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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#66  陸上部のおつかい(4/4)
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裏路地悶着 2

そのとき、笛の音がピピィーッと鳴り響く。

「こら!キミたちやめなさい!!」

朋也とつけてた野郎の喧嘩が始まる寸前で、やって来た警察官が止めに入る。
その音でビビったのか。
捕まるか!と、朋也を追ってた男は逃げ、警察官もその男を追って、この場から走り去って行く。
すると、

「後藤!今のうちにこっちだ!」

「!」

置いてきぼりにさせたはずの瑛が警察官の後からやって来て、この隙に安全な場所まで連れて行った。
朋也の腕を掴んだ手を絶対に離さないように。



裏路地悶着 3

どうやら止めに入った警察官は、瑛が呼んだらしい。
置き去られた途端、朋也を追ってた男のことに気づいて、急いで通報したようだ。
だが今はそんなことどうでもいい。

「バカか!お前は!!」

安全な場所に着くと、瑛は腕を離した手で今度は朋也の胸ぐらを掴む。
そして物凄い剣幕で、喧嘩を買おうとしていた朋也を叱った。

「変な奴につけられてたなら言えよ!しかもノコノコ1人になって、あんな場所であんな真似しやがって!!」

「あ、いや・・・、その・・・。古河まで巻き込みたくなくて・・・。」

「うるせぇ!んな言い訳、いいわ。聞きたかない。」

「言い訳じゃなくて、本当の、ことで・・・。」

「うるせぇっつってんだろ!・・・心配しただろうが、このバカ!」

でも瑛が怒るのも無理はない。
1人にされた後、追われてる朋也を見て、凄く凄く心配したのだから。



あの頃とは違う今

忘れていませんか?
自分にとって慣れた日常が、どんな光景だったか。
忘れていませんか?
穏やかな学校生活を送ってきて。
忘れていませんか?
友達と過ごす日々の中で。
忘れていたりしませんか?

「・・・ごめん。」

「ごめんで済むと思うな、バカ。」

「ありがとう・・・、古河。助け、呼んでくれて。」

「・・・・・・・・・。」

こんな自分を心配してくれる人がいる。怒ってくれる人がいる。
それは前までの自分にはなかったことだから今は戸惑うけれど、あの頃のように、もう1人ぼっちではなくなったことを。



401号室の会話

そうして勝手に買い出しへ連れ出した通り、2ダース分のスポーツドリンクを購入して、それぞれで抱えて再び学校へ戻ってきた2人。
これにて陸上部のおつかいは終了。
そのあとは花壇の水遣りを約束通りに瑛も手伝おうとしたが、もう永瀬が先に終わらせちゃっていたので、こちらも終了。
そんな色々を終えると、あっという間に放課後から寮の門限時刻となり、そこからも普段通りの時間を過ごす。
そして学習時間になり、朋也も自分の部屋で勉強をしていると、今日という日に限って珍しく、ルームメイトである圭が話を掛けてきた。

「・・・変わったよね、後藤。」

「え?」

圭のその一言には、話かけられた以上の驚きだった。



401号室の会話 2

でも同じ中学出身で、過去の朋也を知ってるから言われた言葉。

「峰岸くんたちと遊ぶようになったあたりから。」

「丸くなったとでも言いたいのか?」

「自分で気付いてないの?」

そんな自身のことを朋也は気付いているのか、いないのか。
他の人に自分のことを『変わった』と言われ、なんとなく納得したくない気持ちが心に宿る。

「楽しい?・・・みんなと一緒にいて。」

けどその問いに対しては、

「・・・退屈はしないな。」

朋也なりのイエスを、圭へ素直に答えた。



朝6時のちょっとした変化 2

そして翌朝の6時。
今日も1番手は久野、2番手は比路、3番手は朋也の順で食堂に揃う。

「朋也、おはよう?」

「・・・・・・・・・。」

「ん?どうしたの、朋也。あれ?今日は違った?」

前者の2人は柔道部の朝練のため。
後者の朋也は花壇の水遣りのため。
朝早く起きてきた3人。

「・・・・・・おはよう。」

「うんっ。おはよう、朋也。」

こうしてまたちょっとした変化があった朝となり、それがこれからを大きく変える分岐点となっていったのでした。

「本当、なんで同じ部にいるのに、朋也とこうも動きが違うんだろう。」

「森も森で、一応やってるから。・・・一応。」



青ノ葉 第66話をお読みいただきありがとうございます!

青ノ葉を読み返してたら、そういや陸上部のおつかい
朋也と瑛にさせてなかったこと思い出し、
書き忘れてすっぽかさないうちに行かせました


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