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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#79 ルームメイトとの親睦(2/5)
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風雅 佑

矢口のルームメイトである彼の名前は、風雅 佑(ふうが たすく)。
縁なし眼鏡を掛けてて、フワフワとモジャモジャが混合した、天パの頭がとっても特徴的。
身長は169cm、2年A組でクラスメイトでもある。
所属している部活は文芸部だが、趣味の方を忙しくさせていて、ほとんど部には参加していない。

「あっはっはっはっはー!今の姿、すっごい滑稽だったな純平。ほんと何しようとしてたんだよ。」

「・・・うっせえよ。」

そんな風雅の趣味は、小説を書くこと。
ネットで作った自分のホームページで自作の小説をアップロードしている。
だからそれを知る生徒からは『風雅先生』と。同じ青ノ葉生なのに先生と付けて呼ばれることが多い。
書いてる小説のジャンルは恋愛系ばかり。
おまけにホームページの自己紹介で性別を公開させてないから、ネット上では女性の方なのでは?と勘違いされている。
けどその勘違いが生まれているのはネット上のみ。
リアルでの風雅は、中身も外見もバリバリ男。
ダッサイ矢口にツボって、腹を抱えて男らしく豪快に笑う彼の大笑いは、しばらく止まらなかった。

「あー、笑った笑った。こんなに笑ったの久しぶり。純平ってこんなに面白い奴だったのか。ルームメイトなのに、今更ながら初めて知ったわ。」

「悪かったな・・・。」



いつものポジションへ

矢口はさっき自分のがどれだけ情けなかったのか。
自分でも分かってるだけあって、それに関しては何も文句が言えないし返せない。

「それにどうしたんだ?ここ最近、色々と急に更生しちゃってさ。もう冴たちと連まなくていいのか。」

「別にいいだろ、どうだったって。お前には関係ない。」

「ふーん?まあ俺もどうだって別にいいんだけどさ。けどウチの部長が純平が更生した真相、知りたがっちゃってて。お前とルームメイトだからってだけで部に顔を出す度に、とばっちりくらっちゃってんだよねぇ〜。」

だからそそくさと。2段ベッドの梯子をよじ登り、自分のベッドの段へ逃げていく。

「そいつは・・・、悪かったな。迷惑かけて。」

「ん?ああ、いいよ。別に。こっちこそ部長が純平に付き纏ってる姿、何回か見かけてるから。迷惑かけてて悪いな、部員として謝っとくわ。」

そこがいつものポジションでもあるから。
学習時間中や食堂にご飯を食べ行く時、その他用があって必要な時は降りてくるけれど、そこから基本的に降りて来ることはない。
だから今までルームメイトの風雅と会話すらしてなかったし、関わることだってほぼなかった。
だからこれでいつも通りに戻させようとする。



矢口が気を取られていたモノ

なので風雅も、これ以上話を続けることがなかった。
矢口の態度を見て余計を突かずに一息ついて、持ってた自前のタブレットを自分の勉強机へ静かに置いた。
そしてその時、やっと気付いたのだ。

「・・・・・・。」

矢口がダッサイ姿で手を伸ばしていた先には、自分の机に積んで出しっぱにしてた女性向けの恋愛系コラム雑誌があったのを。

「・・・・・・・・・。」

それに気付いたから、無言で拍子を抜かす風雅。
さっきの矢口は本当にダサかったが、これに彼が気を取られていたのなら話は別。話がまた変わってくるからだ。
だから気になって尋ねたがー・・・。

「純平・・・、さ。ひょっとして今、俺の雑誌見ようとしてた?」

「・・・・・・・・・。」

矢口も矢口で答えられないから。言葉を返せず黙り込んでいたが、視線は明らかに風雅から逸らしていた。
それを否定したいはずなのに、まるで肯定してしまってるかのように。



風雅の趣味

「へぇー。純平でもこういう雑誌に興味持ったりするんだな。意外〜。」

「違・・・っ。」

そんな矢口が意外すぎたのか、顔をニヤニヤさせて茶化してくる風雅。
すると矢口は、それが少し悔しかったのか。
黙りを続けるのをやめて、

「そっちこそ。変わった趣味してるよな?わざわざ寮にまで持ち込むなんて。」

「まあ、否定はしんよ。これも俺にとっては必需品だし。」

仕返しとして言い返したが失敗。
風雅は表情をケロッと涼しくさせたまま、コクリと素直に頷く。

「・・・・・・え。」

「俺、趣味で小説書いてんだ。恋愛系の。けど女の気持ちなんて男の俺が分かるわけないから、こういうの読んで参考までに勉強してんだ。」

「へ、へぇー。」

そして流れで初めて知った風雅の趣味。
本を読む方で趣味な奴は知ってるが、書く方が趣味な奴を知るのは彼が初めて。
けどそっちを趣味にしてる人って、そんなに堂々とオープンに明かすイメージが矢口になくて、再び答えに戸惑ってしまった。

「・・・隠したがらないんだな、そういうの。」

「隠したくなるような疾しいモノ、俺の作品には1つもないからな。」



ノックもせずに勢いよく登場

そうして2人の会話は一旦、そこでストップ。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

あっという間に沈黙が生まれる。
同じ寮部屋でありながら、ここまで話し合ったのは、かなりぶり。っていうか初めて。
だから話が急に止まったって、2人にとっては可笑しい話ではない。
けど風雅の視線はずっと、自分のベッドの段に逃げた矢口を見っぱなし。

「・・・・・・・・・純平、さ。」

そして何かを言いかけたその時、

「先生ーっ!風雅先生、いるー?」

ノックもせずに、バンッと勢いよく開けられたこの部屋のドア。
明るく元気よくご登場した男子生徒が、風雅を求めてやって来た。



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