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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#72 矢口episodesEX (1/3)
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遅刻はダメだから

その日の朝。
矢口は自分が常に持ち歩いていたナイフを、二度と踊らされないよう自身から離して、とりあえずで自分のベッドの布団の下に隠した。
ここならルームメイトにも気付かれないだろうし、もちろん帰省する夏休みには一緒に実家へ持って帰るつもりだ。

「・・・よし。」

そしていつもよりちょっとだけ早く起きて、食堂で朝ご飯を食べて、身支度も済ませたら学校の校舎の方へ。
まだ他の生徒がいるうちに向かった。
もちろん遅刻しないように気をつけて。

「・・・・・・・・・。」

その姿に周りからいい話題の種にされたが、それはいつもと何も変わらないので、たいして気にはならなかった。



アイツの前にアイツと会う

昼休み。
この時間になればいるだろうと思った矢口は、2年のA組からC組へ向かった。
用はもちろん、そのクラスにいる生徒にある。
けど同じC組にはアイツも、

「よう、純平。珍しいな。純平がこっちの教室に来るなんて。」

犬飼もいるから。
用がある生徒と会う前に、彼と先に会った。

「・・・・・・・・・。」

いや、犬飼とは会う必要があったから、これでよかった。
彼がいる時間帯をよんで、午前中ではなく昼休みを選んだのだから。
だから矢口から犬飼へ。

「・・・中に羽崎、いるか?」

「!」

用がある生徒を呼び出してもらおうとする。



犬飼に告げる意思

この言葉に何の意図があったのか。
察した犬飼は、表情を怖くした。

「純平・・・。それ、本気で言ってるのか?」

その問いに静かに頷いた矢口。

「悪い・・・、冴。俺、戻るわ。」

そのまま犬飼の目を見て、『戻る』意思を伝える。
前に進む前に、ここでけじめをつける為に。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

先ずは犬飼と話さないと、何も始まらないから。

「あの3年の眼鏡に、何か言われたのか?」

「いや、関係ない。俺は俺の意思で戻ると決めた。ただそれだけだ。」



戻れるのであれば

犬飼が率いる犬飼軍団と呼ばれていた不良グループは、朋也との悶着騒動後、解散となった。
だが矢口自身、犬飼たちとは戯れていなかったから、その解散の中で何が行われていたかは知らない。

「オレ・・・、言ったよな?もし戻る気でいるなら、純平も他の奴らと一緒だからって。そのつもりでいろって。」

「・・・ああ。」

あの騒動後、おまけのように桃地がいるだけで、基本は犬飼1人だけ。
ひっそりと静かでおとなしくしているが、その内情までは、流石の矢口でも分からない。
だから犬飼が言ってきた言葉に驚きが隠せなかった。

「ま・・・、戻れるのなら戻った方がいい。それで坂恨んだり、どうこうするほど、そこまでオレは落ちぶれてなんかいない。いいんじゃない?別に。純平がそうしたければ。」

「ー・・・ぐっ!?」

けどそれは矢口の隙を突く為だったのか。
近寄ってきた犬飼に突然、胸に拳をドンッと入れられる。



加減アリな確かな釘打ち


「ただ、な・・・。もう二度と。」

それは前のように寸前で受け止めることが出来ず、当たってしまって少し痛かったが、やっぱり犬飼にしては力が無さすぐるパンチ。
けど釘を刺すのには、ちょうどいい力加減。

「もう二度と、こっち側に戻ってくるなよ。」

「・・・・・・っ、冴。」

「それはオレが、許さねえからな。」

犬飼から矢口へ。
拳で言葉の釘を刺してまで、そう言い渡したのだった。

「まあオレと遊びたいっていう時は、これまで通りと変わらず。純平とも遊んでやるからよ。なんなら司も交えて、またトランプでもしようぜ?オレらアイツに負けっぱなしだしな。」

「・・・ああ。そうだな。」

「羽崎なら教室にいるから、ちょい待ってろ。」



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