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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#79 ルームメイトとの親睦(3/5)
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月島 優介

矢口と風雅の部屋に、いきおいよくやって来た男子生徒。

「わーい、先生いたいた。遊戯室にいなかったから捜しちゃったじゃん。」

彼の名前は、月島 優介(つきしま ゆうすけ)。
身長は173cm。2年B組で、演劇部に所属していて、照明メインに音響とかも。演者側ではなく裏方側を担当している。
性格はめっちゃ明るくて、とにかく元気で、言いたいことをズバズバ言ってくる陽気なお節介者。
そしてー・・・、

「それじゃあ先生。ご飯にする?お風呂にする?それともボ・ク?」

「・・・・・・・・・。」

月島は風雅が大好きでラブリーな男の子。
アプローチだって超がつくほど超積極的で超ストレート。
風雅の趣味を快く手伝うこともあるが、それは全部、お駄賃(風雅)が目当てだ。

「OK、ボクね。ちゃんと最後まで頑張るから優しくしてね、先生。」

「こっちをチラチラ見ながらモジモジ服脱ごうとするな。」



純愛にも必須シーン?

初登場シーンでチラチラ風雅を見ながら、いきなり服を脱ぎ出したのは冗談なのか本気なのか。どっちなのか甲乙付け難いが、どちらにせよ風雅が目当てなことには変わりない。

「先生の作品ベースは純愛だもん。営みシーンが外せなくなったら、ボクの身体をネタに使っていいからね。作者のネタ作りは実体験が素になってるって、よく聞くし。」

「遠慮します。俺の作品にRは付かないんで。」

なので月島がこの部屋に来たのだって、当然風雅にご用事。

「とりあえず先生。ご飯とお風呂行こうよ。どっちもまだでしょ?どっち先にする?」

部屋には矢口もいるのに、矢口を一切見てないどころか、2段ベットの上に姿があることすら気付いてない。
風雅しか見てなくて、グイグイと部屋から連れ出そうとする。
しかし風雅は、

「悪い、月島。今日は別の奴と行ってくれ。」

そんな月島の誘いを、さらりとあっさり断った。



ポロポロでボロボロ

月島は風雅にフラれたショックで『ガガーン』と口に出してまで受ける。

「なんで?どうして?約束はしてないけど、いつもボクたち一緒だったじゃない。」

膝から崩れるように落ち込む彼の姿は、裏方担当でもさすが演劇部員。
まるで母や姉たちイジメられている時のシンデレラのように、およおよと大袈裟になってまで、ひどく悲しんでいた。
けど風雅は心を痛めることもなく、慣れてるような冷めた顔で理由を述べた。

「まあ・・・たまには、ルームメイトとの親睦を図ろうかと思って。」

「え。」

「は?」

親指でピッと、2段ベットの上方向を。そこにいる矢口に指しながら。
おかげでやっっっと矢口の存在に気付いた月島。

「ちょっとまって。いつからキミ、そこにいたの?え、あれ?ボクが見てないうちに超次元なワープでもした?」

「さっきからずっとそこにいたって。純平は俺よりも先に帰って来てたから。」

「やだー!いるなら早く言ってよー!ボクが先生にゾッコンラブってるとこ見られちゃったし、バレちゃったじゃん!」

「だったらもっと言動慎め。」

今までのモノを見られて恥ずかしがっているが、語るに語り落ちている時点で、もうポロポロのボロボロ。
しかし矢口は突然話に巻き込まれて拍子を抜かし、それどころではなかった。



大好きだー!

そう。月島だって、それどころではない。

「そういうことだから。月島、今日は別の奴と行ってくれ。」

「そういうことだからって言われてもボク、何も納得出来ないよー。」

自分がフラれた理由が矢口っていうのが納得出来なくて。納得出来なさすぎて、風雅が関われば恐れ知らずになれるのか、更生したとはいえ矢口(元不良生)相手にキッと強く睨む。
そして目には目を。歯には歯を。ルームメイトとの親睦図り合いにはルームメイトとの親睦図り合いを。

「いいもん!いいもん!先生がそう言うなら、ボクだってボクのルームメイトと親睦を図ってくるもん!ボクの心が先生から違う奴に移り変わったって、ボク知らないんだからね!」

「ん、いってらっしゃい。」

彼がそう言うなら、自分だってと言わんばかりに。
月島は悔しそうに謎の張り合いをするが、風雅にあまり相手にされてないせいで怒りが体をプルプル震えさす。

「ムキー!先生なんて・・・っ、先生なんて・・・っ!!」

「お、おい・・・。」

その様子に矢口も思わず心配したが、

「先生なんて大好きだー!バカーッ!!」

怒りを爆発させて大きく叫んで出て行った月島だったが、なんだろう。
何にも根拠はないが、なんか大丈夫そう。100%大丈夫そう。

「ムキー!って口で言う奴、初めて見たかも。」

(俺も・・・。)

余計な心配して損した気分だ・・・。



たまにはいいだろ?

嵐が去ったかのように月島が出て行き、あっという間に静かになった矢口と風雅の寮部屋。

「で?純平、飯は?そっちもまだこれからだろ。」

月島にあんなことを大声で言われたのに、『で?』の一言で簡単に片付けた風雅。
やっぱりどこか慣れていて、ずっと様子は至って変わらないまま。
っというか、さっき月島の誘いを断った理由もマジだった模様。

「・・・どういう心変わりだよ。」

「いいだろ?たまには。俺だって純平がここまで話せる奴だって思ってなかったんだ。」

好きの反対は嫌いではなく、無関心。
今まで互いに興味なかったし、関わろうとも思ってなかったのに。

「それに純平に訊きたいことあったの思い出したし。」

「訊きたいこと・・・?」

「まあ、それはおいおいと。飯食ってる時にでも。」

ほんの少し久しぶりに話したら、その久しぶりが風雅の興味を誘ったようだ。
だから単純に、もう少し話してみたくなったとか。

「・・・月島はいいのか?」

「ん?ああ、平気平気。月島いると邪魔になるし、俺も出来ればサシがいいしな。ほら、さっさと行こうぜ。」

なので矢口は風雅に言われるがまま連れ出され、このまま一緒に食堂へと向かった。



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