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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#71 青ノ葉 雨模様(Epilogue)(1/4)
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今まで何を

今まで何してたんだろ・・・。

『純平君とは、こういう関係にはなれない。だからごめんなさい。』

全部が不確かで。
全部が曖昧で。
周りに言われただけのことを、なんであんな勘違いしてたんだろう・・・。

『僕とは友達のままでいて下さい。』

無理に決まってるだろ。
踊らされた先で、怯えさせていたことすら気付かずに、あんなひどい真似をしたのだから。

「・・・・・・・・・。」

一度でも壊れてしまったモノは、もう元には二度と戻らない。
それは人との関係でも言えること。
それは既に知ってたはずだったのに。



商店街の路地裏で

矢口はあのまま黒崎の部屋に居た堪れなくなって、まるで逃げるように出て行った。
借りようとしていた傘を借りずに、ザーザー本降る雨に打たれながら。

「・・・・・・・・・。」

日は暮れて寮の門限までもうじきなのに、彼の足が向かったのは商店街。
目的もなく走って着いた場所が、偶然そこだっただけ。
けど路地の裏で、如何にも悪そうな男と肩がぶつかってしまったが、謝りもせずにそのまま素通り。

「ってぇな!どこ見て歩いてやがる!!」

そんな矢口の態度に向こうも腹を立て、揉め事が瞬く間に勃発。
矢口もちょうどいい八つ当たり相手が出来たから、易々と買ってしまう。
だから始めから手加減なんてしない。
そのはずだったのにー・・・。



喧嘩は、ダメだよ



『喧嘩は、ダメだよ。』



脳裏に流れたのは、黒崎に言われた言葉。
それが喧嘩を買った拳を封じ込めてきたのだ。

「!!」

八つ当たろうとした拳も。
反撃しようとした拳も。
何もかも。

「つまんねぇなコイツ。随分と弱っちいな。」

だからあっという間に返り討ちに遭い、ボロボロなゴミのように成り果てるのも早かった。
意地でも振ったが全然敵ってなくて、自分の弱さを思い知った・・・。



落ちたナイフ


「なんだ?このナイフ。ふーん?雑魚のくせに随分とイキったモン持ってんじゃん。」

最悪なことに、矢口から落ちたナイフが、その男に拾われてしまう。
そして、この人通りが少ない裏路地で、ちょうどいいとか口にして、まさかのまさか。

「オレにぶつかった詫として。コイツの切れ味、お前の体で試させてやるよ!」

そのナイフの刃先を矢口に向けてきたのだ。

「・・・・・・。」

なのに矢口はロクな抵抗をしないまま、ただただ降り続ける雨を見ていた。
まるでそのナイフに刺されることを受け入れるように。
今度こそ、誰も誤った選択を選ばないよう願いながら。



圧倒的な強さ

するとその時、

「!!」

如何にも悪そうな男の手は、謎の合羽姿の男によって止められた。

「なんだ!てめェ・・・ぐッ!?」

その合羽男は圧倒的に強くて、男が持ってたナイフを簡単に奪うどころか、拳を1発。腹に入れただけで瞬く間に伸したのだ。

「な・・・!?」

いきなりなんだ?
誰だ?コイツ。

「・・・・・・・・・っ。」

そんな突然の出来事に、頭がついていけない。
矢口を助けたイコール敵ではないんだろうけど、その圧倒的な強さが圧倒的すぎて、身震いを起こす。



ギリギリ見えた彼の姿

けど後ろから来ていたもう1人の合羽男に気付かず、首の後ろを手刀でトンッと叩かれた。
そのせいでボロボロになった身は、意識を保つことが出来なくなる。
でも矢口は、この合羽男が誰と繋がっているのか、失っていく意識の中でギリギリ分かってしまう。

「ねんのため、まちのほうまでパトロールしててよかった。」

この特徴がありすぎて、聞き覚えがある声の持ち主を。

「まおくんと、ともやくんたちからも、おはなしきいてたから。あぶないとこだったけど、おかげでたすかっちゃった。ー・・・や、ありがとう。」

「かなりギリギリだったけど、間に合って良かった・・・。」

「うん。だってボク、やくそくしてるから。もうケンカしないって。じゅんぺいくんとも。」

数人現れた合羽男の間で仲良く話してる、青ノ葉学園の生徒会会長、永瀬を。
雷が鳴った強い光によって、彼までも合羽姿でハッキリ見えたから。

「だから、やぶらせないよ。ボクが、みえてるはんいでは。」

「そうですね、会長。」

でもそこでギリギリだった意識も途絶え、この記憶は正しかったのか分からなかった。



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