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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#78 水無月が終わる頃(4/4)
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ようやく終わった在庫管理



ところ戻って、保管庫にいる比路と日暮寮長はー・・・。

「うっし、おしまい。こんなところだな。」

在庫確認が最後まで出来たようだ。

「そいじゃコレ、約束通りのお駄賃。」

「わー・・・、ホントに赤ペン1本。」

「たった数分間、俺の話し相手になってただけで、1本50円を奢ってやったんだから。十分、いいバイト代だろ?あんまり誰かに言い触らすなよ。」

気が付けば、もうこんな時間。
あとちょっとで学習時間が始まってしまう。

「また克也が駄目っぽい場合、克也代理として付き合わせてやるから覚悟しとけよ。」

「え!?『また』あるの!?」

「あるに決まってんだろ。怨むなら許可もなく勝手に人のスマホに番号登録した自分を怨め。」

「ならせめてスマホで連絡して下さいよ。勝手にやっちゃったこととはいえ、せっかく登録したんですから。寮内放送からだと、僕が何かやらかしたみたいになって、友達に要らない心配かけちゃうじゃないですか。」

これでやっと寮長から解放。
無事に何事もなく、ようやく保管庫を後にする。



こちらも鉢合った2人と1人

だけど、その時ー・・・。

「・・・え。」

比路と日暮寮長が保管庫から出てきたばかりの2人と、たった今、寮に帰ってきたばかりの久野が偶然にも鉢合わしてしまう。

「あ。おかえりなさい、克也。」

「ああ、うん。ただいまー・・・じゃなくて、なんで比路が蓮さんと一緒に保管庫から?」

しかしどうしたことか。
2人と鉢合った途端、久野の表情が曇りだす。

「なんでって、克也。月末時期って時点で、察しがつかないか?」

「月末・・・、あ。」

「だから今日。克也の代理で、峰岸に手伝わせただけだ。」

「・・・・・・そう、だったんですか。」

それが何か問題あったのか。

「それで俺の代わりで・・・比路に。」

「か、克也?」

不満そうな顔で、しょぼくれだした。



しょぼくれの久野

そしてそのまま「・・・失礼しました」と。背筋を丸くして、とぼとぼと去って行く。
そんな彼の思わぬ姿に、空気は途端に居た堪れなくなるほど重くなる。

「出てくるタイミング悪かったか。・・・ま、たまにはいっか。克也にとっていい薬になっただろ。」

「え、でも寮長。克也に謝った方がいいんじゃ?」

寮長も寮長で、久野にあんな顔をさせておきながら追う気がないようだ。
おかげで比路は不安が隠せないほど狼狽えてしまう。

「は?なんで?俺がアイツに謝らないといけない理由、今のどこにあった?」

「だって克也、今すごく傷付いてた気がして。」

「あー・・・、それなら気のせいだから気にすんな。お前も意味もなく分からず、克也を追って謝ったりするなよ。」

「でも・・・。」

「俺らに悪かった面は何一つない。・・・そっちのが余計に、今の克也を傷付けるからな。」



気にすんなと言われても・・・

そう言われても正直、無理な話。
だってあんな顔をした久野を見たの、今が初めてだったから。
普段から仲良くさせてもらってる彼だから、どうしても気になってしまう。

「・・・・・・・・・。」

するとその時、寮長の手が頭の上にポンと置かれる。

「!」

「大丈夫だから。何も関係ない峰岸が、そんなに不安がるな。」

最初はビックリして一瞬、肩が竦んだけれど、その手はどこか優しく、隠せれない比路の不安を宥めようとしてくれていた。

「けど・・・。」

「・・・そうだな。どうしても克也が気になるって言うなら、可能な限りでいいから。克也にガスを抜かせてやれ。アイツ、本ッッッ当にそういうの下手くそだから。」



少しだけ囚われた不思議な感情

「言っとくがガスはガスでも、放屁の方じゃねえからな。」

「言われなくても分かってますよ、それぐらい。」

「んじゃ、克也のこと。頼んだからな。」

日暮寮長は最後にポンポンと2回。その手で優しく比路の頭を叩いたら退かし、そう言って寮長室へと先に戻って行った。
そして1人ポツンと残っていた比路は、自分の頭の上で何かされるのは、あまり好きではないはずなのに、少しだけ不思議な感情に自分が囚われる。

「・・・・・・・・・。」

けどそれ以前に気になったことが、今日は色々とあったから。
首を横に振って、直ぐに我を取り戻す。
そうしてこれで用が終わったから、置きっぱにしてある自分のゲーム機を取りに遊戯室に戻って司たちと合流し、そろそろ学習時間が始まる頃だから、それぞれ自分たちの部屋へと帰って行ったのだった。



青ノ葉 第78話をお読みいただきありがとうございました!

私も5月とか初夏の頃とか
暑い時期よりも暑くなってくる時期に
走らせるの好きなんですよね
私の場合、バイクじゃなくて原付きですが


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