空は陸上部員。 矢口も陸上部員ではあるが、今ではすっかり幽霊部員。 いてもいなくても、どうでもいい存在。
「・・・羽崎もヒマだな。」
こっちを見てる空の視線に負けたのか。 ようやく言葉を返した矢口だが、本から目は離してない。
「僕は伝言を届けに来ただけだから。」
「顧問も放っとけばいいのにな。」
「去年撮ってた映像を参照に、体育祭の時、純平のフォームが崩れてなかったからって。だから今のタイムが気になるって話になってて。」
「幽霊なんだから、いてもいなくても一緒。むしろいない方が、今いる部員にとって邪魔にならなくてよかね?」
「うーん・・・。でもまだ退部届け出してないから。幽霊部員でも、純平はまだ陸上部の部員だよ。」
ちゃんと顔を合わせてないけど、会話が出来るだけまだマシなのか。 空は矢口の失礼な態度を気にしなかった。
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