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青 ノ 葉
男子高校生たちのお緩い物語
[男子校全寮制][日常系青春コメディ]



#63 6月の第3日曜日(2/3)
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とーちゃんとみのる

そんなこんなで2人きりになった朋也とみのる。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

自分と2人になった途端、みのるはだんまりに。急にお喋りするのをやめてしまう。
部活に向かっていった空や陸哉を恋しそうに見送っていた時点で嫌な予感がしたが、やっぱり的中。
朋也がみのるをちょっと見ただけで、ビクンッとビクついて。前のように泣きはしなかったが、ビクビクされてしまう。
そんな状態で大丈夫なのか、すっごく不安。めっちゃ不安。

「えっと、本田せんせ・・・パパ、こっちだから。」

だけど本田先生のことを伝えるとコクンと静かに大きく頷き、自分の後ろを一生懸命ちょこちょこ付いて来てくれた。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

その間、お互いに会話がないままだったけど、朋也はみのるを置いていかないように。
自分の後ろをちゃんと付いてきてるか確認しながら、ゆっくり慎重に道場を目指す。



泣かせないだけでも一苦労

そうして2人は、ようやく青ノ葉道場へご到着。

「あ、2人とも来た来た。」

「今日もまた本田パパを求めて来ちゃったか〜。」

柔道部は現在、小町の指示で休憩中。
そこで比路や久野、小町が待ってくれていて、みのるとあの日ぶりの再会を。
みのるもみのるで知ってる顔にやっと会えて、ぱあっと表情が明るくなり、だんまりも解除。さっそく朋也から離れて比路の元へ。

「わーい!ひーちゃんだっ!」

「わっ!?」

パタパタと走って来て、そのままムギュッと抱きつく。

「久しぶりだね、みのるくん。あれから元気にしてた?」

「うんっ!みのるはげんきだよ!」

「朋也もおつかー・・・。」

だが朋也は、ここまで無事にみのるを届けただけでも一苦労だった模様。身も心も疲れてゲッソリしていたのだった。

「・・・泣かれなくて、ホントよかった。」

「朋也もお疲れ様。みのるくんを連れて来てくれて本当にありがとね。」



人任せな労い?

「とは言え、僕も幼い子の扱いは分からないから。本田先生が来るまで、みのるくんを泣かせないか不安だな。司が来たら、もう大丈夫なんだろうけど。」

「森も来るのか?」

「うん。克也が寮長に連絡してる間に、僕も司に連絡したから。多分、もうじき来ると思う。」

「・・・そうか。」

なのでお疲れ様な朋也に労いを。
『司が来れば大丈夫』と、完全に人任せな言葉だけど、お疲れな彼をホッとさせる。
しかし、

「ひーちゃん、ひーちゃん。だっこして!」

「・・・え。」

今度は自分がピンチになるとは思ってなかった比路。
『抱っこ』という言葉にピキーンと固まる。



ひーちゃんとみのる

「抱っこって、え!?」

ムギュッとしているみのるに甘えられて、比路くん大ピンチ?!
抱っこのやり方が分からず、あわあわと1人で大慌て。

「待って。抱っこって、待って!どうやったらいいの!?朋也!」

「いや、俺に訊かれても・・・。」

「僕だってやったことないから分かんないよー。」

そんな姿を見ていた小町が一言。

「なるほど。峰ぎっちゃんは、される側だったか〜。」

「比路は兄弟いないから、単純にしたことないだけでは?あ、でも司がいたか。」

「克也も豊部長も見てないで助けてよー!」

抱っこする派か、される派か、したことない派か。
比路はどれに値するか、久野と話し合う。
だがその慌てる姿が面白かったから、のほほんと呑気に見てるだけ。
手助けやアドバイスをしてくれることはなかった。

「抱っこって、どうやったらいいの〜!?」



気になって来ただけ

するとそんな彼らの様子が気になったのか。
司がやってくる前に、恭がこっちにやって来る。

「なんだ?そのちっこい子供。」

なので彼にもご紹介。

「・・・担任のお子さん。」

「担任って?ああ、そっちのクラスの担任か。へぇー、本田先生って子持ちだったのか。」

「うん。名前は、本田 みのる・・・くん。」

朋也がみのるのことを(くん付け慣れてないから、最後たどたどしかったが)教えてくれて、恭も相づちを打ちながら覚える。
そして案の定といいますか、やっぱりといいますか。

「ふむ、初めて聞く名だな。」

「初めて会うのなら当たり前だろ。何言ってんだ?澤村。」

お決まりのセリフを吐いた。

「おいおいおい。朋也、オレのことは恭でいいって前に言っただろうが。」

「・・・・・・・・・。」

「朋也。昨日と明日の間の日って、何て言うんだっけ?」

「今日(こんにち)。」

「く・・・っ、そう来たか。」

そしてそして恭は気になったからやって来ただけ。
比路に手助けやアドバイスをすることは特になかった。

「もー!誰か抱っこのやり方、教えてよ〜!」



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