それはそうとして久野はここ数日、ここで何をやっていたのだろう。 寮長の私室に入るや否や、さっそくソファー代わりにベッドに座って本題に。
「蓮さん、そろそろ・・・。」
「あー、はいはい。まあよろしく頼むわ。」
寮長も言われるがまま、デスクに置いていた真新しくてピカピカなスマホとメモ帳を手渡す。 そんなさっそくに比路は、また新しい疑問が生まれて首を傾げる。
「ん?ああ、ごめんね。比路に説明もなしに始めて。蓮さんがこの間、やっとスマホに機種変してくれて。それで蓮さんの電話帳に登録をしてたんだけど、蓮さんの登録数が多すぎて凄くて。」
「え!?それ寮長のスマホだったの?誰かの忘れ物とかじゃなく?」
「峰岸は見たことあったか、前の俺の携帯。アレがついに画面半分見れなくなって、それを機に変えたんだ。克也にも前からさっさと変えろって何度も煩く言われてたし。」
「確かに言いましたけど、そんなに何度も煩く言ってません・・・。」
久野の手に今あるスマホは、寮長の私物。 前まで折り畳み式のガラケーを使っていたが、完全に壊れるよりマシだからと数日前にスマホへ機種変したそうだ。
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