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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#72 矢口episodesEX (3/3)
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帰ってきた幽霊部員

今日の天気は、曇り。
雨が降る予報はなく、雲と雲の隙間から薄っすらと青空が一時的に見えた。
それからあっという間に迎えた放課後。
幽霊部員だった矢口が久しぶりに顔を出したことにより、陸上部のグラウンドは、いつも以上に騒ついている。
もちろん「なんで今頃になって」という声もあったが、それも気にしないことにした。
今まで来てなかったんだから、言われて当たり前、当然だ。

「じゃあ純平。準備運動しっかりね。久しぶりで肉離れ起こしたらアレだし。」

「ああ・・・、分かってる。」

けど空も協力して測ってくれたタイムによって、その不満をさらに騒つかせた。
久しぶりだから今回は軽くだったけど、それでも十分、短距離のレギュラー陣と競えるほどの記録を生み出したから。
同じ短距離選手の2人、鬼頭にはもちろん敵わないけど、瑛が青ざめるほど。

「・・・は?ちょ、マジかよ。」

それは矢口が陸上部に復帰するのに、ちょうどいい兆しといえるほどの幕開けだった。



記事から知る彼の情報

2年の矢口 純平が陸上部に復帰した。
そのニュースは青ノ葉学園内の生徒新聞の記事にされて、翌日の朝から昇降口の掲示板に貼られ、全生徒に向けて知らされる。

「・・・・・・・・・。」

その新聞は、黒崎の目にまで止まり、真剣に読んでいてホッとした息を吐く。
それを見た明人も彼の隣に行き、

「・・・よかったね、純平くん。陸上部に戻ってくれて。」

「う、うん。」

軽く肩をポンっと叩き、ソッと声をかけた。

「頑張ってね、純平君。」

そして黒崎も黒崎で、その新聞に向かって矢口を応援してくれたのだった。
その顔色をちょっとだけ寂しそうにさせて。



偶然じゃなく必然だったきっかけ

黒崎は矢口と初めて会う前から、矢口のことを知っていた。
不良で名を渡らせていたからと言うのもあるけれど、図書室の窓から中庭の木陰が見れて、昼休みになる度に彼はそこで矢口のことを見ていたから。
きっかけは偶然。
たまたま外を見たら矢口がそこで休んでいて、昨日もいて今日もいて明日もいて。いつの間にかこの偶然は偶然じゃないことに気付き、ここから矢口を見るのが日課へと変わっていった。
なので中庭の木陰で会った2回目は、偶然ではなく必然。

『純平君、やっぱりここにいた〜。』

『!?』

だからあの時、黒崎は矢口に『やっぱり』と言ったんだ。

『あ、ひょっとして今寝てた?起こしちゃった?僕。』

『・・・・・・。』

それはまだ雨が降り始める前の出来事。
それがきっかけとなり、そこから関わりだした2人だった。



青ノ葉 第72話をお読みいただきありがとうございます!

矢口編開始の68話は6月の梅雨時期
矢口編終了の72話は10月の秋雨時期(EXを含めて)
青ノ葉の物語が進むスピードが遅すぎるので
かなり先すぎる事になりますが
かなりリアルタイムを意識してました
純平×真央エピソードの今後は、
それを覚えていただけていたら幸いです
別の子のエピソードになりますが
相応しいサブタイトルをお持ちの方ですので・・・


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