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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#11 放課後の猫さがし(1/3)
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歓迎会後の・・・

部活動歓迎会という今年度一番最初の行事を終え、各部活動場所から学生寮へ生徒たちが帰って行く。

「お疲れ、克也。オレたち先、寮に帰ってるな〜。」

「はい。お疲れ様です。」

そんな中、生徒会室にて一人居残るこの男。名は久野 克也。
彼は青ノ葉学園の生徒会の一人であり、二年生でありながら生徒会副会長をお務め中。
そして所属してる部活の柔道部と生徒会の仕事を現在進行形で掛け持っており、

「結局、今日も間に合わなかった・・・か。」

生徒会側を最優先にさせているため、今日みたいな日は特に自分の部活動への取り組みを疎かにさせてしまう。

「・・・・・・。」

そこに何かしらの不満を抱える久野。
レポートを書き進めていた手を止めて、クルクルと器用に指先でペンを回しながら、深くて思いを留めた息を吐く。

「・・・何やってんだが、俺は。」



永瀬 めぐる

久野一人残る放課後の静まった生徒会室にやってきた一人の男子生徒。

「ただいま〜、かつや。」

彼の名前は、永瀬 めぐる(ながせ)。
青ノ葉学園の三年生。稚空の兄、明人と同級生であり久野より一つ年上の先輩。
なのだが身長は低く(比路よりは大きい)、背の高い克也と並ぶと差が一目仰天。そして喋り方も動作も、どこか幼さが抜けない永瀬。

「みまわりたいへんだったね。かつやもおつかれさま。」

好きな食べ物は、とにかく甘いもの!
青ノ葉学園内の自販機にしか売ってない極甘ドリンク『イチゴミルク〜極上仕立て〜』が一番のお気に入り。

「もどるのおそくなっちゃってごめんね。もう、みんなかえっちゃった?」

そんな永瀬だが彼も久野と同様。
この学園の生徒会の一人であり、生徒会長を務める永瀬会長なのである!



永瀬会長と久野副会長

放課後の静まった生徒会にて、生徒会長と副会長の二人の姿が揃う。

「永瀬会長もお疲れ様です。他の先輩たちなら一通り仕事を終えたので先に寮へ戻りましたよ。」

「そっかそっか。」

レポートを進めていた久野は持っていたペンを机に置き、席から離れて出迎えるように永瀬の元へ近寄る。
そして先ほど曇らせた表情も一緒に追い払ったのだが、

「で?かつやはなにしてたの?またムズカシイことでもかんがえてたの?」

「え!?あ、いえ、そんなこと・・・!」

「かくしてもダメ!すぐかおにでるの、かつやのわるいくせ。」

永瀬は久野の何かを見抜き、ピッと人差し指で彼の額に指して、

「またミケンにシワよせてー・・・。」

「か、会長?」

それを指摘しようとした途端に、そのまま黙り込んでしまう。
久野の顔に何か変な物でも付いていたのだろうか?



悪いことより、いいことを

久野の何かに気付いた永瀬は顔に笑顔を浮かばせる。

「かつや、きょう、なにかいいことあった?」

そして悪いことではなく、いいことを尋ねた。

「え???」

「だってかつや。いつもよりいいかおしてるから。」

すると久野は今日あった出来事を改めて思いだし、

「うん。見回りしてた時に新入生の子なんだけど、知り合いと久しぶりに会えてー・・・。」

表情を曇らすことなく、それを嬉しそうではなく嬉しく話す。
聞いていた永瀬は、だからこそ。

「そっかそっか。ひさしぶりにそのことあえたから、かつやはうれしかったんだね。」

「え、あ・・・、うん。嬉しかった。」

だからこそ彼の言葉で、それを口にさせたのでした。



永瀬会長と久野副会長 2

克也の柔らかくなった表情につられ、永瀬もまた優しい色に顔を染め、自分らも帰ろうと誘う。。

「よっし!かつや、ボクたちもかえろっか?」

「え。」

だがレポートを進めていた最中の久野は、そう簡単に首を縦に頷かせない。

「永瀬会長、先に帰っていいですよ。俺、まだレポート途中なので。」

「それ。『いま、いそぎでやれ』じゃないよ。」

生徒会として生徒会の仕事を最優先にする彼。
生徒代表として見られる立場でもあるから、その責任は決して軽いものではない。

「だから、あせらなくてもダイジョーブだよ。」

同じ立場だからこそ分かる、その気持ち。

「かつや、ゆっくりでいいんだよ。みんないるときにやっちゃえば、あっというまだから。」

永瀬は言う。
生徒会は久野一人だけじゃないことを。
永瀬もいて久野もいて、そして他のメンバーの皆がいて今の生徒会は成り立っている。
これだけの人数がいて、それを心強い皆で抱えれば、それほど重たくないものだと。



永瀬会長と久野副会長 3

「・・・分かりました。そうまで会長に言われると、流石に俺でも敵いそうにないですね。」

「かえろっ、かつや。」

「直ぐ帰る支度するので5秒・・・いや、あと10秒待って!」

「ゆっくりでダイジョーブだよ。ちゃんとまってるから。」

こうして生徒会室から出て昇降口に向かう生徒会二人。

「ところで会長。」

「ん?」

「俺の話でついそびれてしまったんですか。会長、生徒会室に戻って来るの遅かったですね。何してたんですか?」

「んー、うん。」

その途中、永瀬が生徒会室に戻って来たときから気に掛けていた事を尋ねる久野。

「???」

他のメンバーよりも戻ってくるのが遅かったのは、やはり何かあったのだろうか。



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