そうして日暮寮長と共に学生寮の保管庫にやって来た比路。 だけど中には入らず、出入り口のドアの前で立ち尽くしている。
「・・・・・・。」
そこでようやく思い出したのだ。 以前、この保管庫に閉じ込められた記憶を。 その日も確か在庫確認の手伝いとして連れて来られたはず。
「何してんだ?そんなとこで突っ立って。さっさと入って来いよ。」
「も、もうこの倉庫の鍵って、大丈夫なんだよね?」
「ん?当たり前だろ。何言っ・・・。あー・・・、そういやそうだったな。」
だから不安で入れずにいたら、その当時の出来事を日暮寮長も思い出してくれたようだ。
「あのあと直ぐ修理入ったし、あれ以降は特に問題なかったからな。」
けれどその心配は不要? 確かにあの時は閉じ込められたが、次の日には修理され、寮長自身が何度も出入りしても特に問題は起きなかったようだ。
「まあ大丈夫だろ。安心して入って来い。」
「大丈夫かな、本当に・・・。」
それでもいまいち信用出来なかったので、また閉じ込められないことを祈りつつ、恐る恐る倉庫の中へと入って行く比路だった。
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