「峰岸。」
「はい?」
そのせいで止まっていた寮長の手が完全に停止。 こっちを向いて、少し怖い顔で強く怒ってきた。
「どういう意図で訊いたのか訳も聞きたくもないが。そういう、つまんない質問。チロせんせーにも絶対すんじゃねえぞ。つまらない上に失礼にあたるからな。」
「ご・・・、ごめんなさい。」
比路は軽く尋ねただけだったから、こんなに強く怒られるとは思ってもいなかった。 自分にだって触れられたくない話題、一つや二つある。 それを地雷のように気付かず踏んじゃって、滑らせた口を反省する。 そんな比路を見て、ポコンッと1発、軽い拳骨を落とした寮長。
「あたっ!?」
「ん、分かればよろしい。」
それは彼なりのお仕置きだったのか。 それで許してくれて、そのまま再び止まっていた手を動かし、在庫確認の仕事に戻っていった。
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