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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#73 2人を繋げるRunaway (4/4)
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夏場のロッカー内はサウナ

これにて自分を追っていた恭や久野から逃れることが出来た比路と犬飼。

「ヒロもサエ先輩も、もう出てきて大丈夫だよ〜。」

司の合図で、ガタガタと音を鳴らしながら、ようやく出て来れた。
けど晴れた夏の日のロッカーの中は、とっても暑かったようで2人共、汗がダラダラ。
今までサウナにでも入ってたかのように、いっぱい汗を掻いていた。

「暑い〜・・・。」

「わ!?2人共、すっごい汗!大丈夫!?」

「コイツの体温のせいで、余計にめっちゃ暑くて地獄みたわ・・・。」

「あ〜、夏場のヒロは慣れてないと地獄だよ。まだ子供体温だから。」

それを見た司も明人も普段使いしてる下敷きを鞄から出してパタパタと仰いで風を送ったり、麦茶を飲ませて水分を補給させたりと。
熱中症になってないか心配しながら伺い、体の調子を確かめる。

「明人兄の麦茶、生き返る・・・。」

「だな。鈴木先パイ、まじありがとう。」



仲が良い2人見て

とりあえず熱中症には至っていなかった2人。
でもこの暑さから少しでも逃れようと、上だけ全部脱いだ犬飼。

「ふぅ〜・・・、あっちぃ。司もっと風!もっと仰いでくれ!」

「おりゃりゃりゃりゃりゃ。こう?サエ先輩。」

「おーおー。いい感じいい感じ。」

司も命じられたとおりに、全力で下敷きをパタパタ仰いで彼を涼ませた。
そんな2人を見て、比路は明人の元へ。

「明人兄。司とあのオレンジって仲いいの?」

「あー、うん。僕がちょっと目を離してた隙に知り合って、そこから馬があっちゃったって感じみたい。」

「ふーん?」

「っというか、比路くん。まだ制服から着替えてなかったんだね?」

「道場着いて、豊部長が今日いないって分かった途端から恭があんな感じで挑んで来たから。着替える間もなく・・・。」

「あらららら。見たかったな、比路くんの道着姿。」

司と犬飼が自分の知らぬ間に仲良くなっていたことが、どうしても気になるようだ。



先輩脅す後輩の姿

するとその時、

「犬飼さん、ご無事っスか!?」

久野が去ってから間もない時間で、桃地も家庭科室にご到着。
急いでやって来て最初に目に入ったのは、上半身だけ裸でいる犬飼の姿。

「犬飼さん・・・ッ!」

「悪い、小太郎。いくらなんでもオレをそういう目で見るのやめてくれ。」

彼にとっては正に眼ッッッ福!!
目をキラッキラに輝かせながら、うっとりと。耐えれず犬飼も脱いだ夏制服のシャツを着直したが、桃地のこの幸せも束の間。
気付かなかったいつもと違う1人の人物の存在。
だからガッと制服のネクタイと共に胸ぐらを掴まれた時には、既に遅く。

「コタ先輩、お久しぶりだね。ところで顔面靴跡の刑のこと、まさかだけど忘れてたりしてないよね?」

「ひィィィイイッ!?み、峰岸くん、いたんすか!?!?」

比路に以前、きつーくきつく釘をされてた件を問い質され、ニッコリとした笑顔で思いっきり脅される。

「コラコラコラ!ヒロ!コタ先輩、脅さないの!」
「おいおいおい!下級生が上級生を脅すなよ!!」

そしてそれを見てすかさず止めに入った司と犬飼だった。



それぞれの印象

2人の説得のおかげもあり、なんとか顔面靴跡の刑から免れた桃地。
いや、ここは司が、かくかくしかじかで。
犬飼とも知り合った経由を軽く説明を入れる。

「サエ先輩、悪い人じゃないよ。放課後、暇な俺とかなり遊んでくれるし。」

「けど園芸部のハウスを壊した張本人なんだけど。朋也ボコってた張本人なんだけど。」

「でもヒロも朋也も、学寮戦のとき。俺は克兄ちゃんに捕まってたから知らないけど、2人はサエ先輩やコタ先輩と一緒にいたんじゃないの?」

「あれは2人が勝手にくっついてきただけだから。別にいなくても困りはしなかったから。」

「ロクに水鉄砲当てられてなかった奴がよく言うわ・・・。」

でも司からの印象と、比路からの印象は食い違っており、この平行がなかなか交わらない。

「そもそも放課後、暇って何?朝も夕方も、朋也は花壇の水やりで忙しそうにしてるけど。」

「そこは僕も手伝ったらって、司くんに言ってるんだけどね。」

「だって俺、ミニトマト専門だもん。それに花壇はその朋也が手伝わなくていいって言うんだもん。」

そこから司が部活サボってることまでバレて、比路に軽くお説教されたが、それでもちょっと効果は薄かった。



喧嘩しないで!


