もちろん鳴の呟きは、しっかり稚空の耳に届いていた。
「どうかしましたか?稚空くん。」
「なーんか時々、上級生がオレを見て『例の弟』、『例の弟』って言ってくるからさ。なんだろう思って。」
なのでここは知り合ったせっかくの機会に。 『例の弟』とは何ぞ?と、呟いた鳴に問いただしてみることに。
「えっと渡・・・鳴先輩だっけ?その『例の弟』ってなに?」
「え゛。」
「オレの兄ちゃん、青ノ葉で何かやらかしてんの?完全に兄ちゃんが関わってることだよね?それ。」
けど、
「ところで部活もう始まってる時間だけど大丈夫か?」
「え?あ!もうこんな時間!急ごう!梅ちゃん。」
「はい!」
鳥越が間を割って入り、時計を注目させて2人を中断。 もう部活動開始時刻を迎えていたことに気づかせ、彼らを図書室へと向かわせて行った。
「・・・助かりました遼先輩。今といいさっきといい、本当にありがとうございます。」
「まあ。流石にアレを当人に言うわけにはいかないからな。」
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