ー・・・放課後。 文芸部の部活場所、図書室にて。
「悪いんだけど稚空だけ、ちょっと残って来んない?」
「え。オレだけですか?」
部長のくせして珍しく部に姿を現した田邊が、そう稚空を呼び止めてきた。
「峰岸同様で、稚空にも協力してほしいことがあるんだってば。いつか真央に伝言頼んでたんだけど、その話聞いてない?」
「あー・・・、そういえばそんなこと前に聞いた気もする。でも田邊部長、あんまり部では見なかったから、なくなったのかと思ってた。」
「そこは仕方ないさ、オレだって色々と忙しぃ〜の。やっと時間がとれて、こうして部にも久しぶりに参加出来たわけなんだから付き合ってよ。」
田邊からの頼みごと。 それは比路との件だけではなく、稚空にも何かしら協力して欲しいことがあるようだ。
「稚空くん、僕は先に寮に帰ってますね。」
「ごめんね、梅ちゃん。一緒に帰れなくて。」
「いえいえ。雨が強くなってきているので、稚空くんも田邊部長も。気を付けて帰って来てくださいね。」
いったいなんだろう・・・。
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