを、自分と久野。久野と自分のことを正直に話す。
でもそれは決して、どんよりとした話ではない。
間に永瀬がいるおかげもあるのか、この柔らかい雰囲気が他の空気に染まることはなかった。



兄と弟

それから二人一緒に晩御飯を食べに食堂へ。

「お、兄ちゃんだ。さっきぶり〜♪」

「さっきぶりだね稚空。」

するとちょうど食堂から出てきたばかりの自分の弟、稚空とバッタリ鉢合わせ。
稚空はニッコリとした笑顔で、明人に話掛けてくる。

「ナイスタイミング兄ちゃん!ちょいっとココだけの話があるんだけどさ〜。」

「え゛っ!?」

が、そんな稚空の顔とは正反対の色で強張る明人。
『ココだけの話』と聞いた瞬間、嫌な予感が走ったようだ。

「ちょっとちょっと兄ちゃん!なんでそんな嫌そうな顔すんの?」

「だって稚空の『ここだけの話』って毎回何かしら変なこと企んでない?」

「大丈夫だって。今回のは姉ちゃん絡みのことじゃないし、前みたいに騙す真似なんてしないからさ。あとでメール送るから見といてよ。」

「ハイハイ。でもいまいち信用出来ないから、拒否権ぐらいは持たせてね。」

それでも話だけは聞くだけ聞くらしく。
鈴木兄弟の二人はパンッとハイタッチを交わして、それぞれが向かう先に別れるのでした。



青ノ葉 第11話をお読みいただきありがとうございます!

稚空と明人の姉ちゃんの名前は「茜」ちゃん
男勝りでコスプレイヤーなお姉さま
そして稚空をBLスキーにさせたお方です
出番はないが色々と利用させていただきたい
主に罰ゲームの方向で(笑)

そして5話から続いていた長い長い一日
ようやく次回で終わります
(最終回ではないですよ)


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