「おぉ、ホントだホントだ。お前、峰岸じゃん。めっちゃ峰岸じゃん。こんなところで会えるなんて超ラッキー!」
「え、誰???」
その男子生徒は比路のことを知っているようだ。 出会えたこの偶然に感謝感謝。 でも比路からは、この生徒が誰なのか名前が分からない。 顔だけはどこかで見たような気もするが、今が完全に初対面。 そんないきなりに拍子を抜かし、その隙をつかれ、捕まえていた男子生徒を離してしまう。
「よっ、と。まあ、流石にそっちからじゃオレは分からないか。仕方ないな〜。この偶然に感謝して特別に名乗ったげよう。」
なので改めて、彼から自己紹介を。
「オレの名は田邊 大輔(たなべ だいすけ)。文芸部で部長やってるーって言えば、どこ経由で知ったか。ちょっとは予想付くかい?」
比路にとっ捕まっていた男子生徒。彼の名前は、田邊 大輔。 身長は169cm。3年C組、文芸部の部長を務めており、青ノ葉の生徒新聞は主に田邊が発行している。 だからゴシップが凄く好きで、噂立つとこ火の中水の中森の中。犬飼たちのような不良生徒とはまた違ったトラブルメーカーなのだ。 こうして彼が名乗ったおかげで田邊を知る比路。
「峰岸。文芸部って、確か。」
「アッキーと梅ちゃんがいる部活だね。」
文芸部と聞いただけで、ハッとした顔をする。
|