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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#77 放課後のジレンマ(2/4)
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明人の跡継ぎ

「やっぱり兄ちゃん、姉ちゃんのネタに使われたくないからってオレに黙ってたな。」

「稚空がこの話、分かる奴でオレも良かったよ。」

「分かるも何も、2次も3次も大好物ですから!」

それを明人が黙っていたことには遺憾を覚えるが、そんな話を聞いたら好奇心が満載になる稚空。
もっと聞きたい!
もっと聞きたい!
そう目をキラキラに輝かせて燥ぎ、田邊の話を心して聞く。

「じゃあもっと話が早くて助かるわ〜。オレとしては是非、明人の跡継ぎは弟である稚空にって思ってたからさ。稚空だってこの話聞いたら明人の跡を継ぎたいだろ?」

「やりたい!やりたい!やってみたい!」

「だろ?だから兄ちゃんである明人を上手く口説いて後継いで、オレが持つ情報と組めば・・・。」

だけどその時、

「ー・・・出来ないよ。」

「え?」

稚空と田邊の今の話を偶然聞いていたのだろう。
いつの間にか図書室に明人がいて、そう強く言い放つ。

「大輔くんに悪いけど、稚空には出来ないよ。・・・絶対に。」



明人と田邊

突然の明人登場にビックリした稚空と田邊だったが、ハッキリと稚空を否定したことにも驚く2人。
明人も明人で呆れた顔して2人を見ていた。

「あー・・・びっくりした。急に出て来んなよ明人。しかも黙ってオレらの話立ち聞きしてやがって。」

「図書室に用があったから帰る前に少し寄っただけ。偶然とは言え立ち聞きった形になったのは大輔くんに謝るけど、あんまり稚空を巻き込まないでほしくないんだけど。」

「えー?いいじゃん。稚空は例の弟なんだから、明人の跡継ぎにはピッタリじゃん。それにさ、そんな頭ごなしにお兄ちゃんが否定したら、やりたがってる弟が可哀想だろ?」

「頭ごなしでも何でもないよ。稚空には無理だから出来ない。そうはっきり言ったまでだよ。」

そして明人と田邊は、あんまり仲が良くないのか。
どんどんどんどん空気が澱んで、ピリピリとした雰囲気が漂い始める。

「・・・じゃあ明人がオレに協力しろよ。前から言ってんじゃん。明人が持つ情報をオレにくれてタッグ組めばオレらは最強になれるって。」

「興味ないから、その最強っていうのに。だから大輔くんに協力は出来ない。」



ないことまでは書かない生徒新聞

険悪になっていく明人と田邊の2人。

「おい、明人。あんまりオレを敵にまわすなよ?廃部の家庭科部が1年だけ残れた本当の理由。生徒新聞にあることないこと晒されたくなければな。」

「へー。大輔くんが書いてる生徒新聞って虚実が存在してたんだ。僕、割と読むの好きだったのにショックだな〜。」

「今のは言葉のアヤだ!脅し文句の1つに決まってるだろ。オレのスクープは事実しかねえよ!読んでてくれててありがとな!」

しかしお互いにあまり動じてないのか。
どこか締まらない感じもある言い合い。

「くそ!オレをバカにしやがって!オレが敵にまわったら厄介だってこと、明人に思い知らせてやるからな!」

「大輔くんを敵に回さなくても厄介だって思ってる人、結構多いよ。」

でも最終的にはキーッと怒った田邊が負けたのか。
「覚えてろよ!」と、お約束のような捨て台詞を吐き、明人も明人で疲れた息を吐いた。



強く推される後継者候補

図書室に用があって訪れたはずの明人。
残ってる文芸部員が稚空と田邊しかいないと分かったら、そのまま去って行った。

「明人の奴、マジで覚えてろよ。」

自分の兄と自分が所属する部の部長が、どこか締まらない感じだったとはいえ言い合った後だ。
稚空は残った味に重たさと気まずさを感じ、なんだか居た堪れない気持ちになる。

「まあ明人が何を言おうと、明人の跡は稚空が継ぐべきだってオレは強く推奨するからさ。」

「え。」

「お兄さんの意見なんて気にせずに、稚空は稚空として。青ノ葉生の悩める男の恋心の相談相手になってくれよ。」

「・・・・・・・・・。」

だから田邊に自分をいくら推されても、明人に言われたことが気になって素直に「はい」と返せなかった。



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