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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#64  青ノ葉 体育祭 (前編)(1/3)
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体育祭

それは6月のパパの日から、ちょっとだけ遡った日のこと。
今日もよく晴れた日の朝。

「時は満ち、ついにこの日が訪れた・・・!」

半袖ハーフパンツの体操服に赤のハチマキを頭に巻きつけた姿で、朝っぱらから勝負心をメラメラ燃やすこの男。そいつの名は1年A組の転校生・澤村 恭。

「事を遡れば約46億年前、それは地球と共にこの因縁も生まれた瞬間。だがそれも今日でいよいよ決着が付けられるー・・・っと言うわけだ。かかってこいやー!峰岸 比路ッ!」

「あーもー・・・。そういう恥ずかしいこと平然と言うの、ホントにやめてほしいんだけど。それに恭と会ってから、まだ1年も経ってないから。」

「ほんと、それ。キョンは、よく素でそれを平気で言えるよね。」

「うがー!だからキョンはやめろ稚空 !!」

本日は『青ノ葉 体育祭』ということで。
自分と。いや、自分のクラスと対抗となる比路に向かって、力強くビシッと指を指して宣戦布告。
やっと公の場において対決出来るこの時を、今か今かと待ち続けていた彼は誰よりも熱く燃えていた。



開会式

青ノ葉 体育祭は、全学年全員参加。
A組は赤。
B組は白。
C組は青。
それぞれクラス別に分けられた異なる色のハチマキを頭部に巻き付けて、グラウンドに入場して開会式が行われる。
生徒代表として選手宣誓を告げたのは、生徒会会長の永瀬めぐる。

「せんせーっ!われわれ、せんしゅいちどうは、しんのスポーツマンシップにのっとり。あいてをそんちょうしあい、なかまとのきずなをむねに。せいせいどうどうと、さいごまでたたかいぬくことを、ちかいますっ!」

始めに口にした『宣戦』は、『先生』と同じイントネーション。
それ以外にも。彼の言葉は全部ひらがなに聞こえるため、緊張していた空気が緩む。

「はー・・・。あの人が、ここの生徒会長だったのか。」

「前にちょっとだけ会っただろ?」

「会った?会った、会ったー・・・か。なんかそんな覚えもあるような気がするが、口の中が甘ったるすぎた記憶しかない。」

「あ?ああ、そういえばそうだったな。恭もあの4人とぶっ倒れたんだったな(※#42参照)。」

開会式中でも関わらず恭は整列で自分の前にいた瑛と、ヒソヒソ小声で喋りながら、ふむふむと頷いて改めて永瀬のことを知っていく。



初めて聞かない名前

「永瀬 めぐる・・・か。」

そして彼の名前をぼそり。
このあとに続く台詞に予測出来た瑛は、恭がそれを口にする前に防止として一言。

「先に言っとくが正確に言えば初対面じゃないけど、ほぼ初対面に近いんだからさ。『初めて聞く名前だ』とか、そんな当たり前に分かったこと言うなよ?」

「いや、今回は言わねえよ。・・・初めて聞かない名だからな。」

「は?」

けどその予測は大ハズレ。
いつもと違う言葉に、えっ・・・と拍子抜け。

「ただどこで聞いたのか思い出せないんだ。」

「何かの勘違いじゃないのか?昔からの知り合いというわけでもないんだろ?」

「オレは一度聞いた名は、絶対に忘れねえ。どこかで聞いたことだけは間違いないんだ。」

恭本人もほぼ初対面なのに、初めて聞かない永瀬の名に戸惑いを隠せない。
どこかで聞いた名前なのに、思い出せれなくて。頭をぐしゃぐしゃするほど、思い出せない自分に歯痒そうにしていた。



更新も久しぶりにつき・・・

とりあえず恭と永瀬の話は置いておき、ここらで体育祭本編を始める前に。
赤、白、青。誰がどこのチームにいるのか、分からない人の為にご紹介。(★=クラス対抗リレー選手)
赤組には、各学年のA組生徒が属してます。
1年:鈴木 稚空、相沢 圭、古河 瑛★、澤村 恭★
2年:矢口 純平、真柴 陸哉★
3年:永瀬 めぐる、鈴木 明人、黒崎 真央

白組には、各学年のB組生徒が属してます。
1年:森 司、峰岸 比路★、後藤 朋也★、梅谷 瑞希、佐藤 颯太★
2年:久野 克也★、鬼頭 冥★
3年:小町 豊★、華澄 輝夜、柘植 紬★

青組には、各学年のC組生徒が属してます。
2年:犬飼 冴、桃地 小太郎、羽崎 空★、渡辺 鳴海
3年:鳥越 遼、丹波 和泉、紺野 斗真★

どのチームが勝利を掴むのか。
ぜひ、予測してみて下さいね♪
(#63までで登場したキャラのみご紹介しているので若干?バランス悪いですが・・・)



100m走

開会式後、直ぐに始まったのは『100m走』。
この競技には1年からは瑛、2年は矢口と鬼頭の3人がエントリー中。
瑛も鬼頭も、どちらも1着でゴール。

「お♪やるじゃねぇか瑛!」

「1着おめでとー!てるりん。」

「まあな!俺の中じゃ青ノ葉内の1年で敵はいないからな。あと、てるりんやめろよ。」

ちなみに青ノ葉学園が持つ100m走の最速記録は去年、鬼頭が保持者となり名を刻ませた。が、今年は更新達成ならず。

「1着おめでとう冥。去年を越すことは出来なかったのは残念だったけど。」

「去年は克也もいたからな。・・・本当、残念。」

「今年は一緒のクラスなんだから、それは仕方ないだろ。」

それでもさすが陸上部の短距離選手と言わんばかりに、2人ともチームの点数に貢献した。



100m走 2

そんな中、矢口はー・・・。

「・・・・・・。」

不良組のくせにサボることなく初っ端から体育祭に参加しており、彼も幽霊部員とはいえ陸上部の一員。
幽霊部員なのが勿体ないほど好成績を残す。

「おめでとう純平くん。」

「!」

するとそれを見ていた黒崎が、パチパチ拍手。

「足速かったんだね。見ててビックリしたよ。」

「・・・アンタ、赤組だったんだな。」

「うんっ。いいな、足速いのって。僕、運動苦手だから羨ましいな。」

「運痴か。」

「その略しやめてほしいな。ちゃんと運動音痴って言ってほしいよ。」

突然言われた矢口は呆気を取られたが、結局彼のしたいようにさせたのだった。



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