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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#78 水無月が終わる頃(3/4)
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寮長の話し相手 6

ー・・・から。

「じゃあ好きな人とか。そういう類の人とかいないんですか?」

話の流れだったから、深い意味とか何も考えなく、そう軽く尋ねてしまう。
すると寮長は、

「・・・・・・・・・。」

「?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「え???」

言葉を失ったかのように黙った。かと、思えば・・・。

「・・・・・・話がつまんなすぎて、思わず絶句しちまったじゃねえか。」

「え。だってそういう話の流れだったじゃないですか。」

さっきよりも大きな大きな溜め息を吐いた。
どうやらあんまり触れられたくない話題だったのかもしれない。



寮長の話し相手 7

「峰岸。」

「はい?」

そのせいで止まっていた寮長の手が完全に停止。
こっちを向いて、少し怖い顔で強く怒ってきた。

「どういう意図で訊いたのか訳も聞きたくもないが。そういう、つまんない質問。チロせんせーにも絶対すんじゃねえぞ。つまらない上に失礼にあたるからな。」

「ご・・・、ごめんなさい。」

比路は軽く尋ねただけだったから、こんなに強く怒られるとは思ってもいなかった。
自分にだって触れられたくない話題、一つや二つある。
それを地雷のように気付かず踏んじゃって、滑らせた口を反省する。
そんな比路を見て、ポコンッと1発、軽い拳骨を落とした寮長。

「あたっ!?」

「ん、分かればよろしい。」

それは彼なりのお仕置きだったのか。
それで許してくれて、そのまま再び止まっていた手を動かし、在庫確認の仕事に戻っていった。



鉢合った2人



一方、その頃。

「・・・・・・。」

今日は司たちの集まりには参加せず、自室で勉強していた朋也。
一旦、区切りがついたのか、一息付けようと部屋から出てきた。
その時、

「ん?」

「・・・あ。」

たまたま寮に戻ってきたばかりの瑛と、ばったり鉢合わす。
しかし彼は今、あまり機嫌が良くないのか。

「・・・・・・・・・・・・。」

冷たく睨まれ、何も言葉を返す間もなく、自分の部屋へと帰って行く。
ドアに八つ当たるように、バタンッと強く閉めてまで。



ゴキゲンナナメ

「ごめんね、後藤くん。」

そんな朋也と瑛の様子を、2人の後ろから見てたのか。
寮に戻ってきたばかりの颯太が、そう申し訳なさそうに、瑛に代わって謝ってきた。

「瑛くん今、機嫌が凄く悪いみたいで。」

「そうだったのか。」

いったい瑛に何があったのだろうか。
いつもと違う様子が気になって、颯太に尋ねてみる。

「・・・何かあったのか?アイツ。」

「ボクもあんまり詳しくは分からないんだけど、部活の方で何かあったみたい。部活が始まる前は、あんなに機嫌悪くなかったから。」

「そうか・・・。」

しかし詳しい事情は分からないまま。
瑛が所属する陸上部で、何かがあったことだけを知る。



また時間あるとき遊んでね

そんな機嫌が悪い瑛とルームメイトの颯太。
仲が良い2人だけあって、このまま颯太を部屋に戻らせていいのだろうか。

「アイツと同室だったよな?佐藤こそ今、部屋に戻って大丈夫なのか?」

「うーん・・・。確かに今の瑛くん、ちょっと怖いね。でもあそこはボクの部屋でもあるわけだし大丈夫だよ、きっと。」

少し心配になったが、颯太は「大丈夫、大丈夫」と連呼。
不安なのは颯太も一緒のはずなのに、朋也を宥めた。

「ボクも・・・。瑛くんの事情次第では、あんまり他人事じゃない気がするから。」

「え?」

「おっと、いけない。ボクもそろそろ着替えて、食堂閉まる前にご飯食べ行かないと。」

「帰ってきたばかりの足を止めらせて悪かったな。」

「ううん。こっちこそホントに瑛くんがごめんね。また時間がある時、司くんたちとも一緒に遊んでね。その時はちゃんと瑛くんも連れてくるから。またね、後藤くん。」

そして最後にもう一度、瑛に代わって謝った颯太だったが、彼もまた気になることを口にしていた。
陸上部も野球部も。その他、大会が近付いてる部活動は、いつもよりピリピリ感が増しているようだった。



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