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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#63 6月の第3日曜日(3/3)
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救世主参上

それからようやくこのピンチ?に、司が道場にご到着。

「あーあー、何やってんの?ヒロ。みのるの前で、そんなに狼狽えて。」

「司・・・っ!」

「つーちゃんだぁ!」

やって来たと同時に色々言われたけど、今は比路にとっても救世主。
この場を打開するには司の手が必要だから、やっと彼が来てくれたことに軽く感動。

「ごめんねー、みのる。ヒロが全然頼りなくて。」

「悪かったね、頼りなくて。」

「ほら、みのる。俺が抱っこしたげるからおいで〜。」

「・・・・・・・・・。」

『司が来れば大丈夫』ということで、比路から司へ。
比路が抱っこ出来ないから、司が代わってみのるを抱っこしようとする。が、

「や!」

みのるは首を横に振って、司の抱っこを拒否した。



つーちゃんとみのる

「・・・・・・え。」

司もまさか5歳児にフラれると思ってなかったようで、抱っこしようとした腕は空のまま。拒否られた一言に唖然と固まる。

「ど、どうしたの?みのるくん。司が抱っこしてくれるって。司に抱っこしてもらお?ね?」

比路も誘導して、なんとか司に渡そうとしたが、やっぱりダメ。

「きょうはつーちゃんじゃなくて、ひーちゃんがいいの♪」

みのるの今日の気分は、司じゃない。
ムギュッとしたままの比路から離れようとしなかった。
おかげでやって来たばかりの救世主も頼りないことに・・・。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」



みのるを巡る2人の天秤

司と比路のみのるを巡る天秤。
前回は司だったが、今回は比路に傾く。

「え、でも僕、抱っこ出来ないよ?」

「じゃあ、ひーちゃん。ぎゅーってして、ぎゅー。」

「ぎゅーでいいの?それなら出来るからいいよ。おいで、みのるくん。」

「わーいっ。」

そうして抱っこから、ギューギューへ。

「みのるくん汗掻いてるね。僕とくっついてて大丈夫?暑くない?」

「うんっ。ひーちゃん、あったかいからヘーキ。」

「そっか♪」

フラれた司を置き去りにして、あっという間に比路とみのるは2人の世界へ。
ほのぼのとキャッキャ仲良く戯れる。



5歳児に嫉妬する高1(司ver)

「・・・なんか、大丈夫か?司たち。」

「・・・・・・・・・。」

おかげでちょっと雲行きが怪しくなる3人の関係。
司の顔色がどんどん微妙になっていき、はたから見ていた恭が心配し出す。
朋也もこの流れに「またか」と。既視感を走らせながらも、どうしていいか分からない。

「・・・・・・・・・。」

「ん?」

その時、比路も司の不機嫌に気づいたのか、ふと目が合う2人。
しかしそこで何を思ったのか。

「フフン。」

「なッ!」

何かフォローをするかと思えば、勝ち誇った顔でみのるを抱えてドヤと。前回の仕返し?を、今ここで果たした。



5歳児に嫉妬する高1(司ver)2

「だーーーッ!!!」

そのせいでカチンときた司。
よっぽど比路のフフンが悔しかったようで、キーッと怒って、戯れている2人を引き離そうとする。

「ダメ!ダメダメダメ!離れて2人共!」

「ちょっと司。そんな強い言い方しなくても!」

「いいから離れて!ダメったら、ダメ!」

そして勢いあまって、

「ヒロは俺のだからダメ!!」

「へ・・・っ?」

朋也や恭、久野や小町の他にも柔道部員がいるのにも関わらず、とんだ爆弾発言を発す。
5歳のみのるにムキになってまで、なんてことを言うのだろう。
おかげで周りは一気に騒めいて、司と比路の関係に疑惑が浮上し、中には『やっぱり』という声も上がったのだった。



やっと来たパパ

「いたいた。みのるー!」

「パパー!」

するとここで、ようやく本田先生が迎えにご登場。
道場内に流れていた微妙な空気感も、あっという間にどこかへ。

「遅くなってすみませんでした。すっかり柔道部の皆さんや森くんたちにお世話になったみたいで。」

「いえいえ。無事にみのるくんを迎えに来てくれて、何よりです。」

みのるも本田先生が来た途端、比路から離れてパタパタ走ってパパの元に。
ムギュッと抱きついて、そのまま抱っこされにいく。

「本田先生。またみのる、おうちから抜け出しちゃったの?」

「いえ。先生の奥さんからもみのるがこっちに向かってるって少し前に連絡あって、それから先生もずっとみのるを探していて・・・。みのる、今日はどうしたの?」

そうして今回の話の本題へ。
みのるが青ノ葉に遊びに来た訳が明らかに。

「パパ、これあげる!」



パパの日に

ずっと大事そうに持っていた1枚の画用紙を、パパにプレゼントするみのる。

「え?これってー・・・。」

そこに描かれていたのは、クレヨンで描いたぐっちゃぐちゃな絵。
『パパいつもありがとう』と、こっちもぐっちゃぐちゃな字で書かれている。
でもそれは6月の第3日曜日、父の日に向けて。幼稚園でみのるが一生懸命書いたパパの似顔絵だった。

「パパ、だいすきだよっ。」

「みのる・・・!」

それを貰って本田先生はキュンっと、あまりの嬉しさに大号泣。
これにてママと企てたみのるのサプライズは、大成功。
その間に起きたことは色々あったけれど、それはそれ。これはこれでで幕を閉じるのでした。

「本日は先生とみのるの為に、本当にありがとうございました。また何かあった際は、よろしくお願い致しますね。」



青ノ葉 第63話をお読みいただきありがとうございます!

普段は日曜日に更新しないのですが
せっかくなので父の日に合わせて
本田親子回をupしました


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