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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#66  陸上部のおつかい(1/4)
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朝6時のちょっとした変化

朝6時。学生寮の食堂にて、ちょっとした変化が訪れた。

「・・・・・・・・・。」

「あれ?朋也、おはよう?」

いつも食堂に朝1番手でやって来るのは久野。2番手は比路。
たまに順番が上下することあったり、2番手が別の誰かだったりするが、だいたい決まってこの2人。
けど今日はそこへ、朋也がやって来た。

「花壇の水やり。朝、早めにやらないと、水がお湯にかわるから。」

彼も園芸部の関係で、今日から雨天時以外、朝早く起きることにしたそうだ。

「・・・なんで同じ部にいるのに、朋也とこうも動きが違ってくるかな。」

「森も森で、一応やってるから。・・・一応。」



園芸部の朝活動

「それじゃあ朋也、また教室でね。」

朝食を済ませたら、一旦、比路や久野たちとはお別れ。
朋也は柔道部の道場へ向かっていく2人を、寮の玄関で静かに見送る。

「・・・・・・・・・。」

そのあとは自分も先ずは部室に向かい、園芸部としての活動を。
あっちの花壇にも。
こっちの花壇にも。
そっちの花壇にも。
ホースが届かない花壇には、じょうろに汲んで水をジャー。
ホースが届く花壇には、外の蛇口から引いてきて水をジャー。

「・・・・・・・・・。」

1人で黙々と作業を熟して、心穏やかにこの時間を過ごす。



終えた後の暇時間に

でも全部の花壇に水を遣り終えたら、朝の活動はこれにて終了。
朝早く起きたのはいいが、作業にかかる時間はいつもどおりなので、終わったあとは凄く暇。
これから寮に戻っても中途半端だし、教室に行くのもまだ早すぎる。

「・・・・・・・・・。」

もうほとんどの運動部は朝練真っ最中だから、グラウンドから体育館まで、あっちこっち賑やか。
せっかくの機会だから、どこかの部でも覗いてみる?
あ、でもあんまり知り合いがいない所へ行かない方がいい。
自分が行くだけで邪魔して、新たな悶着騒動の引き金になってしまう。

(うーん・・・。)

どうしようかと迷いながら彷徨う足は、陸上部のグラウンドに。
園芸部から近ったから、ただ歩いてただけでご到着。
そこでたまたま最初に目に入っただけなのに、思わず心を奪われた。

「!」



不覚からの注意?忠告?

なんと朋也の目線の先には、陸上部部員で2年の空が。
ちょうど彼が高跳びスペースにいて、1本のバーを背面で跳び越える瞬間を目撃したのだ。

「ーーー・・・!」

その姿は聞いていた噂通り、とてもすごく綺麗なフォームだった。
素人の自分が何をどう例えて言っていいか分からない。
けど見惚れたことに気づいた後でも、その感想が変わらず、改めて関心を覚える。

「綺麗な跳び方するよな?空先輩。」

こくり。

「意外とカッコイイとこあるよな?空先輩。」

こくり。

「惚れたりすんなよ、後藤。」

「!?」

そしていつのまにか瑛に話掛けられていて、自然に頷いてた朋也は思わず肩をビクッと震わせた。



成功も失敗も綺麗な先輩

「・・・いたのか。」

「ここ(陸上部)に来ておいて、そのセリフはないだろ。むしろ後藤こそなんだよ?何しに来た?」

自分の不覚をとられ、瑛を見る朋也の目はちょっと引き気味。
けど不審がられるのも嫌なので、「水やり終えて、暇で、歩いてたら陸上部に着いてた」と。用事はないけど、ここに来た経由を素直に話す。

「ふーん・・・?まあ、こっちは邪魔しなければ特に問題ないから、ゆっくり見てったら?」

瑛も瑛で、朋也の話に納得したのか。快く?見学を歓迎。

「お、見ろよ。空先輩、また跳ぶ。」

そこでそのまま瑛も一緒になって、再び空が高跳ぶ瞬間をご拝見。
またさっきの抜群なフォームが見られるかと思いきや、今度はバーを文字通り綺麗に落として終了。

「ほらな?バー落とすときも綺麗だっただろ?空先輩。」

「・・・・・・・・・。」

そんな空の失敗シーンに、どう感想を述べていいのやら。
訊かれても分からず、言葉を詰まらす朋也。
すると空も今のを後輩2人に見られていたことに気付き、こちらへとやってきた。



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