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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#69 青ノ葉 雨模様(2)(2/5)
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翌朝、昇降口にて

翌朝。
今日も雨が1日続く日となる、校舎の昇降口にて。

「おはよう、純平君。」

「!?」

矢口を見つけた黒崎が、パアッと明るい顔をして、こっちにやって来る。
時間からして他の生徒は、ほとんど教室へ向かった後なので、お互いにお互いを見つけるのが早かった。

「純平君って、いっつもこの時間で校舎に来てるの?前の服装検査の時も遅かったけど、いくらなんでも遅すぎない?遅刻はダメだよ。」

「え。」

「もう少し早く来てよ・・・。あともうちょっと遅かったら、僕、待ちくたびれて教室に行っちゃうところだったから。」

「・・・・・・・・・。」

そして色々と文句を言って来たが、ちょっと待ってくれ。
こっちは「待っててほしい」とか、そんな約束してないどころか、そんな話すらしてない。
なんなら今日もこの場で会うのが初めましてで、おはようございますだ。
一方的に勝手に待たれていたことを、何故こんなに文句言われなきゃいかんのか。
文句を色々言う前に、ちょっと待ってくれ。



全く違う一緒の展開


「なんてね。今日も渡したい物あって、純平君が来るまで絶対待とうって思ってたから、ずっと待ってたんだ。」

「・・・また本か?」

「うん。また本だよ。」

けど黒崎が待っていたのには理由があった。
鞄にしまった本を1冊取り出して、それを矢口に差し出す。

「これ。時間ある時に、よかったら読んで。純平君にオススメだと思って、持ってきたんだ〜。」

「・・・・・・これって。」

「うん。これも僕のお気に入りの中の1つだよ。」

満面な笑顔で言ってきたが、これもちょっと待ってほしい。
おかげ様で、すごいデジャウ感。っというか、全く一緒の展開で、頭が痛い。
それを見た矢口は、はぁ・・・っと溜め息を吐き、

「図書室の本だったら、もう借りないからな。」

「これは図書室のじゃないよ!僕のうちから持ってきたやつ!」

又貸しを疑ったが、向こうは全否定。
今回はそんなことしなかったようだ。



黒崎のオススメネタバレ ver.2


「とにかく、これも読んでみてほしくて。」

そしてそのまま黒崎に言われたこと。

「これもそこまで長くないお話なんだけどね。」

こっちが何も言わないことをいいことに、勝手にオススメを語ってきたんだ。

「絵本が元になった小説で。一生の願いを願って、猫が人間にされちゃってー・・・。」

ペラペラと、そのお口を達者にさせて。

「飼い主であるご主人様の為に、人間になった猫は色んなことをするんだけどー・・・。」

「まだ読むとは言ってないけどさ。いきなり色々言うのやめないか?」

まだ読んでもない本の先の展開を言われまくって、耐えれず止めた矢口だった。



呼んでなかった理由

その本は黒崎から矢口へ、ひょいっと取って受け取る。

「ま・・・。前回、悪くなかったしな。」

「よかったら感想聞かせてね。」

理由は、ただ単に前に又貸しされて読んだ小説が面白かったから。
今日の授業もサボる方向で考えていたから、暇を潰すのにはちょうどいいアイテムだった。
するとその時、ふと思い出した明人から言われたこと。

「そういやアンタの名前って、真央っていうんだな?」

「えっ!?うん、そうだけどー・・・、って。僕、純平君に名乗ったはずだけど。」

「あんまり覚えてなかった。」

「ひどい!それで純平君、ずっと僕のこと名前で全然呼んでくれてなかったんだ・・・。最初に会った時、『あの黒崎』って言ってくれてたのに。」

「『図書室の本を全て読みきった変態』っていうことだけ覚えてた。」

「そっちだけで覚えないで。」

黒崎の名前を、ちゃんとよく分かっていなかった矢口。
でもこれでやっと彼の名前を覚えられたようだ。

「あと呼ぶなら、ちゃんと先輩付けて呼んでほしいんだけど・・・。」

「だってアンタ、あんまり先輩って感じしないし。」



10分間の休憩時間

そのあとすぐに予鈴が鳴り出して、そこで別れた2人。
自分たちの教室へと向かい、本鈴が鳴る前に着席した。
矢口は授業をサボる気でいても出席日数はほしいから、これにて遅刻も欠席も無事回避。
担任にも各科目担当教員にも、机にいるだけ有り難く思えという態度で受けて、どの授業もいるにはいるけど、そこで静かにサボっていた。
黒崎から借りた本を読みながら。

「・・・・・・・・・。」

それからしばらくして。
授業と授業の合間にある10分ぐらいの休憩時間を迎える。

「陸哉、よかった。次の授業、移動教室とかじゃなくて。」

「ん?あ、空か。」

そのちょっとの時間にC組の空がA組の教室にやって来て、クラス委員をやってる陸哉に用を尋ね、

「純平、今日来てる?」

「いちおいるけどー・・・。まあ、いつも通りって感じだな。純平がどうかしたか?アレならオレから話つけとくけど。」

「ううん。大丈夫。」

そのまま矢口の席の前まで向かう。



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