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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#76 招かれた奥の私室(2/4)
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久野を動物に例えたらゴールデンレトリバー

それから時間は進み、約束している夜の19時を迎えた頃ー・・・。
日暮寮長の寮長室前にて、一緒にいるのは寮長本人と久野。

「ちゃんと飯食ってきたか?まだだったらそっち先しとけ〜?」

「大丈夫です。ご飯はもう食べましたし、部活に少し顔出したついでに道場内のシャワールームで汗を流してきましたから。」

「急ぎ食いは体にあんま良くないからな。あとちゃんと湯船に浸かんねえと疲れだって・・・。」

「時間ある時は俺だって、どっちもちゃんとやってますから心配は無要です。」

今日も今日とて親しそうに話し合う2人。

「んじゃ、さっそくで悪いが今日もー・・・「あ、蓮さん。ちょっと待って下さい。」

そのまままた今夜も揃って寮長室内へと入って行こうとしたが、一旦ストップ。
久野がそわそわ、キョロキョロと。辺りを見渡して誰かを探す。
するとそこに今やってきたばかりの彼を、

「あっ。比路、こっちこっちー。」

比路を見つけると、パアッとした顔になって自分の元へと呼び寄せる。
その一瞬、久野は大型犬のような大きなの尻尾を。フリフリと嬉しそうに振ってるように見えたのは、きっと気のせいだろう。



挟まれる気まずい空気感

約束してた通りに、比路は久野から連絡もらってやって来た。

「克也。これはどういうことだ?」

しかしその話、この状態。
寮長はジト目になって改めて、理由を久野に問う。

「俺の助っ人です。なんとか今日中に、今日こそ終わらせたいので。」

「ー・・・誰かが来るなら来るで、それを事前に言っててほしかったんだがな。俺のプライバシーが関わってんだから。」

「あ、そうでした。蓮さんに伝えるの、すっかり抜けてました。」

だってどっちも今初めて知ったこと。
だから少し渋るような様子が伺えた。

「あの・・・、克也?僕はどうしたら?」

そんな状況に居心地が窮屈になる比路。
久野との約束とはいえ、寮長のことも気がかり、どっちにも付けなくなってしまう。



そして追加される新たな目撃者

「・・・まあ、峰岸が悪いってわけじゃないしな。」

すると寮長は溜めた息を吐き、渋々したままドアを開け、

「ほら。峰岸も入るなら、さっさと入れ。」

「え・・・、でも。」

「大丈夫だよ、比路。おいで。」

結局、久野と一緒に寮長室内へと招き入れることに。

「克也、貸し1な。」

「う゛。そうですね、悪いのは伝えて忘れてた俺ですから。」

そしてそれは、また別の誰かが。
偶然にも通りかかった鬼頭が、その3人を見てしまうのだった。

「・・・・・・・・・。」



寮長室の奥は寮長の私室

久野と一緒に比路も寮長室へと招かれる。
ここで何かの作業でもするのかなと予測立てたが、久野も寮長も奥へ奥へと。室内の奥にあった扉の前へと進み、寮長がその扉を開けたものだから、つい驚いた声を上げた。

「どうした?峰岸。」

「そこって倉庫とか物置とか、そういう部屋じゃなかったの!?」

「まあ昔はその類いだったが、今は俺の私室だ。」

そしてタネ明かしをくらう、その謎の部屋の正体。
中は4畳半ほどとなっているが、ベッドあってデスクあってクローゼットもあって、書類関係も綺麗に整頓&収納されてあって、なんかいい感じにシンプルなレイアウト。
けど日暮寮長が個人的に使ってる私室だけあって、ちょっと煙草臭い部屋だった。

「完全にここで暮らしてますって感じ。」

「当たり前だろ。365日24時間、完全に住み込んで働けるわけなんだから。」



医務室の奥はチロ先生の私室

それを見て比路は『そういえば・・・』と、医務室も似たような構図をしていたのを思い出す。
医務室自体は学校の保健室とあまり変わりがないが、部屋の奥にもう1つドアがあって。結局、何の部屋。どこの部屋に繋がっていたのか分からずじまいだったのを。

「じゃあ医務室の奥は・・・。」

「あっちはチロせんせーの私室。チロせんせーも完全住み込み型で働いてるからな。」

その部屋の正体はチロ先生の私室であることを、ついでで明かされた。
チロ先生は日中、校舎の保健室にいるが、夜間は日暮寮長と同様。警備も兼ねて、ずっと学生寮にいる。
平日も休日も日中夜の時間も問わず、毎日毎日。それこそ365日24時間というフレーズが納得できるほど。

「チロ先生の部屋だったんだ、あそこ。」

「あんま興味持つなよ。チロせんせーにだって、チロせんせーのプライバシーがあんだから。」

それを思い返してみれば2人とも、個人の部屋があったっておかしくないだろう。



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