なのでもう1回、同じ質問を。
「だからー・・・。真央先輩は、またその本読んでんのなって。」
今度は遮られないように。話題を変えられないように。 ちゃんと黒崎を先輩付けて呼んで、訊いた。
「うん。好きな話は何回読んでも飽きがこないから。だから返しちゃう前に、もう1回読んでおこうって思って。」
すると今度はちゃんと答えてくれたが、なんとも彼らしい回答。 だけどちょっと理解に苦しむ。
「そうか?何十回も読んでたら、先の展開を頭が覚えすぎてつまらくなってこないか?」
「うーん。不思議とこの本だけは、そんなこと起きないんだよ。」
「すげぇ謎現象起きてるんだな・・・。」
「ううん。そんなことないよ。もっと単純にー・・・。」
でもそれは、とっても真っ直ぐな答えだった。
「好きだからだよ。」
「ーーー!」
そして訊いた矢口の心にも、そのまま届いた。
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