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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#66  陸上部のおつかい(3/4)
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B組の教室前にて

朋也の放課後の用事は、幸いにも朝と一緒。
それ以外は特になく、瑛のせいで、陸上部のおつかいに付き合わされる羽目に。

『買い出し終わったら、いくらでも園芸部の仕事手伝うから。とにかく今日の放課後、頼んだな。』

それからあっという間に今日の授業が終わって、放課後へ。
B組の教室の前には既に瑛がいて、朋也が出てくるのを待っていた。
するとそこへ同じくB組前にやって来た稚空。

「あれ?てるりん、何してんの?もう部活に行ったんじゃなかったの?」

「陸上部の買い出しで、後藤待ち。あと、てるりんやめろ。」

「ふーん?」

そんな瑛の話に、その2人の組み合わせを珍しく思えたのか。
両手でハートマークを作って、

「あ。もしかして、デート?・・・ゴフッ!」

そう尋ねると、瑛が稚空に容赦ない腹パンチして大否定。

「稚空。いくら冗談でも、言っていい事と悪い事あるよな?」

「ご、ゴメンナサイデシタ・・・っ。」

変なことを言ってきたので、制裁入れて反省させた。



付き合わせた理由

朋也が教室から出てくると、2人は一旦、寮に戻って外出届けの提出を。
こうして制服のまま学校から校外へ。バスを使って街の商店街へとやって来た。

「さて、と。店は確かあっち方向だったか?」

けど、どうしたことだろうか。
朋也の様子が、少しおかしい。

「どうした?後藤。」

「いや・・・、なんでもない。」

それはバスに乗ってから?街に着いてから?お店に入ってから?
どこからか分からないが時間が進むにつれ、朋也の機嫌があまり良くなくなってくる。
勝手に買い出しに付き合わせたこと。
花壇の水遣りがいつもより遅れさせたこと。
それを今になって怒ってるのだろうか。

「悪かったって、一方的に付き合わせて。・・・空先輩、俺が鬱陶しい言ってた2年の先輩と付き合ってる噂があってさ。その噂が本当かどうかは知らないけど、マジだった場合。空先輩と2人で出掛けるのは、さすがにその先輩に悪いと思ってさ。」

だから瑛も今さらになって訳を話したが、朋也は彼の話なんて聞いちゃいない。
周囲を気にして何かを警戒しており、それどころではなくなっていた。



忘れていませんか?

店に入る前から?街に来る前から?バスに乗る前から?
どこからか分からないが、こそこそ後をつけてくる如何にも悪そうな男がいた。
気づいた朋也は気が気じゃなくなり、しまった・・・と遅い後悔をする。

「・・・・・・・・・。」

忘れていませんか?
友達と過ごす日々の中で。
忘れていませんか?
穏やかな学校生活を送ってきて。
忘れていませんか?
自分にとって慣れた日常が、どんな光景だったか。
忘れていたりしませんか?



間に合わなくなる前に

もちろん自分の今までを、忘れるわけがない。忘れた日なんてない。
たった数日で、そんな劇的に変わったら『慣れた日常』なんて言い方しない。
それに一緒にいるせいで瑛まで絡まれるのは嫌だ。
自分は慣れているけど、もうこれ以上、無関係の人間を巻き込みたくない。

「・・・古河。」

「ん?」

そう思った朋也は、

「悪い・・・、用ができた。買い物済ませたら、先に寮へ帰っててくれ。」

「は?おい、いきなりどこにー・・・!?」

今ならまだ間に合うから、と。
ここで瑛とは別行動。
彼を置いてきぼりにしてまで、どこかへと走り去る。
ちゃんと自分を追ってきてるか。
瑛の方向に行ったりしてないか。
後ろを時折、確かめながら。



裏路地悶着

そして朋也が向かった先は、商店街の路地裏。
人の通りが少ない路地で。ここなら誰にも迷惑かけることはないと、自分を追っかけて来ていた野郎と一戦交えるつもりでいた。

「・・・・・・・・・。」

相手は、自分よりも年上。
大人?大学生?
少なくても高校生ではないだろう。
だが相手が誰だろうと関係ないし、加減だってするつもりはない。

「いつまでもつけてないで、さっさとかかってこいよ。」

さて、どこまでが正当防衛だったかな。
・・・久しぶりすぎて思い出せないや。



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