今日の天気は、曇り。 雨が降る予報はなく、雲と雲の隙間から薄っすらと青空が一時的に見えた。 それからあっという間に迎えた放課後。 幽霊部員だった矢口が久しぶりに顔を出したことにより、陸上部のグラウンドは、いつも以上に騒ついている。 もちろん「なんで今頃になって」という声もあったが、それも気にしないことにした。 今まで来てなかったんだから、言われて当たり前、当然だ。
「じゃあ純平。準備運動しっかりね。久しぶりで肉離れ起こしたらアレだし。」
「ああ・・・、分かってる。」
けど空も協力して測ってくれたタイムによって、その不満をさらに騒つかせた。 久しぶりだから今回は軽くだったけど、それでも十分、短距離のレギュラー陣と競えるほどの記録を生み出したから。 同じ短距離選手の2人、鬼頭にはもちろん敵わないけど、瑛が青ざめるほど。
「・・・は?ちょ、マジかよ。」
それは矢口が陸上部に復帰するのに、ちょうどいい兆しといえるほどの幕開けだった。
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