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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#11 放課後の猫さがし(2/3)
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ふくよかっていって!

すると永瀬はその問いに「ちょっと、ね」と、何かを深く考えた仕草で、その訳を答える。

「また『シロ』がどっかいっちゃって・・・。」

「え?」

「おひるのときね。せいもんのところまでおいついたんだけど、すきつかれてにげられちゃって。みまわりついでにさがしてたの。」

「えっと『シロ』って確か、白猫でしたよね?あのふてぶてとした太ったデブ猫。」

「ふくよかっていって!シロはムズカシイせいかくなんだから!」

白色の毛並みを持つ白猫、名は『シロ』。
ボテボテとした歩きが特徴でとてもよく似合うデブね・・・ふくよかな猫。
その猫を永瀬が特別な許可を得て面倒見ているようで、シロのことを人一倍気に掛けて、心配するもの無理がなかった。

「だれもひっかいてないといいな・・・。」



シロの行方

行方が分からないシロを心配に思う永瀬。
それを隣で見てた久野は、

「会長。寮に戻るの遅くなるけど、俺もシロ探すの手伝いますよ。」

シロ探しの続行に、この手と言葉で差し伸べす。

「え、いいよ。シロがどっかいっちゃうなんて、いつものことだよ。」

「けど会長は心配なんですよね?」

「・・・うん。」

「なら探しに行こう。シロが問題起こしてしまう前に。俺も最後まで付き合いますから。」

「うん!ありがとう、かつや。」

さっきは永瀬が久野を励まし、今度は久野が永瀬を励ます。
そして生徒会二人は行方が分からなくなったシロを探し始めたのだった。



シロの行方 2

それからどれだけの時間が流れたのだろう。
夕暮れだった空が暗くなり、気付けば夜を迎えていた。
けどまだ校舎周辺に残っていた久野と永瀬の二人。
あれからもずっとシロを探していたが、姿どころか手がかりすら何も掴めてないまま、ただただ時間を過ぎさせていく。

「かつや、もういいよ。シロのことだから、またそとにあそびにいっちゃったんだとおもう。」

「・・・会長。」

夜を深めようとする暗さに諦めて引き上げようとする永瀬。

「いっしょにさがしてくれてありがとね。それとごめんなさい。つきあわせちゃって。」

けど表情はもちろんこと。言葉までも元気は消え失せたまま。
そんな彼を見た久野。
諦めるつもりなかった感情が余計に諦め切れなくなり、このままおとなしく引き下がろうとしなかった。

「俺のことなら気にしなくていいですから。もう少しだけ探しましょう。まだ門限まで時間ありますし。」

「でも・・・。」



鉢合わす二人と一人

「あれ?めぐに久野くん?そんなところで何してるの?」

「!」

あれから彼もまだ自分の部の部室に残っていたのか。
寮に帰ろうとしていた稚空の兄、明人が久野と永瀬に声を掛けてくる。

「あきとはこれからかえるところ?」

「うん、そうだよ。もうこんな時間だからね。二人は奉仕活動真っ最中?」

「ボクらは・・・。」

明人は家庭科部唯一の部員。
それに関しては生徒会の中でも、かなり問題になっていた。
その名残が、まだ心に残っているようで。

「・・・・・・。」

久野は明人を目にした途端に彼を警戒する。



疑う心

けどそれを許可したのは他の誰でもない、生徒会長の永瀬。
副会長の久野は周りからの声を慎重に受けていたので、どちらかと言えば永瀬とは反対の意見を持っている。

「そうだ。めぐ、今日はお土産あるよ。」

「おみやげ?」

「うん。今日、弟が友達連れて部室に遊びに来てくれたんだけど、ちょっとハリキリすぎて作りすぎちゃって。」

「たべるっ!あきとのおかしダイスキだから、ぜひぜひたべたいなっ。」

永瀬は甘いものが大好物。
それは久野はもちろん、明人も承知済み。
だからだろうか。

「・・・・・・。」

明人がお菓子で永瀬を釣って買収したのではないか、と。
如何わしく疑う気持ちを抱く。



二人の仲

(二人が仲良いのは前から知ってるんだけどな・・・。)

家庭科部の継続の話し合いに、生徒会役員はみんな。久野も永瀬も立ち会っていた。
永瀬も永瀬なりの考えがあったのかもしれないし、二人の仲までは疑うつもりはない。

「よかったら久野くんもどう?」

「え。」

でも明人と久野が初めて言葉を交わしたのは、その会議の時。
学年が違うから、名前と顔だけなんとなく知ってる程度で親しいわけじゃない。
そもそも永瀬とだって生徒会に入ってから知り合った仲。

「俺。甘いものは、ちょっと・・・。」

だから二人の仲に遠慮が走り、明人のお手製お菓子を拒む久野。
彼は少し気難しい一面があるのかもしれない。

「・・・すみません。」

「ううん、いいの。甘くないお菓子なら食べられそう?」

「え?ま、まぁ・・・。そんなにたくさんは無理ですけど。」

「えー。あまいのがいいよー。」

「めぐには甘いのたっぷりで作るから。また今度、甘さ控えたやつ作って来るね。」



シロの行方 3

「そうだ!あきと。」

「ん?」

「シロみなかった?シロ。またどこか行っちゃって。」

シロの行方探していた永瀬は、明人にも尋ねてみる。

「シロって、あのおデブな猫だよね?」

「おでぶじゃないよ!ふくよかっていって!」

「あぁ、ごめんっ。」

すると明人は何か心当たりがあったようで、

「シロならチロ先生と一緒にいるところ見たよ。」

「ほんとう!?」

「うん。調理器具片付けてる時だったから、ちょっと前になるけど。」

「チロ先生なら今も一緒にいるかもしれませんね。今の時間帯なら医務室にいるはずなので行ってみましょう。」

「うんっ!」

二人は彼から有力な情報を得れたのでした。



二人と一人、三人で一緒に

明人がシロとチロ先生を目撃してから少し時間経ってしまっている。

「って、あれ?あきともきてくれるの?」

「うん。ついでついで。」

けど、まだ一人と一匹が一緒にいることを願い、

「すみません。なんだか巻き込んでしまったみたいで。」

「いいのいいの、気にしないで。巻き込まれることは姉さんや弟のおかげで慣れてるし、それに僕も心配だから。」

「・・・そう、ですか。」

久野に永瀬、そして明人の三人は寮の医務室へと急ぐ。



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