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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#73 2人を繋げるRunaway (2/4)
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追ってきた恭


「明人先輩ー、ちょっと邪魔するぜ。こっちに比路来てないか?」

そんな掃除ロッカー内の空気もよめずに、家庭科室に入ってきた恭。
逃げた比路を求めて、明人や明人と一緒にいた司にも情報を聴取する。

「澤村くんも、いらっしゃい。」

「お?なんだ、司もいたのか。」

「ういー。俺は明人兄にお茶ご馳走になってたとこだよ。」

けどその前に、なんで恭は比路を追い掛け回してたのだろう。

「それよりヒロがどうかした?何あったん?」

「比路くん、道場の方にいないの?比路くん部活中は、こっちに来たことないよ?」

気になる司と明人は誤魔化しながら、恭へ上手に聴取を仕返す。



恭が追ってた訳

恭が比路を追っていたわけ。
それはもう予想通りのお話。

「克也先輩は生徒会、豊部長も用事で今日いないからな。こんなチャンス、滅多にない機会だから。打倒、峰岸 比路で、積年の恨みを晴らさせようとしただけだ。」

「しただけだって、その話。まだ懲りてなかったんだ・・・。」

「当たり前だろ。オレは峰岸 比路に勝って、それを師匠に報告したいんだから。」

青ノ葉に転入してきてまで、打倒 比路を一直線に固く誓った恭。
今日は久野も小町も柔道部にいないから、恭を止められる奴はおらず、決着付けられるこのチャンスを逃さないよう追い掛け回していたようだ。
もちろんその話は、ロッカー内にも聞こえているし、隙間から向こうの状況も見えている。

「積年って、お前。あの1年に、どんだけ恨まれてんだよ?」

「積年も何も。恭と会ってから、まだ1年も経ってないってば・・・。」

なので犬飼も思わず、そう小さな声で比路につっこむ。
比路も小さな声で、いつものように恭へつっこみを入れたのだった。



出て行かないで

比路と恭の事情を詳しく知らない犬飼。

「お前らのことよく分かんねえが。勿体ぶってないで、さっさと決着付けたらどうだ?あそこまで思われてるって、向こうは相当なんじゃねえの?」

「う・・・。」

そのまま小さな声で、さらなるつっこみを入れてくる。
それは比路自身も分かっていることだけど、そんな恭から逃げるってことは何かしらの事情があるようだ。

「なんならオレが今すぐここから出てって、決着のきっかけ作ってやってもいいんだぜ?」

でもそれを知らない犬飼は、これは今までの仕返しに使えるネタだと気づき、ニッコリ笑って、ここぞとばかりに嫌がらせを働かせた。
すると比路は、

「だから今は出て行かないでってば。同じことニ度も言わせないで。」

「いだだだだ!ばっか!やめ・・・っ・・・苦しいから離せ。」

犬飼に手を回してる腕の力を大に。
嫌がらせしようとした彼を力で抑えつける。

「っていうか、黙っててくれない?恭に話し声、気付かれるかもしれないんだから。あと出来る限り息もしないで。」

「最後、無茶言うな。それにそれが人にモノを頼む態度かよ。」



犬飼以外は「え。」

恭が比路を追い掛けてたわけは、いつもながらのことだって分かった。
けど今はロッカー内で匿ってる比路の為にも、ここから恭をどっかに行かせないといけない。

「でも比路くん、こっちには来てないよ?ねえ?司くん。」

「うん。ヒロの姿を最後に見たのは自分の教室だし、掃除のロッカーに逃げ込んだなんで俺、知らな「ん゛ん゛っ!司くんも比路くん知らないよね?」

「うんうん。知らない、知らない。俺は何も知らない。」

だから司も明人も、なんとか誤魔化すことに徹してくれている。

「だが確かに、こっち方向に比路が逃げてったんだよなー?」

しかし恭は、司と明人を2人見てコクンと頷き、

「司と明人先輩が家庭科室にいるなら、そのうち比路もやって来るかもしれないよな。よし!ちょっとの間だけ、ここで比路を待ち伏させてくれ。」

「「え。」」

(え。)

と。
比路を追い掛けるのをやめて、待ち伏せる作戦に変えてきた。

「え。って、司も明人先輩も何だよ。まるでオレがここにいちゃいけない感じに言いやがって。」

「だ、だってここ近辺で比路くん見てないんだよ?僕ら。もうどっかに行っちゃってる可能性のが高いよ?」

「けど比路が来ないとは誰にも言い切れないだろ。ちょっとの間だけ、オレも休憩休憩。明人先輩の麦茶、オレも飲んでみたかったし♪」

その状況は、比路にとって最悪な展開。
恭も司のように、明人の麦茶に惹かれてご馳走になることに。



追ってきた久野

するとその時、

「鈴木先輩、すみません。ちょっといいですか?こっち方向に犬飼見ませんでした?」

恭と同じように、家庭科室に入ってきた久野。
逃げた犬飼を求めて、明人に情報を聴取する。

「久野くんも、いらっしゃい。」

「え、あれ?司や恭もいたんだ。」

「俺は明人兄にお茶ご馳走になってたとこだよ。」

「オレもオレも。」

けどその前に、なんで司と恭までもここにいるのか。

「お茶ご馳走って・・・、え?今は部活の時間なのに、ここで何してるの?」

今は部活動の時間帯。
追ってる犬飼のことも気になるが、2人のことも気にし出して、3人を強く注意した。



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