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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#78 水無月が終わる頃(1/4)
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前話の放課後にお説教

夕飯を食べ終ったあと、夜8時から始まる学習時間まで。
遊戯室にて集まっていた司、比路、稚空、梅ちゃん、恭の5人と明人1人のブルーリーフメンバー計6名。
いつもどおりにガヤガヤと、楽しくゲームで遊んでいた。
そんな中、司が比路に言ってきた今日(前話)のこと。

「全く。傘忘れたなら俺に連絡寄越せば、傘ぐらい持ってったのに。」

「だってそれは思い浮かばなかったんだもん。」

比路と稚空が2人して、あんなに雨に濡れて帰ってきたのだ。
だから改めて話題に上げて「夏の大会やテストが控えてる時期に、風邪なんて引いたら大変なのに・・・。」と、心配そうに続けて話す。
すると聞いてた明人からも。

「弟がごめんね、比路くん。稚空が持ってた傘をちゃんと入れてあげていれば、濡れずに済んだ話だったのに。」

「大丈夫だよ、明人兄。それを言うなら僕の方こそ、変に言ったせいでアッキー巻き込んじゃってごめんなさい。」

「それはいいよ。それよりも比路くんは風邪引かないように気を付けていてね。」

弟がやらかしたと解釈したのだろう。
兄として頭を下げて、比路に申し訳なく謝っていた。

「あ、あれ?明人兄、アッキーに心配は?しないの?」

「うん、しない。稚空の場合は、自業自得・・・みたいなモノだから。」

「ちょっと兄ちゃん。勝手なこと言って、オレを悪者扱いすんのやめてくんない?」



進行中のメインストリーム

しかしその時、

「おわ!?梅公、あぶな!」

「え?あ・・・ッ!」

梅ちゃんまでも聞いてた話に気を取られていたのか。
ゲームをしていたはずの手が止まっていて、大ダメージを喰らいそうになり、危うかったところを恭に庇われ我に戻る。

「ごめんなさい、恭くん。回復ポーション、今お渡ししますね。」

「平気、平気。それより今、かなり動きが止まってたように見えたが大丈夫か?ゲームフリーズしちまったか?」

「あ、いえ・・・、大丈夫です。ごめんなさい、少し考えごとしてしまって・・・。」

6人で遊んでいたゲームでは現在、梅ちゃんと恭のメインストリームによる関連クエストで指定されたダンジョンに潜り、途中途中で出現するモブモンスターと戦闘しながら、ボスモンスターがいる最奥地を目指していた。
そんな最中に起きた突然の出来事だったが、ゲームとは関係ない話を真隣でされれば目の前だけに集中出来なくなるのも無理はない。

「ごめんよ、梅ちゃん。キークエ中に関係ない話しまくってて。キョン、ヒールするよ。」

「サンキュー。けどキョンはやめろって。」



攻略組と対戦組

キークエ用のダンジョン攻略において、パーティ人数が制限されており、組める人数の条件は4人のみ。
なのでメンバーは梅ちゃんと恭は絶対として、1番の実力者である司と回復スキルを持つ稚空が一緒にいた。

「よし。これで最下層まで来れたからボスまでもうじき〜。」

「司くんたちのおかげでサクサクですね。」

「だな。この調子でボスもサクサク倒してクリアしちまおうぜ。」

「それでもいちお油断は禁物で。オレの回復スキル、本職ヒールと違って、そこまで強くないから。」

その一方で惜しくも4人と同行出来なかった比路と明人は、4人がダンジョンから帰ってくるまで。1対1のシングル戦で対戦中。

「そういえば今日、後藤くんとかいないんだね?」

「朋也は今日は勉強してたいからって言われて。颯太たちも、まだ部活で居残ってて帰りが遅くなるみたい。」

「そうなんだ。」

ルールはシンプルに、回復や能力値変動系のアイテムは使用不可。
いつもどおり負けたら『勝者のいうことを30分間なんでもきく』究極の罰ゲームが待ち構えている。

「って、あれ?柔道部の2人は大丈夫だったの?居残らなくて。」

「届け出出してないならダメって、克也に言われちゃった。」



水差し寮内放送

そんな時だった。

『ー・・・423号室、峰岸 比路。峰岸 比路。至急、寮長室前に来るように。』

突然、寮内アナウンスが入り、呼び出される比路。

「今、比路くん呼ばれたね?」

「えー、なんで?」

しかし呼び出し喰らった当人は、呼ばれた用に検討付かず、不満のが大きい。
それに今は対戦中でもあるから、このままゲームしてたい気持ちでいっぱいだ。
だけどこのままスルー、シカト、無視なんて出来ない。

「とりあえず行ってくる。ごめんね、明人兄。対戦途中だったのに。」

「いいよ、いいよ。呼び出されたなら仕方ないって。不戦敗ってことにしておくから行っておいで。」

「ありがとう、明人にー・・・。って、あれ?不戦敗!?僕、負けたことにされた!?」

明人にも、それは仕方ないことだと。
対戦も中断となり、仕方なく。仕方なく棄権、放棄、不戦敗となって、比路が負けとなった。

「楽しみだな〜。比路くんに罰ゲームさせるの。」

「トホホ・・・。」

そうして5人に見送られながら、比路は遊戯室を後にする。



克也代理の比路

遊戯室から真っ直ぐ寮長室へ向かうと、寮長室の前には日暮寮長の姿があった。
さっそく声を掛けたが、

「峰岸、遅い。もう少し早く来いよ。アナウンスで『至急』って言っただろ?」

アナウンスで呼び出されてから、そんなに経ってないはずなのに。日暮寮長はムッとした顔をしていた。
だけどその呼び出しは急だったのだ。
それに明人との対戦を中断させてまで来たのだ。
だからそんな文句言う寮長に、こちらも思わず文句で返す。

「だって呼び出し急だったし、友達と対戦中だったし。それでも僕、急いで来た方なのに・・・。」

「そいつは悪かったな。そういう理由なら、仕方ねえな。ここはイーブンにしといてやるよ。」

しかしそれはお互いにどっこいどっこい?
引き分けにされて、比路は自分側に非があったか理解出来ず、少し納得できなかった。

「けど怨むなら俺じゃなくて克也にしろよ。俺が呼び出した用も月末恒例の保管庫在庫確認だからな。いつもなら克也に手伝わせてるんだが、まだ道場(あっち)にいるっぽいしな。」

「あ、克也まだ帰ってきてないんだ?」

「そうじゃなくても、今のアイツには少し頼みづらくてな・・・。っつーわけで、こっちも時間ねえから保管庫行くぞ。ついてこい、克也代理。」

それでも呼ばれた用が分かれば納得?
『克也代理』と呼ばれて『なに?その呼び方・・・』と思ったが、寮長のスマホに勝手に自分の番号登録しちゃった件もあるため。なのでこの場は渋々と『克也代理』として寮長の手伝いをすることとなった。



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