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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#10 結成!ブルーリーフ!(1/3)
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一日遅いお片付け

「ごめんなさい。ボクのせいで稚空くんの片付けまで遅れさせちゃって。」

自分たちの部屋、416号室にいる稚空と梅ちゃん。
やっと二人揃ったことにより、昨日出来なかった荷物の片付けを進めていた。

「え?」

「先に片しちゃって全然良かったですよ。タイミング悪く体調を崩したボクのことなんて気に構わずに・・・。」

梅ちゃんは自分のせいで、稚空の分まで遅れさせたことを気にしていたようだ。
昨日の朝の時点で、自分が休まないといけないことは確定していた。
だからせめて自分と同室になる子に迷惑だけはかけないよう『先に片付けていい』と電話を通して、保健医の先生に伝えておいたのだと話す。

「うん。昨日チロ先生に尋ねたとき、梅ちゃんが今話してくれた通りと同じことを言われたよ。」

その話で昨日のことを思い出す稚空。



稚空から梅ちゃんへ

「あのね梅ちゃん。梅ちゃんがそこまで気にする事なんて、なんにもないんだよ。」

でも稚空の片付けが遅れたのは、梅ちゃんのせいではない。

「オレが勝手に待ってただけだから。」

「・・・稚空くん。」

「だから気にすることもなければ、畏まることもないし、もちろん遠慮することもないよ。」

稚空は他の人より一日遅れでルームメイトの子と、初めて顔合わせしたのだ。
昨日から『どんな子かな?どんな子かな?』と、ずっとずっと気にしていた彼。

「あ、もし具合悪くなったら、いつでも伝えてね。」

「はい。ありがとうございます。」

だからさっきこの部屋で梅ちゃんと初めて会ったとき、とてもとても嬉しくて安心した心境を真っ直ぐに語り、梅ちゃんへ聞かせた。



上と下どっち?

そんなわけで部屋のことで相談し始めた稚空と梅ちゃん。
まずは二段ベッドから。上と下、どっちを使いたいか話し合う。

「ではではお言葉に甘えて。ボク、下の方使ってもいいですか?」

「全然いいよ。って、そっか。体調崩した時のこと考えれば下のがいいよね。梯子よじ登る手間ないし。」

「あ、うん。それもそうなんですけど・・・。」

「ん?」

梅ちゃんは自分の体のことも考えた上で選択したかと思えば、他にも理由があるようで。少し恥らった表情を見せて、その訳を話す。

「ボク、その・・・お恥ずかしい話なんですが。そのぐらいの高さでも凄く怖くて・・・。」

「高所恐怖症ってこと?」

「・・・です。ホラーとかは平気なんですけど、高いところだけは全然ダメなんです。情けないですよね男の子なのに。」

「へぇー。」

さて、それを聞いた稚空は何を思ったのだろう。



司以上に腐った男

(小柄+か弱い系病弱男子+ほんわか笑顔持ち=あれ?これ、ひょっとしてでもなく最強じゃない?もちろん受けとして。)

稚空の頭で計算される何か。

「梅ちゃんってさ。こういう学校だと、かなりモテそうだよね。」

「え?」

「この学校ならモテるって絶対!間違いなく!100%!賭けてもいいよ!」

「あ、あの稚空くん?男子校でモテても、ボク嬉しくないですよ。」

梅ちゃんは完璧パーフェクトレベルな受けっ子さん。
それが末に出た腐ったお答え。
別の意味でも梅ちゃんみたいな子とルームメイトになれて良かったと喜ぶ稚空だった。



423号室では・・・

「とりあえず片付けはこんなもんかな。そろそろ二人のところに行こうか。」

「はいっ!稚空くんが手伝ってくれたおかげで、ボクの方も早く終わったです。ありがとう稚空くん!」

「いやいや。それぐらいどうってことないって。」

一日遅れで始めた部屋の片づけもようやく一通り終わり、423号室へ向かう二人。
そういえば司はあれから大丈夫だろうか?とか、そんなことを考えながら、幼馴染みコンビ部屋のドアを開けた稚空。

「アッキーも梅ちゃんもいらっしゃい。さっき明人兄から貰ったお菓子用意するから待ってて。みんなで食べよ。」

「遅くなってしまってごめんなさいです。ボクが片付けに戸惑ってなければ稚空くんも、もう少し早く来れたのに。」

「大丈夫だよ梅ちゃん。こっちもその間に済ませられたし全然問題ないから気にしないで。」

すると二人を出迎えたのは比路一人のみ。
あ、あれ?あれあれ?
司は?司はどこに???

「済ませられたって何を・・・?」



人の世の末路

司はどこに行ってしまったのだろう。

「ひろピー。つかポンどこ行ったの?」

彼の行方が凄く気になり、尋ねる稚空。
すると比路は不機嫌そうな声と指だけで、その方向を示す。

「司ならあっちにいるんじゃない?あと、ひろピーやめて。」

なんとそこは二段ベッドの上の段。
視界を向けると、確かに司の姿があったが、

「人間なんて所詮、灰に還る生き物なんだよ。フフフフフフ・・・。」

「ギャァァッ!?つかポン?つかポン!?ちょちょちょっと、しっかりしっかり!!」

「アッキー・・・、つかポン止めような・・・。」

体育座りで虚ろな目で遠くを見ながら、ボソボソと独り言を呟いていたのだった。
・・・どうやら比路からの制裁があの後も続いていたようで、心身共に大ダメージを受けていたのでした。



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