恭が比路を追っていたわけ。 それはもう予想通りのお話。
「克也先輩は生徒会、豊部長も用事で今日いないからな。こんなチャンス、滅多にない機会だから。打倒、峰岸 比路で、積年の恨みを晴らさせようとしただけだ。」
「しただけだって、その話。まだ懲りてなかったんだ・・・。」
「当たり前だろ。オレは峰岸 比路に勝って、それを師匠に報告したいんだから。」
青ノ葉に転入してきてまで、打倒 比路を一直線に固く誓った恭。 今日は久野も小町も柔道部にいないから、恭を止められる奴はおらず、決着付けられるこのチャンスを逃さないよう追い掛け回していたようだ。 もちろんその話は、ロッカー内にも聞こえているし、隙間から向こうの状況も見えている。
「積年って、お前。あの1年に、どんだけ恨まれてんだよ?」
「積年も何も。恭と会ってから、まだ1年も経ってないってば・・・。」
なので犬飼も思わず、そう小さな声で比路につっこむ。 比路も小さな声で、いつものように恭へつっこみを入れたのだった。
|