「まーまーまー、ヒロさんや。今はいいじゃない、その話。克兄ちゃんのおかげもあって、ヒロも部活休みになったんだし。せっかくなんだからヒロも一緒に遊ぼうよ!」

「・・・あんまり置いておきたくない話なんだけど。」

なので今度は司ではなく犬飼へ。
彼の元に行き、桃地同様。きつーくきつく釘をさした。

「いい?アンタの訳の分からない不良道に司まで巻き込んだら、その時は僕がアンタを容赦なくボコるから。そのつもりでいてよ。」

でもそれは年下としては、すごい上からの言い方。

「さっきから黙って聞いてれば、すげぇ偉そうな物言いだな。年下のくせに、ちょっとは敬意っていうもんねえのかよ。オレが言うのもなんだけど。」

「敬意?だからアンタのどこに敬えっていうの?」

「んだとコラァ!!」

「わーっ!?比路くんも犬飼くんもストップストップ!ここで暴れたり喧嘩したりしたら、司くん含めて。もうここには歓迎しないからね!」

おかげで当然のようにバチバチと勃発しかけた2人の言い合い。
なので明人が慌てて仲裁して、司も「やめてー」と止めに入ったことにより、これ以上の争いにはならなかった。



ジジ抜きで遊ぶ5人

そして結局、司が持っていたトランプで遊ぶことになった司、比路、犬飼、桃地、明人の5人。
簡単にジジ抜きをすることとなったが、最初に上がったのは勿論、司。その次が桃地で、明人。残っているのは比路と犬飼。

「お前、司と比べて大したことないんだな。」

「そっちこそ。司にまだ1回も勝ったことないくせに。」

バチバチとした言い合いが直ぐに始まったが、残った1枚のトランプカードを巡ってるだけなので、さっきよりは全然平和。

「よかった。ヒロもサエ先輩も、なんだかんだ言いながら仲良くなってきて。」

「「こんな奴と、どこが!!」」

「犬飼さんも峰岸くんも、息ピッタリっすね。」

っというか、勝者から見たら、ただの負け犬の遠吠えのようなものにしか見えない。
なので司はニコニコと。桃地は羨ましそうに。

「僕からしたら司くんも比路くんも、2人ともすごいよ。同級生、上級生関係なく、色んな人と直ぐ知り合って仲良くなるし。」

明人も混ざって、微笑ましく見ていた。



訂正される呼び名


「どうでもいいけど、お前。久野のこと呼び捨てしてんのな?」

「え?うん。だって克也がいいって言ったから。」

「いやいやいや、そこは普通によくねえだろ。」

そして比路と犬飼で巡った最後の1枚のトランプは、犬飼が勝って比路が負け。

「・・・やっぱり、ダメ?」

「ダメも何も常識だろ、上級生に向かって呼び捨てって。本人良くても、周りは『なんだお前?』だろ。オレだっていちお付けてる奴には付けてるんだから。な?鈴木先パイ。」

「そうだね。犬飼くん、いちお僕にはそう呼んでくれてるね。・・・明人でも全然いいよ?僕もこれからは冴くん、小太郎くんって呼ばせて貰うから。」

「なんか3年生って、下の名で呼び合う人、多いっすよね。」

「・・・・・・・・・。」

敗者となった比路は、勝者となった犬飼の言葉に一理あると気づいたのか。
自分の考えを改めてさせたのだった。



青ノ葉 第73話をお読みいただきありがとうございます!

「アンタ」と「お前」で呼び合う犬飼×比路
本編上では結ばれないカップリングですが
長年の夫婦かな?という呼び合いが、
かなり好きです、好物です

そしてこれにて第3章 雨模様編はおしまい
次回からは第4章突入!と言いたいところですが
12月開始はちょっとキリが悪いので
第4章は来年の1月から開始
来月は本編お休みにして久しぶりのおまけを
恋文乱組+生徒会メンバー+今後登場する新キャラ
全部まとめて詳細紹介パート3をupします


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