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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#64  青ノ葉 体育祭 (前編)(2/3)
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借り物競争

プログラムは『借り物競走』へと差し掛かる。
この競技には1年生からは圭がエントリーしていて、彼が引いたお題は『仲のいい友達』。

「・・・・・・・・・。」

しかし彼には親しいと呼べる友達がいません。
彼をあまり快く思ってない生徒からも、お題を拾った位置から動こうとしない圭に、順調なクラスと見比べて批判が生まれる。
すると、

「コラー!圭!」

聞こえてくるブーイングを省みず、ズカズカとA組の応援席から恭がやって来た。

「何ボーッと突っ立ってんだ!」

「無理だから、このままリタイアしようかと。」

「あ?リタイア!?ふざけんな!ちょい貸せ!そのお題。」

そしてバッと強引にお題の紙を奪って、諦めかけてた圭に手助けを。

「なんだコレ。めちゃくちゃ簡単じゃねえか!このままゴールまで行くぞ圭!」

「いや、けど・・・。」

「いいから行くぞ!」

そのまま腕を掴み、2人揃って時間制限内ギリギリでゴール。
審査員も周囲の空気をよんで、圭のお題を読み上げることはなかった。が、せっかくの体育祭だというのに、1年A組に淀んだ気まずさまでは変えることが出来なかった。



借り物競争 2

借り物競争は、2年生の部へ。
2年生からは久野、空、陸哉がエントリー。
よーい、ドン!の合図で、一斉にスタートを切る。
先ず久野が引いたお題は『白衣着用』。まさかのコスプレで大当たり!?

「これ・・・中身作ったのって、誰だっけ?」

中身のお題を作ったのは生徒会ではないので、そうブツブツ呟きながら救護席にいるチロ先生の元へ。彼から借りて白衣に腕を通すと、大絶賛の声援が。特に3年生の方角からワァッと湧いた。

「チロ先生、ご協力ありがとうございます。」

「いえいえ。それにしても久野くん、先輩たちから大人気ですね。」

「応援というより冷やかしに近かい気もしますが・・・。これ書いた人、ホントに誰だったかな。」

そして余裕残したまま1着でゴール。
普通に楽しんだ上、十分チームの成績に貢献したのだった。



借り物競争 3

続いて空が引いたお題は、『身長が高い人』。

(よかった。思ってたより難しくないのがきて。)

まずはコスプレじゃなかったことにホッと一息。
自分の身長が173だから、自分より高い人を選べばいいだけ。
だから自分のクラスから誰かに協力して貰おうとしたが、ある一方向から妙な視線が。

「俺?俺行く?俺行こうか?」

「・・・・・・・・・。」

クラスメイトの鳴がキラキラとした目で、こちらを見ていた。ので、

「・・・冥。チーム違うけど、お願いしてもいい?」

そのまま無視して、自分と異なるチームにいる誰よりも背の高い鬼頭の元へ。

「渡辺はいいのか?すげー、こっち睨んでるけど。」

「うん、いい。大丈夫。」

3着でゴールして、成績はまずまずと。
でも案の定、あとで鳴に「なんで俺連れてかなかったの!?」と怒られたが、「冥のが審査員に引っかからないから」と上手に誤魔化す。



借り物競争 4

最後は陸哉が引いたお題。
中身を書いた人物を彼は知っているのか、空が鳴を無視したのを見て1人で大笑い。

(鳴、ざまあ。)

そして自分は平和に終わるかと思いきや、

「ん?」

改めて。陸哉が引いたお題は、

『好きなひー・・・「あーッ!陸哉が、お題破った!!」

陸哉は、そのお題を読んだ途端、ビリっと破って自らリタイア。
コスプレ以上の大当たりを引いてしまい、自分にも『ざまあ』となってしまったのだった。



借り物競争 5

借り物競走は、3年生の部へ。
3年生からは小町と和泉がエントリーしており、こちらもよーい、ドン!の合図で一斉にスタート。
お題の紙を最初に拾ったのは小町。
彼が引いたお題は『眼鏡』。

「ちょうどいいところに。」

すると小町は、あとから来た丹波の元へ。

「いずみん、コ・レ。借りてくね。」

「へっ?!あ、ちょっと!!」

そして丹波から眼鏡をヒョイっと奪って久野と同様、余裕を残してあっさりゴール。
一方、小町に妨害された丹波は大ピンチ。

「ああぁぁ・・・。眼鏡ないと何も読めないのに・・・、くっ。」

自分のお題を読む前に、眼鏡を取られてしまったのだ。
お題をものすごく近くに寄せてもボヤけて分からない。自力ではこの現状を突破するのは無理すぎる。
けど協力してくれた同じチームの生徒のおかげで、なんとかゴール。
リタイアだけは免れたが、この屈辱はいずれ・・・と。小町への敵意を改めて胸に強く抱いたのは言うまでもなかった。



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