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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#74 青ノ葉学園の奥地(1/4)
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比路の道着姿

朝ー・・・。
朋也がいつものように学校の花壇へ水を遣っていると、そこへ1人の男子生徒が。

「朋也、水遣りお疲れ様。」

「峰岸か。」

「道場から朋也の姿が見えたから、ちょっとだけ抜け出して来ちゃった。克也も生徒会に向かっちゃったし。」

その男子生徒というのは、比路のこと。
青ノ葉道場周辺の花壇にいた朋也に気付き、彼の元へやって来てくる。

「ほんと朝から、いつもよく頑張ってるね。」

そんな比路も、部活動の朝練真っ最中だった現在。
制服やジャージではなく、柔道部員らしく柔道着の姿でいて、今まであまり見たことなかったら少し新鮮。かなり新鮮。

「峰岸の道着・・・、初めて見る。割と様になってるんだな。」

「ん?うん、あれ?そうだっけ?ありがとう。褒めてくれてるんだよね?それ。」

「まあ・・・、いちお。」

その新鮮さに手を止めた朋也は、この場で少々、比路と他愛ない立ち話に付き合う。



有段者の証

道着姿の比路。
さすが経験者だけあって着慣れており、それなりの貫禄が彼から感じられる。
初めて見るその姿の次に興味が生まれたのは、段級位を表す帯の色。

「やっぱり黒いんだな、帯。」

「うん。これでもちゃんと段は持ってるから。」

それは比路も有段者である証。目にした黒色の帯に、『なるほど』と静かに納得。
今まで(主に司を)ブン投げまくってた姿も同時に思い出して、『やっぱり』と静かに納得。
1人で解決した形となったが、黒帯の比路に違和感抱くことなく、そっと頷いた。

「柔道部は僕以外にも有段者いるよ。克也はもちろんのこと、恭に豊部長とか他の先輩たちも。」

「へえ、意外と揃っているんだな。」

「うんっ。中でも1番の実力者が克也で、克也がいれば百人力だよ。」



向こうからやってくる騒がしい奴ら

比路と朋也。
偶然とはいえ、せっかく会えたこの機会。
ふとあることを思い出した比路は、朋也に何かを頼もうとした途端、

「そうだ朋也。ちょっと朋也に頼みたいことがあるんだけどいい?ちょっと面倒なこと押し付ける形にもなるんだけど。」

「面倒なこと?・・・って、ん?」

「あれ、なんだろう?」

それは、まるで2人の話を遮るように。
向こうの方からやってくる騒がしい音に、比路も朋也も気を取られてそっちを見る。

「スクープスクープ!ひゃっほーい!」

「待てー!田邊ーーーッ!!」

すると案の定で1人の男子生徒を2人の男子生徒が追いかけており、どちらもダダダダダーッと、こっちに突っ走って来た。



いち早く反応したのは

追いかけてる側の男子生徒2人組。
その1人は、渡辺 鳴海。
もう1人は、羽崎 空。
その2人のうち1人。見覚えのある生徒だったことに、「あ。」と気が付く朋也。
その時、空も朋也のことにハッと気付き、

「あ、後藤くん!その人、捕まえて!」

強く発した声で、彼にも協力を求める。

「え?」

けど鳴・空の先を走る男子生徒は、ばぴゅーんっと朋也の前を素早く去って行ってしまう。
突然でいきなりで一瞬だったことに遅れをとった朋也だったが、心配はご無要。

「これでいいの?」

「ぎゃああああ!」

空の言葉にいち早く反応した比路が、去って行こうとした男子生徒を、既に容赦なくとっ捕まえていたから。

「離せー!!」



スクープ消去

比路にとっ捕まった男子生徒の手にはデジカメが。

「鳴、早く!」

「分かってる!」

やっと追いつけた鳴はそれを乱暴にブン取って、操作に手慣れてなくても、デジカメに保存されている画像を。空と一緒に撮られた自分たちの写真を次々に、全てという全てを削除した。

「ふぅ・・・。これでOK。」

これにて1人の男子生徒を追ってた2人の理由は解決したのだろうか。
ホッとした安堵な息を吐く鳴と空だったが、騒がしさだけは変わらない。

「あー!せっかく撮った鳴空のスクープがー!」

「うるさーい!こっちだってせっかく空といいところだったのに邪魔しやがって!」

「ちょっ!?やめて鳴!知り合いの下級生の前で、変なこと口走らないで!!」

おかげで比路と朋也は、そのまま3人に巻き込まれていく。



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