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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#68 青ノ葉 雨模様(1)(2/4)
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本日の家庭科室

一方、その頃・・・。

「明人兄、今日も遊びに来たよー!お茶飲ませて。」

いつもの調子で、家庭科室にいる明人の所へ遊びに来た司。
ニッコニコ顔でガラッと扉を開けると、そこには明人と矢口の2人の姿が。

「「・・・・・・・・・。」」

「あれ?純平先輩も明人兄のところに来てたんだ。」

2人は今まで何の話をしていたのか。
司を見た途端、ピタッと止まって黙りに。

「ん、どうしたの?2人してこっち見て?」

「ううん、大丈夫。なんでもないよ。司くん、今、麦茶用意するから待っててね。」

けどそれは、ほんの一瞬だけ。すぐに動いた明人。
矢口との話を止めたまま、いつものように招いた司の分のお茶も用意した。

「矢口くんも、おかわりどうぞ〜。」

「・・・・・・・・・。」



秘密のお菓子

3つのコップに注がれた麦茶。
明人が飲料水で作ってくれた麦茶は、今日もしっかりよく冷えている。
このベタベタする梅雨時期の暑さも、飲んだ一瞬でスッキリ感を与えてくれた。

「明人兄が淹れてくれる麦茶は、いつも美味しいねっ。」

「司くん、よかったらコレも食べて。」

すると明人は、そのお茶と共に、誰かから貰ったお土産菓子もご提供。

「あ、これ知ってる!小鳥のサブレーだ!これ好き!」

「美味しいよね、これ。でもこれ友達から貰ったやつで、3つしかないから。羨ましがられても、もう用意出来ないから。ここで食べたこと、他のみんなには内緒にしてね。」

司と矢口と自分の3人で食べて、いつものような放課後を過ごす。

「・・・なんか前にも似たようなことあったような?」

「あったかもしれないけど、司くん。僕、その時も一緒のこと言ってなかったっけ?」

「そうでしたそうでした!俺の気のせいでした!ごめんなさい!!」



矢口が訪れた用

それからいつものように演劇部の衣装を手直す作業に戻る明人。
お茶とお菓子を食べながら駄弁る司。・・・と、黙りっぱの矢口。
そんないつもを感じる、いつもじゃない放課後の家庭科室。

「ところで純平先輩。俺がここに来る前まで、明人兄と何話してたの?」

「「・・・・・・・・・。」」

司はそんな矢口がやっぱり気になるようで、お茶菓子1つで変わろうとしていた空気を元に戻す。
その答えに困る矢口に、目配せした明人が代弁を。

「別に変わった話はしてないよ。お茶を飲みに矢口くんがやって来て、その直ぐぐらいに司くんが来たから。今日も雨降っててヤダね〜とか言ってただけだよ。ね?矢口くん。」

「え?あ・・・、ああ。」

「そうだったんだ。なんだ?てっきり俺、2人のお邪魔をしちゃったのかと思ったよ。」

『彼がここにいるのは、貴方と一緒だよ』と。尤もな理由をニッコリした顔で言い、司を「なるほど」と納得させた。



矢口ってどんな人

けどそこで席を立つ矢口。

「鈴木先輩。それじゃあ俺は、これで・・・。」

「また気が向いてよかったら遊びに来てね。冷たい麦茶、用意して待ってるから。」

ペコっとお辞儀をしてから、静かに家庭科室から出て行く。
その背を見ながら司は、去った後も、彼のことをまだまだ気にしていた。

「俺、ここに通い始めてからサエ先輩やコタ先輩たちと、よく話すようになったけど。純平先輩だけはまだよく分かんないんだよね。前にトランプやった時以来、全然遊んでないし。」

「その2人と比べたら、矢口くんはそんなに来たことないから。むしろ犬飼くんたちと遊ぶ1年生って、司くん以外いないから。そのセリフ自体が、とっても貴重に聞こえる。」

「明人兄からしたら、純平先輩ってどんな人なの?」

「1匹狼の子って感じかな。犬飼くんたち含めて、あんまり誰かとつるんでるとこ見たことないから。」

「ふーん・・・。」

「前まで結構、荒れてた子なんだけど、なんだったっけな?ずっと持ってたご自慢のナイフを、誰かに蹴り折られたせいもあってか。それから最近までは落ち着いてる感じなのかな。」

「うわ。なにそれ。そんな強暴なことする人、ヒロ以外にもいるんだ。おっかな〜。」

だから明人による矢口の情報を、ウンウンと首を縦に振って頷きながら、よりこの不思議に興味を持った。
何故そんな人が明人兄の所に来ていて、何を2人で話し合っていたのだろうー・・・と。



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