こうして居残ってまでしていた田邊との話し合いは終了。 田邊はまだ他にやることがあったようでどっかに行ってしまったので、解散となった稚空は、図書室を後にして寮へ帰ることに。 けどその間も明人にあそこまでハッキリと否定されたことが、頭から離れずモヤモヤする不満が心に残っていた。 しかしその時、
「え、ひろピー?」
昇降口に男子生徒が1人。 部活時間が終わったこの時間に何故か比路がいて、稚空は比路を見つけた途端、驚いた声で呼んだ。
「なにしてんの?ここで。」
「アッキーこそ、文芸部まだ残ってたんだ?梅ちゃんは?一緒じゃないの?あとひろピーやめて。」
「部活自体はちょっと前に終わって、梅ちゃんなら先に帰ったよ。オレは田邊部長に居残れ言われて残ってただけ。」
「そうだったんだ。・・・って、田邊先輩と何話してたの?変なこと言われてたりしてない?」
「大丈夫、大丈夫。全部大したことじゃないよ。途中でちょっとだけ兄ちゃんが来たけど、部長とあんま仲良くない臭くて。」
「え。それって大丈夫?」
「うーん・・・。まあ、大丈夫。2人の仲が良かろうが悪かろうが、オレにはあんまり関係ないし。」
比路も今日は柔道部の部活があったはず。 なのに真っ直ぐ寮に帰らず、ここにいたのは何故? 雨で少し濡れてるっぽいし・・・。
「で?ひろピーは何してたの?オレの質問の方が先だったんだから、そろそろ質問で返すのやめようね。」
「うぐ。」
気になる点が多いので、改めて問いただす。
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