雨が降り続く梅雨の季節。 ようやく6月が終わり、7月が始まった月初め。 文芸部が発行する生徒新聞に、青ノ葉学園の生徒会役員が警察署から感謝状を授与されたというニュースが写真付きで、ドーンッと大きく一面に掲載されていた。 なんでも彼らの活動おかげで、ここ最近、中高生を狙って商店街周辺で彷徨いていた悪漢野郎の逮捕に繋がったとか何とか。 それは体育館で行われた全校集会でも知らされ、代表として生徒会長の永瀬ではなく副会長の久野が、学園長の方から改めて賞状を送られる。
「こういうの会長が受け取って下さいよ・・・。」
「ううん。だってこれは、かつやのおかげだから。かつやがうけとるべき。」
おかげで『やっぱ久野はすげぇな』と。噂は主に久野を、大きく持ち上げ讃えた。 そしてそのニュースとなった現場を知る男子生徒・・・。いや、当事者であり被害者にもなりかけた矢口は、
(あの時にいた合羽男・・・。永瀬以外にいたのって、久野だったんだな。)
と。当時のことを改めて思い出して、1人静かに頷く。
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